西日本鉄道と西鉄バス北九州は2020年10月12日までに、北九州エリアにおいて中型自動運転バスの実証実験を10月22日から11月29日にかけて実施すると発表した。GPSの電波が届きにくい区間では「磁気マーカー」を使い、安定した自動運転走行につなげる。
■「信号情報提供システム」や「危険情報提供システム」を導入
バス業界では現在、運転手の人材確保や採算の悪化などの課題に直面しているが、自動運転バスの導入によって省人化や低コスト運行が期待され、こうした課題が将来的に解決される可能性を秘めている。
今回の実証実験では、LiDARやカメラ、磁気センサーが搭載された中型自動運転車1台が使用され、朽網駅~北九州空港線の約10.5キロの区間を走行する。今回の実証実験の協業パートナーは、日本信号やNTTデータ、ソフトバンク子会社のBOLDLY、損害保険ジャパンなどだ。
実証実験では交差点における安全性を確保するため、運行区間の全ての信号に「信号情報提供システム」を導入するという。信号の状態を無線を通じてバス側に送信することで、確実に信号の状態を車両側が把握できるようにする。
さらに安全性を高めるため見通しが悪い交差点では、将来予測も行う「危険情報提供システム」を導入するようだ。交差点での接触事故を防止するためのシステムで、協業パートナーである日本信号が提供する。こうした仕組みを使った公道での実験は日本初のことだという。
■試乗者だけでなく地域の人にもアンケート調査
今回の実証実験では、実際に希望者が自動運転バスに試乗する形で行われる。西日本鉄道は「試乗者だけでなく地域の方など広くアンケート調査を実施し、社会受容性の検証と市民目線での課題の把握を行います」としている。
実際に人が乗る実証実験では、実施者が思いもしなかった課題がアンケートを通じて判明することもあり、今後の取り組み計画を検討するために有用なデータがたくさん得られるはずだ。
【参考】関連記事としては「九州で実証!運転士不足と採算悪化、「自動運転バス」で解決せよ」も参照。