テスラ車が木に突っ込む 運転手女性「自動運転モード」と主張

「FSD」という名称問題、どうなる?



テスラのイーロン・マスクCEO=出典:Flickr / Public Domain

米国で、EV(電気自動車)大手のテスラの車両を運転していたドライバーが事故を起こしたようだ。

米メディアの報道によると、事故は2023年5月28日夕方にミシガン州のビッグラピッズで起こった。ある女性がテスラ車を運転し、同州の幹線道路を走行していたところ、クルマが右に寄って道を外れ、木に衝突したのだという。







ここで注目すべきは、そのドライバーがテスラ車を「自動運転モード」にしていたと主張しているということだ。

【参考】関連記事としては「自動運転車の事故(2023年最新版)」も参照。

■「FSD」を自動運転と勘違いか

女性ドライバーはテスラ車を「自動運転モード」に切り替え、走行していたようだ。テスラ車は右に寄ったのちに、完全に道路から外れ木に衝突し、その後、横転したという。そのドライバーは病院に運ばれたが、幸い軽傷であったようだ。

ドライバーが主張する自動運転モードとは、テスラの「FSD(Full Self-Driving)」のことだ。テスラ車には現在、自動運転モードが搭載されていないため、機能の範囲を勘違いしていたと考えられる。

FSDは直訳すると「完全自動運転」になるものの、実際は自動運転レベル2相当のADAS(先進運転支援システム)である。現在テスラはFSD β版を北米でリリースしている。また同社は「Autopilot(オートパイロット)」というADASの提供も行っている。オートパイロットは直訳すると「自動操縦」となるが、これもレベル2相当のADASにとどまる。

■名称変更待ったなしの状況?

テスラのFSDとオートパイロットについては、その名称についてかねてから問題提起されてきた。2023年5月には、米国運輸省長官が「テスラは部分的な自動運転システムをオートパイロットと呼ぶべきではない」と発言している。

また同年1月には米カリフォルニア州で、自動運転機能が実装されていると誤解を招くような名称・マーケティングを避けるよう求める新たな法律が施行されている。

テスラのCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏は、年内に完全自動運転を実現すると発言しているが、名称変更は待ったなしのムードが高まってきた。

【参考】関連記事としては「テスラに苦言!米運輸長官「Autopilotと呼ぶべきではない」」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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