自動運転の研究開発は民間企業だけで行われているわけではない。日本国内の大学でも盛んに行われるようになってきており、明治大学もその1つだ。
明治大学自動運転社会総合研究所(MIAD)は、自動運転を社会実装化させるため、研究所内に「技術」「法律」「保険」「地方創生」「医療AI」「社会実装化」「船舶の自動運転」の7部門を設置し、多角的なアプローチで研究活動を行なっていることが特徴だ。
▼明治大学自動運転社会総合研究所 公式サイト
http://www.isc.meiji.ac.jp/~jidou_unten/index.html
■技術・法律・保険・地方創生の各部門での取り組み
明治大学自動運転社会総合研究所が各部門でどのような取り組みを行っているのか、公式サイトで詳しく紹介されている「技術」「法律」「保険」「地方創生」の4部門についてまず紹介していこう。
「技術」部門では自動運転社会の醸成に寄与すべく、AI(人工知能)の知識を持ちつつ自動運転車と自動運転船舶の修理もできる人材を育成している。
「法律」部門においては、自動運転車の社会受容性と民事上の責任に関する研究を進め、法整備上の課題に関する講演なども行なってきた。これまでに自動運転社会を想定し、模擬裁判や模擬仲裁を実施した実績もある。
「保険」部門には、経済・商学系と法学系の保険研究者をはじめ、損害保険会社やシンクタンクの担当者、弁護士なども所属し、自動運転車両の運行には欠かせない保険による補償体制などを検討している。
「地方創生」部門では、地域経済の再生や移動手段確保のための新サービス、公共交通システムの再構築など、日常の暮らしに関わるさまざまな課題に焦点を当て、これらの課題を改善するための研究を主としている。
■群馬大などと連携、BOLDLYと協力し実証実験も
2018年3月に設立された明治大学自動運転社会総合研究所は、先ほど取り組み内容を紹介した4部門からスタートし、その後、「医療AI」「社会実装化」「船舶の自動運転」の各部門が加わった。
2019年3月には香川大学と群馬大学と連携し、香川県小豆島で群馬大学所有の車両で公道実証を実施した。この実証データをもとに、その後、公開シンポジウムも開催した。
2019年6月には長崎県対馬市と連携協定を結び、その後、対馬市でスマートモビリティサービス事業を進めるSBドライブ(現BOLDLY)の協力のもと、仏NAVYA社製の自動運転シャトル「ARMA」で公道での実証実験を実施している。この実証実験では、緊急時の対応を担当する運転手が同乗して行われた。
【参考】関連記事としては「明治大学の自動運転社会総合研究所、長崎県対馬市と連携協定 実証実験実施へ」も参照。
明大と対馬市が今年春に自動運転バスを島で走らせる 実証実験実施へ連携 https://t.co/yzy0157aut @jidountenlab #明治大学 #自動運転 #実証実験
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) March 20, 2019
■多角的に自動運転にアプローチする意義は大きい
明治大学自動運転社会総合研究所は今後、高等専門学校などと協力して自動運転車両の整備工を養成するセンターの創設も進める予定のようだ。
自動運転社会の実現のためには技術開発だけではなく、保険や法律、社会受容性などの面でクリアすべき課題は多い。そんな中、明治大学自動運転社会総合研究所のように多角的に自動運転にアプローチする意義は大きいと言えそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転研究に力を入れている世界の20大学まとめ」も参照。