道路標識にQRコード設置か 自動運転向け、国がイメージ図公表

専用道路やモビリティハブにも言及





出典:国土交通省資料

自動運転車が道路標識に添えられたQRコードを読み取りながら走行する――。そんな未来が訪れるかもしれない。

自動運転に必要な道路空間の在り方を検討する「自動運転に対応した道路空間に関する検討会」の公開資料の中に、自動運転車用標識としてQRコードを設置するアイデアが盛り込まれていることが明らかになった。







前方にカーブの存在を示す矢印の警戒標識の下にQRコード標識を設置し、センサーがこれを読み取るとことで「左カーブあり(R=15m・θ=175°)」といった情報を受け取ることが可能になるイメージだ。

2020年6月に開催された同検討会では、このQRコードシステムの導入をはじめ、道路空間や路車連携システムなどに関するさまざまな検討項目がまとめられたようだ。

自動運転技術の社会実装に向けどのような検討がなされているのか、公開資料をもとに一つずつ解説していく。

▼資料URL
https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/road_space/pdf05/02.pdf

■専用空間の基準

専用空間の基準では、道路空間を再配分することで自動運転車専用道路を創出する案が示されている。具体的には、歩道側に1.5メートル以下の専用道路を設置し、カートタイプなどやや小型で低速の自動運転車を走行させる案だ。類似例として、小型4輪EV(NEV)の走行レーンを設けている米国リンカーン市を挙げている。

一般車両と自動運転車が混在する交差点においては、ライジングボラードなどを活用し、通信を用いて乗り入れを制限する方式や、磁気マーカーを敷設したラウンドアバウトの活用などを流入処理案として挙げている。

また、高速道路において物流専用拠点につながる専用道路や専用ランプを設置する案や、次世代の交通結節点として人と車が混在する結節点で専用道により分離する案、交通状況に応じて路肩を運用する案、道路中央レーンの進行方向を交通需要に応じて変えるリバーシブルレーンの導入などにも触れている。

■新たな基準体系

新たな基準体系では、自動運転車や一般車両双方に配慮した道路標識などの在り方について基準となる考え方を示している。

センターラインの在り方

現在の道路では、センターラインなどの路面にひかれた白線が消えかかっている場所も多く散在しているが、自動運転車はこうしたラインも検出して走行精度を高めるため、例えば実線のセンターラインを誤って破線として認識したり、色が薄くなった黄色いラインを白線と誤認識したりする恐れがある。

このため、一定以上の輝度を持ち反射率などを統一した区画線の基準や、急カーブなどを注意喚起するカラー舗装の基準化などを検討項目に挙げている。

道路標識の在り方

また、動物飛び出し注意などさまざまなデザインが存在する道路標識についても、自動運転に対応した標識の新設などを挙げている。ここで冒頭のQRコードがイメージとして例示されているのだ。

QRコードは、数字のみであれば7089字、英数4296字、漢字・かな1817字のデータを格納することができるコードで、商品管理をはじめインターネットアドレスの読み取りやキャッシュレス決済など広く普及している。

道路上に設置されたQRコードを自動運転車に搭載されたカメラが読み込むことで、瞬時にさまざまな情報を取得することができる。国際的にも広く規格が普及しているため、このアイデアが実現すれば国際基準となる自動運転向けインフラが誕生するかもしれない。

なお、QRコードは、自動車部品大手のデンソーが部品管理のため1994年に開発した技術だ。自動車分野から発展した技術が、時を経て自動車業界に帰ってくるような印象だ。

このほか、自動運転レベル4の車両が走行困難になった際の待避所の基準化や、道路幅を部分的に狭くし、歩行者の検知と横断しやすさを両立したバルブアウト横断歩道や二段階横断施設、見通しをよくするためより低い植樹帯を設置する案などが出されているようだ。

出典:国土交通省資料
■混在交通の基準体系

混在交通の基準体系では、歩行者や自転車、一般車両や自動運転車が混在する空間の在り方について検討している。

自動車と歩行者や自転車が一体的に共存できる空間を整備することで、人々の交流や新たな活動を誘発する案や、それに伴う錯綜を回避するための規制や制御、ライジングボラードなどの活用による限定地域内への車両流入制限、AIなどを用いた需要予測技術の自動運転車両制御への応用、安全に走行できる速度での運用、走行路の明示による注意喚起、車両がすれ違う待機所の設置などを挙げている。

