三菱商事のMaaS事業まとめ&解説 世界と日本で展開

MaaS Global社へ出資、日本ではAIオンデマンドバス実証



三菱商事株式会社(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:垣内威彦)がMaaS関連事業に力を入れ始めている。MaaSの元祖企業とも言えるフィンランドのMaaS Global社にも出資し、日本国内・国外の両方を視野に事業に取り組んでいくものとみられる。


2019年4月に組織を再編し、新たに「自動車・モビリティグループ」を組成した三菱商事。この記事ではMaaSを中心に三菱商事の主な関連事業を取り上げる。

■フィンランドのMaaS Global社へ資本参画

三菱商事は2019年9月にMaaS Global社への資本参画を発表した。同社はこの資本参画をきっかけに、同社のさまざまな国での事業基盤を活かし、Maas Global社の事業の横展開を図ることとしている。

こうした点に加え、同社は「不動産・小売・旅行など、移動の発着地点となる様々な関連事業者と連携し、単なる移動サービスを超えた事業(Beyond MaaS事業)にも取り組むことを目指して参ります」としており、多層的に事業を拡大していくことも視野に入れているようだ。

ちなみにMaaS Global社は月額制サービス「Whim」を展開している。Whimでは鉄道やバス、タクシー、レンタカー、レンタルバイクなどの様々な交通手段を横断的にルート検索でき、予約・発券・決済も可能だ。2017年にフィンランドのヘルシンキでサービスを開始し、現在はベルギーやイギリスでも展開中だ。将来的には日本での展開も視野に入れられている。


【参考】関連記事としては「MaaSアプリ「Whim」とは? 仕組みやサービス内容を紹介」も参照。


インドネシアの配車大手GO-JEKに出資

三菱商事と三菱自動車工業はインドネシアの配車大手GO-JEKに出資し、3社で共同事業を展開するという覚書(MoU)を締結したと2019年7月に発表している。

東南アジア地域でのバリューチェーンの革新に取り組むべく、GO-JEKのプラットフォームを活用して新たなモビリティサービスを検討していくという。

■福岡でAIを活用したオンデマンドバス実験

⻄日本鉄道(JR東日本)と三菱商事は2019年3月、合弁会社としてネクスト・モビリティ株式会社を設立して、次世代型デマンドバスなどの交通関連システムの構築に取り組んでいる。

4月からは福岡市東区のアイランドシティ地区でAI(人工知能)を活用したオンデマンドバス「のるーと」5台の運行を実験的にスタートした。決まったダイヤはなく、乗客のリクエストに応じて効率的なルートを変えながら運行するという未来型バスだ。

予約・配車にはカナダのSpare Labs社のシステムを、車両には日産自動車から提供された「キャラバンマイクロバス」を使用している。

https://twitter.com/jidountenlab/status/1113561814837682176

■【まとめ】組織力や資金力を活かして

三菱商事は組織力や資金力を活かした事業展開を日本そして海外でも進めている。MaaS分野は有望な市場の一つで、いち早く成長性が高い企業を発掘していきたい考えのはずだ。三菱商事の海外事業、そして国内事業の両方に今後も注目していきたい。


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