トヨタ社長、自動運転含むCASEを経営統合で「普及加速」へ

三菱ふそうと日野自動車が経営統合



出典:トヨタ公式YouTube動画

三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)と日野自動車は、経営統合に向けた基本合意書を締結したことをこのほど発表した。これにより、MFTBCの親会社であるダイムラートラックと、日野自動車の親会社であるトヨタ自動車を含む4社は、自動運転を含めたCASE技術の開発や商用車事業の強化に向けて協業する。

新会社の名称や体制、協業の範囲や内容については、2024年3月期中の最終契約締結と2024年中の統合完了を目標としているようだ。4社がタッグを組む目的を、詳しく見ていこう。


■商用車メーカー4社協業の目的とは

今回の協業の主な内容は2つだ。

  • MFTBCと日野は対等な立場で統合し、商用車の開発、調達、生産分野で協業。グローバルな競争力のある日本の商用車メーカーを構築
  • ダイムラートラックとトヨタは、両社統合の持株会社(上場)の株式を同割合で保有。水素をはじめCASE技術開発で協業、統合会社の競争力強化を支える

4社には「移動を通じて、豊かな社会に貢献したい」という共通の企業理念があるという。今後も自動車メーカーが世の中で必要な存在であり続けるために、地球環境に優しいクルマを普及させ、社会システムの中で移動の価値を高めていきたいと考えている。

商用車は社会インフラともいえる重要なモビリティであり、商用車を通じた豊かなモビリティ社会を実現するためには、多大な投資が必要になる。商用車メーカーの日本やアジアにおける産業・雇用を守るためには、開発・生産など事業効率を高め、競争力を強化しなければならない。しかし、乗用車に比べ商用車は台数も少なく、日本市場で商用車メーカーが単独で課題に取り組むのは、困難な状況だという。

そこで、MFTBCと日野が経営統合し、事業効率を上げて日本の商用車メーカーの競争力を磨くことで、日本・アジアの自動車産業の基盤を守り、顧客やステークホルダー、日本の自動車産業に貢献していくという。


出典:トヨタ・プレスリリース
■CASE技術の普及を推進

またダイムラートラックとトヨタは、地域に合わせた「グローバル・フルラインアップ」を強みとしており、カーボンニュートラルに向け「マルチパスウェイ」を重要視している。「CASE技術は普及してこそ社会の役に立つ」という理念のもと、両社で協業し、技術開発力の向上やコスト削減、CASE技術の普及を推進していく。

なおマルチパスウェイとは、エネルギー効率が最も高くなるために、全方位で技術の可能性を模索し、さまざまな方法でカーボンフリーを目指すと言う考え方だ。トヨタの佐藤恒治社長は、BEV一辺倒ではなく、世界の顧客に多様な選択肢を提供する全方位のマルチパスウェイ戦略を継続することを表明している。

■自動運転での協業はあるのか?

CASEとは、「Connected(コネクテッド)」「Autonomous(自動運転)「Shared & Services(シェアリング・サービス)」「Electric(電動化)」の頭文字をとった造語だ。

【参考】関連記事としては「CASEの意味は?(2023年最新版) コネクテッドや自動運転を示す略語」も参照。


CASE技術の開発を行うことは、自動運転の取り組みも推し進めることも意味する。今回の発表に際して行われた共同記者会見で、トヨタの佐藤恒治社長は自動運転にも触れている。(以下のYouTube動画の3分8秒あたりからを参照)

佐藤社長は「カーボンニュートラルに向けては、世界の自動車CO2排出量の4割を占める商用車を、環境に優しいモビリティに進化させていくことが不可欠です」とした上で、「そのカギを握るのが、電動化や自動運転などのCASE技術です。CASE技術は、広く普及してこそ社会の役に立ち、そのためには技術開発力が必要です。そのようなCASE時代を生き抜く上で、日本の商用車市場は世界と比べて規模が小さく、各社が単独で戦うことは難しい状況です。豊かなモビリティ社会を創造していくためには、競争のみならずみんなで力を合わせて未来をつくっていくことが強く求められています」と語っている。

CASEを基軸として業界がいま大きく変わろうとしている。今後も業界の動向に注目だ。

【参考】関連記事としては「狙うはCASE!?トヨタ年間研究費1.2兆円に 500億円増」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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