日産プロパイロットとホンダセンシング、どちらがいい?【自動運転レベル2】

「高速道での自動運転レベル2」で共通



出典:日産公式サイト

自家用車の主要装備となった先進運転支援システム(ADAS)。その安全性は、クルマ選び・購入に影響を与えるほどの存在となった。

自動車メーカー各社はこぞってADASをパッケージ化し、全モデルへの標準搭載化を推し進めている。日産は「プロパイロット」、ホンダは「ホンダセンシング」といった感じだ。自動運転レベルは「レベル2」(部分運転自動化)となる。


自動運転に通じる先端技術でもあり、各社の開発力が問われるところだが、では、各社のADASに優劣はあるのだろうか。

プロパイロットとホンダセンシングはどちらが優れているのだろうか。両社のADASの性能に迫ってみた。

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■日産「ProPILOT(プロパイロット)」の概要

「同一車線自動運転技術」という触れ込みで登場

出典:日産公式サイト

プロパイロットの登場は、2016年8月発売のセレナにさかのぼる。ミニバンクラスでは世界初という「同一車線自動運転技術」という触れ込みで発表された。なお、後に「自動運転」という言葉は誤解を招くとして使用しないようにしている。


プロパイロットは、高速道路などの自動車専用道路において、ドライバーが設定した車速(時速30~100キロ)を上限に、先行車両との車間距離を一定に保つよう制御すると同時に、車線中央を走行するようステアリング操作を支援し、ドライバーの運転をサポートする。

いわゆる、アダプテッドクルーズコントロールとレーンキープアシストを組み合わせることで、車両の縦方向と横方向の制御を同時に支援する技術だ。

先行車がいない場合は、ドライバーがセットした車速で定速走行するが、この場合時速30キロ以下では使用できない。

先行する車両が完全停車した場合、システムが自動的にブレーキをかけて停車するとともに、ドライバーがブレーキを踏むことなく停止状態を保持する。さらに、先行車両が発進した際もドライバーがかんたんな操作をするだけで追従走行を再開する。これにより、高速道路の渋滞走行や長時間の巡航走行時のストレスを大幅に低減可能としている。


長時間の巡航走行や渋滞走行の2つのシーンに対応し、アクセルとブレーキ、ステアリングをシステムが自動で制御してドライバーの負担を軽減する。

プロパイロットが他社のADASと異なるのは、自動車専用道路におけるレベル2に特化している点だ。標識検知機能や各種警告といったその他の機能はパッケージ化していない。ただ、プロパイロット搭載車には基本的にその他の機能も備わっているため、事実上変わりないとも言える。

対応車種は、アリア、リーフ、サクラ、ノートオーラ、ノート、エクストレイル、キックス、セレナ、ルークス、デイズとなっている。

プロパイロット2.0やプロパイロットパーキングも登場

出典:日産公式サイト

2019年には、プロパイロットの進化バージョン「プロパイロット2.0」を発表し、秋に発売予定の新型スカイラインに搭載する計画を発表した。国内メーカー初の自動運転レベル2+システムで、高精度3次元地図を活用した初の国内自家用モデルでもある。

高速道路をはじめとする自動車専用道路において、複数車線をナビゲーションシステムと連動して設定したルートを走行し、同一車線内でハンズオフ運転が可能となる世界初のシステムだ。対面通行路やトンネル内、急なカーブ路などは除く。

高速道路の本線に合流し、ナビ連動走行が可能になるとディスプレイの表示と音でドライバーに通知される。スイッチ操作でナビ連動走行を開始すると、ドライバーが設定した速度を上限に、先行車両との車間距離を一定に保ちながら車線中央を走行するよう支援する。

ハンズオン走行の場合、設定可能な速度域は時速30~135キロで、ハンズオフ走行の場合は高精度3次元地図データに基づき、速度検知機能で検出した法定速度からマイナス10~+10キロの範囲で車速設定できる。先行車がいない場合も、ドライバーが設定した車速内で走行する。

システムが正常に作動している限り、ドライバーがアクセルなどのペダルから足を離し、ハンドルから手を離した状態でも走行可能になる。ただし、システム作動中は常に前方を監視し、道路や交通、自車両の状況に応じてすぐにハンドルを操作できる状態にあることが求められる。あくまで運転支援システムであり、自動運転ではないためだ。

追い越しにも対応しており、設定速度より遅い車両が前方を走行していた場合、システムが追い越し可能と判断するとディスプレイへの表示と音でドライバーに提案される。ドライバーがハンドルに手を添えスイッチ操作で承認すると、右側の車線に車線変更し、追い抜きが完了すると車線変更可能なタイミングをシステムが判断して同様の操作で元の車線へと戻る。