出典:国土交通省資料
■縁石側など道路空間の活用(カーブサイドマネジメント)

自動運転やシェアリングサービスなどの導入に向け、カーブサイド(curb side/歩道の縁石側)の有効活用を図る検討が進められている。

資料では、道路上に設置された路上駐車場(パーキングメーター)を例示し、道路交通法と駐車場法の両法における法的整理の必要性について言及しているほか、ITを活用したマネジメントや充電設備の設置、カーシェアリングステーションの設置といったインフラ整備などを組み合わせ、道路空間の稼働率を向上させる案を模索しているようだ。

例えば、日中はシェアリングの乗り換え場、夕方は移動販売車やイベント場、夜は小口配送の駐停車場、深夜は充電施設といった具合に、需要に合わせて時間帯で切り替えていく案なども示されている。

また、道路空間の再編事例として、側道を閉鎖して自動車通行空間を分離し、歩道の拡張や自転車通行空間を設置することにより、歩行者の安全性を向上させる取り組みや、走行車線を減らしたり幅員を縮めたりし、歩行者滞留スペースや賑わい空間を創出する案などを示すほか、道路空間の活用事例として、停車帯を設置して携帯電話の使用や休憩、除雪車退避のためのスペースとして活用する案などを示している。

出典:国土交通省資料
■拠点の利活用

拠点の利活用では、マイカーを持たなくても便利に移動できるモビリティサービスの拠点や、さまざまな交通モードの接続・乗換拠点(モビリティ・ハブ)の階層整備など、居住空間に近接する地域の小規模拠点の在り方について検討を進めている。

参考事例として、静岡県沼津市や西伊豆沿岸地域の「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト」、群馬県前橋市の「前橋市地域公共交通網形成計画」を挙げている。

しずおか自動運転ShowCASEプロジェクトでは、観光拠点である沼津港とJR沼津駅周辺の接続に移動自体を楽しむことができる小型バスタイプ車両の導入や、高頻度運行を実現するためBRTの導入などを検討しているほか、西伊豆沿岸地域では、バス車両が入れない狭隘道路に合わせた小型モビリティ車両の導入など、新たなライフスタイルを補完する移動サービスの検証などを行っている。

一方、前橋市では、鉄道や地域間バス、デマンド交通やパークアンドライドなどを接続するための結節・乗り換えポイントの整備とともに、公共交通の相互利用による幹線軸までの移動手段確保や、AIを活用した最適配車の研究、自動運転バスによる基幹的交通軸の強化に向けた実証実験などを進めている。

出典:国土交通省資料
■土地利用の効率化

土地利用の効率化では、空いているスペースを駐車場シェアリングスペースとしてシステム管理する案や非接触型充電レーンの敷設、次世代車載器による決済システムなどを例示するほか、駐車場空間の活用イメージとして、駐車場の空きスペースや予定時間などを統合的に管理するシステムの導入や、駐車場内で車両が自動走行する自動バレーパーキングの導入、空いている駐車場を検知し自動運転車を自動的に誘導する駐車場満空情報システムの導入、土地のある所に大規模駐車場を設置し、使用するときに呼び出すピストン方式の導入などに触れている。

出典:国土交通省資料
■路車連携などのシステム

路車連携などのシステムでは、運行する車両の安全確保などを目的に、三次元点群データと外部情報のプラットフォームを組み合わせたサイバー道路空間や、電波干渉のない安全通信帯域の確立、自動運転車の遠隔操作や遠隔監視などの次世代通信システムの利活用、分合流や踏切、無信号交差点におけるV2V(車車間通信)、V2I(路車間通信)を活用した自動運行補助ローカルシステム、ODD(走行環境条件)領域へ道路情報を伝える情報提供システム、災害時の経路情報を自動運転制御へ送信する災害時自動誘導システムについて検討を進めているようだ。

出典:国土交通省資料
■【まとめ】自動運転とともに変わる道路空間

自動運転技術の円滑な社会実装やMaaSの導入を中心に、移動用途のみの道路空間をどのように変えれば社会全体の効用が上がるかといった観点から、非常に幅広い議論が行われているようだ。

自動運転技術の開発・導入に携わる方は、未来の道路インフラがどのように変わっていくのか、またどのように変えていくべきかをしっかり学び、考えていく必要がある。国土交通省が策定した道路政策の中長期的ビジョン「2040年、道路の景色が変わる」にも目を通し、より良い道路交通の在り方をしっかりと模索しよう。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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