2019年8月26日から中国・北京を訪問する東京都の小池百合子知事は23日、自動運転の普及を前提として都市開発が進められている「雄安新区」を訪問することを、記者会見の中で明らかにした。
小池知事は会見で「自動運転の競い合いが今、国際的に起こっておりますけれども」とした上で、「直接私自身も目で見て、そして中国の発展について、技術やベンチャーを育てるなどなど、どういう形で進めているのか、実際に見ていきたいと思います」としている。
その上で、北京市とは大都市が抱えている共通の課題についての知見を今後共有していくことを強調し、「2つの都市の協力関係を一層深く強固なものにしていきたい、そのために楽しみにしている」と今回の訪中に対する考えを語った。
■雄安新区は中国の「自動運転シティ」
雄安新区は中国における「自動運転シティ」と呼ばれている。習近平国家主席肝入りの国家プロジェクトとして開発が進むスマートシティで、自動運転車と協調して機能するV2I(vehicle to infrastructure)を前提としたインフラ開発が進んでいる。
自動運転専用の道路も既に敷設が進んでおり、中国の検索大手・百度(バイドゥ)もこの都市を拠点の一つとして技術実証に取り組んでおり、同社が開発する自動運転の乗用車やバス、清掃車などが走行する様子が現地で目撃されている。
雄安新区は位置的には北京の南西100キロメートルの場所にあり、将来的には総面積2000平方キロメートルの巨大都市として機能させる予定となっている。
【参考】関連記事としては「日本は中国を見習うべきか…自動運転の環境整備、躊躇一切なし」も参照。
■東京都、自動運転サービスの実用化を推進
東京都は日本国内の中でも自動運転サービスの実用化に積極的な自治体の一つだ。取り組みの一つとして、自動運転技術とAI(人工知能)やIoT技術などを組み合わせたビジネスモデルプロジェクトの支援事業を推進しており、2019年度の2つの支援プロジェクトも既に決定している。
その2つは「空港リムジンバスと連携した都心部での自動運転タクシーサービス」(実施者:日の丸交通株式会社/株式会社ZMP)と「島しょ部観光MaaSの実現に向けた移動手段創出」(実施者:株式会社愛光観光/NTT東日本/NTTデータ/群馬大学)だ。
東京オリンピックに合わせ、東京都内でトヨタなどによる自動運転レベル4(高度運転自動化)クラスの実証実験も行われる見込みで、東京都側と民間企業側が公道実証で足並みを揃えながら、実用化に向けた取り組みを加速させている。
こうした中で小池都知事の雄安新区の訪問は、今後の東京都の自動運転に関する取り組みに少なからず影響を与えることは間違いない。特区制度を活用した自動運転シティが東京都内のどこかにいずれ誕生するかもしれない。
【参考】関連記事としては「自動運転タクシーにMaaS移動…東京都の支援プロジェクト決定 2019年度分」も参照。
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— 自動運転ラボ (@jidountenlab) June 8, 2019