任意のタイミングで車線変更を行うこともできる。ドライバーがハンドルに手を添え方向指示器を操作すると、システムが車線変更可能かどうかを判断し、可能であれば車線変更制御を行う。

スカイラインには、カメラ7基、ソナー12基、レーダー5基が備えられており、車両の周囲360度のセンシングを実現している。

また、インストパネル上部に設置された専用カメラでドライバーの挙動を監視しており、居眠りや長時間のわき見などを検知した場合警告が発せられ、応じない場合はさらに強い警告をしたのち減速して停止する。

2025年9月現在、対象車種はセレナとアリアとなっている。

このほか、スイッチ操作だけで駐車時に必要なすべての操作をシステムが自動制御し、駐車を支援するプロパイロットパーキングも実用化されている。ステアリングやアクセル、ブレーキに加え、シフト、パーキングブレーキまで自動制御し、駐車を完了する。

メモリー機能搭載車であれば、一度駐車位置を登録することで、自宅など白線のない場所や道路から離れた奥まった場所でも駐車支援が可能という。

車外からインテリジェントキーを操作することで、駐車場のクルマを出し入れすることができる「プロパイロットリモート パーキング機能」も用意されている。インテリジェントキーのスイッチ操作で前進・後退を指示すると、ゆっくりとクルマが移動を開始する機能だ。

その他機能も充実

日産車には、プロパイロット以外にも衝突回避をサポートするインテリジェントエマージェンシーブレーキや踏み間違い衝突防止アシスト、インテリジェント BSI(後側方衝突防止支援システム)、インテリジェントクルーズコントロール、インテリジェント LI(車線逸脱防止支援システム)、2台前を走る車両を検知し前方に潜む危険に対する注意を促すインテリジェント FCW、標識検知機能などの各機能も用意されている。

出典:日産公式サイト

プロパイロット2.0は高い評価

Xでプロパイロットの評価・感想を検索すると、以下の投稿が見つかった。

  • 妻の愛車は日産セレナe-POWER(プロパイロット装備)。高速道路は「ほぼ助手席感覚」でスイスイ。
  • セレナ ルキシオンのプロパイロット2.0。ハンドルから手を離していられるので、プロパイロット1.0と段違いで自動運転感がある。120kmで走ってても全く不安にならない。地味にペットボトルのフタ開ける時とか便利。
  • プロパイロット2.0で高速ハンズフリー運転。高速道路で手放しはだいぶ楽。日産良い車作ってるのでなんとか持ち直して欲しい。

特にプロパイロット2.0の評判が高いようだ。

【参考】日産の取り組みについては「日産の自動運転戦略 プロパイロット2.0の搭載車種は?」も参照。

■ホンダ「Honda SENSING(ホンダセンシング)」の概要

続いてはホンダの「Honda SENSING」についてだ。

2015年に実装スタート、各種機能をパッケージ化

出典:ホンダ公式サイト

ホンダは2014年10月、新たな安全運転支援システム「ホンダセンシング」を年内発売を予定している新型レジェンドから順次適用していくと発表した。これまでの運転支援システムに世界初の歩行者事故低減ステアリングなど新たに6つの機能を追加したパッケージだ。

フロントグリル内に設置したミリ波レーダーとフロントウインドウ内上部に設置した単眼カメラの2種類のセンサーで構成されたシステムで車両前方の状況を認識する。

初期の段階で、衝突軽減ブレーキシステム、路外逸脱抑制機能、歩行者事故低減ステアリング、車線維持支援システム(LKAS)、渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール、標識認識機能、誤発進抑制機能、先行車発進お知らせ機能――の各機能をパッケージ化している。

現在は、トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)やブラインドスポットインフォメーション、誤発進抑制機能、後方誤発進抑制機能、近距離衝突軽減ブレーキ、パーキングセンサーシステム、Honda パーキングパイロットなどの機能も加わっている。

搭載車種は、シビックやシビックTYPE R、プレリュード、ヴェゼル、ZR-V、WR-V、CR-V、オデッセイ、ステップワゴン、フリード、フィット、N-VAN、N-BOXなど、幅広いモデルに設定されている。

360やハンズオフ可能な360+も登場

ホンダセンシングの機能を拡張したのが「Honda SENSING 360(ホンダセンシングサンロクマル)」だ。全方位センシングでシステムの検知範囲を車両の周囲360度に拡大し、死角をカバーしている。

この全方位センシングにより、前方交差車両警報や車線変更時衝突抑制機能、車線変更支援機能といった新たな機能が加えられたほか、渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロールなどの機能も進化したという。

