BMWが新境地開拓!「自動運転物流ロボット」市場に参入

「今後数カ月間で、いくつもの改革」と自信



出典:BMWプレスリリース

コロナ禍において人との接触機会を削減するべく、コンタクトレスを加速する物流ロボットに注目が集まっている。世界の物流ロボット市場が2027年には3兆円規模まで膨らむという予測もあるほどだ。

そんな有望市場にドイツの自動車大手BMWが新たに参入する。BMWグループは、物流ロボットの開発などを目的とした子会社「IDEALworks」の設立を2020年12月3日までに発表した。BMWが物流の分野で新ビジネスの開拓に乗り出したわけだ。







IDEALworksはBMWの完全子会社として本拠地をドイツ・ミュンヘンに構え、「自律型ロボティクス・ソリューションのリーディング・プロバイダー」となることを目指す。IDEALworksのジミー・ナシフ最高技術責任者(CTO)は「今後数カ月間で、いくつもの改革を準備する」と意気込みを語っている。

ちなみに社名にもなっているIDEALとは「I」(インダストリー)、「D」(ドリブン:推進)、「E」(エンジニアリング)、「A」(オートノマス:自律型)、「L」(ロジスティクス:物流)の頭文字をとったものだという。

■BMWグループはこれまでも物流分野で取り組み

BMWが唐突に物流分野に参入したと感じる人もいるかもしれないが、BMWはグループ内で物流に関する取り組みを続けてきた。特に2015年に開発された「スマート・トランスポート・ロボット」(STR)は大きな注目を浴び、ドイツにおける著名な物流アワードを受賞している。

このSTRは欧州最大の応用研究機関であるフラウエンホーファー研究所と共同で開発された自律移動型ロボットで、最適なルートを自動的に計算し、重量1トンまでの貨物を目的の場所まで自動走行で運搬できる。

ちなみに自動走行は「SLAM方式」によって実現された。SLAMとは、自己位置の推定と環境地図の作成を同時に実行する技術で、走行距離やカメラなどのセンサー画像から移動量を推定して自車位置を特定するとともに、センサーが収集したデータをもとに地図を作っていくことが可能だ。

BMWグループのいくつかの生産拠点では、既に130台以上のSTRが運用されているという。

【参考】関連記事としては「SLAMとは?位置特定と自動運転地図の作成を同時に」も参照。

■ほかの自動車メーカーも同様の動きを見せる?

BMWは本業の自動車部門では自動運転技術の開発に力を入れており、そこで得た技術力も当然物流ロボットの開発で生かされる。こうした視点でいえば、自動車メーカーが自動運転ロボットの開発に取り組み始めることは、決して意外なことではない。

BMWだけではなく、ほかの自動車メーカーも同様の動きをみせてくるかもしれない!?

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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