「空飛ぶクルマ」の社会実装に向け、安全性や社会受容性の向上に向けた取り組みが進む中、大きなリスクの1つとして懸念されるのが「ハッキング」だ。
ネットワークとつながりながら飛行する空飛ぶクルマ。機体・操作システムの乗っ取りや通信データへの不正アクセスなど、通信の脆弱性を突いたさまざまなサイバー攻撃の脅威を受けることになる。
そのため空飛ぶクルマの社会実装には、サイバーセキュリティ対策は当然必須である。そして、こうした観点から重要と考えられる報道発表が、2020年12月3日までにあった。
GMOインターネットグループで情報セキュリティ事業などを展開するGMOグローバルサイン株式会社(本社:東京都渋谷区/代表取締役社長:中條一郎)は、空飛ぶクルマを開発するSkyDrive社とドローンメーカーのプロドローン社と、「通信・制御」のセキュリティ強化に関する技術供与に基本合意したという。
■セキュリティ技術に関する情報提供など
GMOグローバルサイン社は、通信データのセキュリティを強化する技術として、SSLサーバ証明書をはじめとしたPKI技術を世界的に展開するなど、情報セキュリティに強みがある。
そこでまずGMOインターネットグループは、ドローンのコントローラー、機体の認証と通信の暗号化、ドローンからのデータ送信の暗号化などに関し、セキュリティ技術に関する情報提供を行うほか、必要に応じて実証実験向けに電子証明書の無償提供を行うという。
ドローンよりもさらに機体サイズが大きく構造も複雑な空飛ぶクルマに関しても、同様の情報提供やセキュリティ技術の提供を進めていくものとみられる。
■空の革新へ役者がどんどん揃ってきた
日本政府のロードマップでは、ドローンにおいては小型無人機の有人地帯における目視外飛行(レベル4)の2022年の実現に向け、環境整備・技術開発が進められている。
空飛ぶクルマに関しては、2023年を目標に空飛ぶクルマに関する事業をスタートさせ、2030年代から実用化をさらに拡大させていくことが目標として掲げられている。
今回、エアモビリティを開発する企業にとっては、GMOインターネットグループという強い味方を得た形となったと言える。空の交通の革新に向け、どんどん役者が揃ってきている印象だ。
【参考】関連記事としては「「空飛ぶクルマ」とは?2020年代に実現濃厚…基礎知識を徹底解説」も参照。