このサンロクマルをさらに進化させた「Honda SENSING 360+(プラス)」も2023年11月に発表された。新たにドライバーモニタリングカメラを搭載し、高精度地図を採用することで高速道路や自動車専用道におけるハンズオフ運転を可能にしている。

出典:ホンダ公式サイト

ハンズオフで走行中、自車より車速の遅い先行車を検知し、システムが追い越し可能と判断した場合、ドライバーに通知したうえでドライバーが手元のスイッチで承認すると、ウィンカー操作や加減速、ステアリング操作を行い、追い越しや車線復帰を支援する機能も備えている。

時速70キロから135キロまで対応しているようだ。サンロクマル、サンロクマルプラスとも、アコードe:HEVに設定されている。

なお、現在搭載車種は販売されていないが、ホンダは2021年に最上位版となる「Honda SENSING Elite(エリート)」を新型レジェンドに限定搭載した。

エリートは、自動運転に相当するレベル3機能「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)」を備えており、ADASの枠を超えた存在と言える。

360+の搭載待ち望む声も

ホンダセンシングのX上での評判は、以下の通りだ。

  • 実は現役で三代目フィット乗ってます。燃費いいしホンダセンシングが優秀すぎてとても運転しやすいです
  • フィットに乗り初めて今日で丸5年。車のトラブル、事故もなく👍です。e:HEVの燃費のよさ、ホンダセンシングの安全支援システムのおかげで通勤、レジャーと運転が楽になって👍
  • 一時期話題になった天下一品ロゴを進入禁止の予告と言うホンダセンシング
  • オデッセイや今年発売予定のCR-V e:HEVにも、ホンダセンシング360+が搭載されたら良いなぁ!

道路標識の誤認識問題で話題になることもあるが、安全性能に関しては概ね高評価のようだ。360や360+は日が浅いため体験談を見つけられなかったが、対象車種の拡大を待ち望む声が聞こえている。

【参考】ホンダの取り組みについては「ホンダの自動運転・ADAS戦略とは? ホンダセンシング標準装備化」も参照。

ホンダの自動運転・ADAS戦略とは? ホンダセンシング標準装備化

■プロパイロットとホンダセンシングの違い

特段の優劣はない?

プロパイロットは高速道路などにおけるレベル2システムを指し、ホンダセンシングはレベル2を含む運転支援機能のパッケージ版という違いがあるが、プロパイロット搭載車種にはその他の運転支援機能も搭載されているため、実質的には同一と言ってよい。

また、高機能版として、プロパイロット2.0やホンダセンシング360+などを用意している点も共通している。ともに制限速度をしっかり満たすハンズオフ走行を可能としており、車線変更支援機能も備えている。

いち早く登場したプロパイロット2.0はセレナとアリアの2モデル、2025年に実装を開始したばかりのホンダセンシング360+はアコードe:HEVのみとなっている。

当初、プロパイロット2.0は対象車種をどんどん拡大していくものと思われたが、意外と手こずっているようだ。搭載するセンサーなどの影響で車両価格が上がるため、現状普及モデルへの搭載は難しい。経営面における余裕もなく、費用対効果を考慮して新規採用を見送っているのかもしれない。

ただ、日産は2025年4月、提携する英WayveのWayve AI Driverと次世代LiDARを活用した日産のGround Truth Perception技術により構成される次世代ProPILOTを2027年度から市販車に搭載すると発表した。

具体的な機能は示されていないものの、最先端の衝突回避能力を備えた運転支援技術の新しい基準を確立するとしている。プロパイロットの新たな進化に期待したい。

対するホンダは、360+をフラッグシップ級のモデルから今後どのように対象車種を拡大していくかに注目が集まるところだ。

また、レベル3を可能にするエリートの進化バージョンの行方にも注目したい。渋滞時限定ではなく制限速度を満たすレベル3を実装することができれば、自家用車市場に新たな風を吹き込むことになる。ADASから自動運転技術への過渡期を担う重要な技術だ。

■【まとめ】今後はハンズオフ機能で差別化を図っていくフェーズに

プロパイロットとホンダセンシングについては、特段優劣をつけられるような明らかな差は見当たらなかった。レベル2プラスに相当するハンズオフ機能に関しては、プロパイロット2.0が先行しているが、ホンダも360+で追い上げ始めた印象だ。

現在、自家用車市場ではプロパイロットやホンダセンシングといったレベル2相当がスタンダード化しており、今後はハンズオフ可能なレベル2+で差別化を図っていくフェーズが本格化する。

レベル3への進化を含め、両社はどのような戦略で新たな時代に立ち向かうのか。各社の動向に注目したい。

【参考】関連記事としては「自動運転レベルの定義解説【0・1・2・3・4・5の表付き】」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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