サイバートラックのテスラAIで、運転手「死にかけた」!トヨタ車を認識できず?

FSD作動中のトラブル、どんな状況だった?



出典:cybertruckownersclub.com

米EV(電気自動車)大手テスラ自動運転機能が前方の車両を認識できず、事故を起こしそうになるというトラブルが起きた。運転手は「死にかけた」と語っている。

テスラの電動ピックアップトラック「Cybertruck(サイバートラック)」が走行中に、ADAS(先進運転支援システム)「FSD(Full Self-Driving)」を作動していたが、誤作動により前方のトヨタ車を認識できなかったという。


サイバートラックのドライバーがFSDに過度に依存していたという声も出ており、ADASや自動運転機能にどこまで運転を任せられるかについて、正確に把握しておく必要性が改めて浮き彫りになった。

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■テスラのFSDの誤作動事件の概要

テスラのFSD(Full Self-Driving)は直訳すると「完全自動運転」となるものの、現状は自動運転レベル2のADASにとどまる。主な機能としては、車線変更や高速道路の出口でのサポートなどがある。自動運転ではないため、ドライバーは常に状況を把握し、必要に応じて運転操作に介入する必要がある。

サイバートラックは近未来的なデザインのピックアップトラックで、米国では2023年末から納車が始まった。テスラのADASであるFSDのほか、「Autopilot(オートパイロット)」も搭載されている。


今回のケースでは、米国である男性がサイバートラックに乗車中にFSDを使用していた際の出来事について動画を添えて報告している。合流しようとしたら後方から来る赤のトヨタ車を認識せずに車線に入ろうとし、衝突しそうになったという。

▼【動画】FSD Fail 💀 Almost Died|Tesla Cybertruck Forum|Cybertruck Owners Club
https://www.cybertruckownersclub.com/forum/threads/fsd-fail-%F0%9F%92%80-almost-died.34542/

男性は次のようにコメントしている。

「FSDは大失敗した。もう少しで死ぬところだった。手動で介入したとしても防げなかった。幸い、相手のドライバーがハンドルを切って回避してくれた。FSDには致命的な欠陥がある」


■FSDに依存しすぎなのは危険との批判

今回、男性がウェブでアップした動画とコメントについて、多くの人が批判のコメントを寄せている。FSDがレベル2のADASに過ぎず、完全に運転を任せることができないにもかかわらず、システムに頼りすぎていたためだ。

本来、ドライバーはFSDの作動中でもハンドルに手を添え、必要に応じてすぐに手動運転できるよう準備しておく必要がある。今回のドライバーは自分で後方車両の確認を行わなかったため、無理な進入をしようとし危険な目に遭ったとい指摘されているようだ。

実際、このFSDが誤作動していたかは現時点では不明だ。しかし自動運転レベル4または5の水準にならない限り、システムを過信し過ぎるのは危険だということは覚えておきたい。

出典:自動車技術会

■名称がより過信を招いていると指摘

元々FSDやオートパイロットという名称については、米国で長らく議論されてきた。自動運転機能が実装されているという勘違いを誘発しやすいためだ。

米国運輸省長官が「テスラは部分的な自動運転システムをオートパイロットと呼ぶべきではない」と2023年5月に発言したと米メディアが報じたこともある。また同年1月には米カリフォルニア州で、自動運転機能が実装されていると誤解を招くような名称・マーケティングを避けるよう求める新たな法律が施行されている。

これまで、FSDを「自動運転モード」だと勘違いまたは過信して事故を起こしたケースが何度もあった。2016年と2018年には、ハンドルに手を添えずオートパイロットを作動させ、死亡事故に至ったケースもある。

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■日本でもADASによる誤認識が多発

日本でも、ADASによる誤認識が相次いでいる。有名なのが、ホンダのADAS「Honda SENSING(ホンダセンシング)」がラーメンチェーン「天下一品」のロゴを「車両進入禁止」の標識と間違えるという事例だ。両方とも赤地の丸に白の横線のデザインのため、運転中にシステムが誤認識したという報告がSNSなどでされている。

また百均の「セリア」や「キャンドゥ」のロゴを、「制限速度100キロ」の標識と誤って認識しているケースもあった。テスラ車が、ファミリーレストラン「ガスト」の看板を「一時停止」に誤認するということも国内で起きている。

ドライバーレスの自動運転車でない限り、ドライバーは周囲の状況を常に見て、すぐにハンドルやブレーキを操作できる状態にしておかないといけないことは決して忘れてはいけない。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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