米国で自動運転タクシーサービスを展開している配車サービス大手の米Uber Technologies。そして2024年後半には、中東のUAE(アラブ首長国連邦)でも自動運転タクシーサービスを導入することが、2024年10月3日までに発表された。
米国では米Google系の自動運転開発Waymoの自動運転車両を採用しているUberだが、UAEにおいては中国の自動運転ベンチャーであるWeRideとタッグを組むという。ついにUberによる自動運転タクシーサービスが海外展開することになる。
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■中東での自動運転タクシーサービスの内容
UberはWeRideの自動運転車をライドシェア・プラットフォームに追加し、2024年後半にUAEで自動運転タクシーの運行をスタートすることを同年9月25日に発表した。首都アブダビで開始される予定で、一部の顧客は自動運転タクシーを選択できるようになるという。
WeRideは2023年7月に、UAEで自動運転車の国家ライセンスを取得したと発表している。これにより、同社はUAEでレベル4の自動運転車の走行が可能になった。レベル4は、特定エリア内での完全自動運転が可能となる水準を指す。
その際にWeRideはプレスリリースで、UAEの副大統領兼首相でドバイの統治者であるムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム殿下が、UAEが国内の道路を走る自動運転車に対する初の国家免許を承認し、WeRideに付与したことを紹介している。
UberのCEO(最高経営責任者)ダラ・コスロシャヒ氏は、今回のUAEにおける自動運転タクシーサービス開始について「モビリティの未来がますます共有化、電動化、自動化されることは明らかであり、WeRideのような先進的な自動運転企業と協力し、世界中の都市に自動運転技術のメリットをもたらすことを楽しみにしている」と語っている。
なおUber、WeRideともに、米国や中国で同様のサービスを開始する予定はないとコメントしているという。
【参考】関連記事としては「中国WeRide、UAEで自動運転車の国家ライセンスを取得!」も参照。
■Uberの自動運転タクシーサービス計画
トヨタも出資するUber(※2024年3月期の有価証券報告書では約512万株を保有|出典:https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/library/securities-report/archives/archives_2024_03.pdf)。同社はすでに2023年10月から米アリゾナ州フェニックスにおいて、自動運転タクシーサービスを開始済みだ。米国ではWaymoとタッグを組み、Uberアプリを通じてWaymoの自動運転タクシーを配車可能になっている。自動運転のレベルは「レベル4」(高度運転自動化)で、サービス提供エリア内においては車内が完全無人、つまり安全のためのセーフティドライバーがいない状況で運行されている。
最初から自動運転車を選択することはできないようだが、Uberのアプリの「乗車設定」にて選択することで、自動運転車とマッチングする可能性が高くなるという。自動運転車がマッチングした場合、配車前にユーザーに対して、自動運転車の乗車に応じるかどうかの確認がある。もし不可なら、別の車両を探すこともできる。
コスロシャヒ氏によると、現在までフェニックスで「数万人」のユーザーの移動を支えてきたという。
またUberは2024年9月に入り、テキサス州オースティンやジョージア州アトランタも対象エリアに加え、2024年始めから自動運転タクシーサービスを開始する予定であることを発表している。
■Uberとタッグを組む中国WeRideの実力は
WeRideがUAEで自動運転ライセンスを取得してから1年と少し。実サービスを行うパートナーはUberであることが明らかになったことになる。
2017年設立のWeRideは広東省広州市を本社とし、自動運転レベル4(高度運転自動化)に特化して技術開発を行っている中国の有力ユニコーン(企業価値が10億ドル以上の未上場企業)だ。
2018年11月に広州でロボタクシーの走行を開始、2019年11月には商業化している。海外では、2021年4月に米カリフォルニア州でセーフティドライバーなしの自動運転車の公道試験許可、そして2023年7月にUAEで自動運転車の国家ライセンスを取得した。
同社に投資を行っている企業・組織は数多く、ルノー・日産・三菱アライアンスや中国の大手自動車メーカー広州汽車集団(GAC Motor)、ドイツの自動車部品大手ボッシュなどが挙げられる。
WeRideは2024年7月に、米国でIPO(新規株式公開)申請を行った。米ナスダック市場に上場する予定だ。
【参考】関連記事としては「自動運転レベル4特化の中国WeRide、米国上場へ 6,400億円の評価額、730億円調達か」も参照。
■自動運転タクシー事業に本腰を入れるUber
Uberは着々と、自動運転タクシーサービスの拡大を行っている。同社は2024年8月に、米GM傘下のCruiseとの提携を発表した。展開エリアは明かされていないが、2025年からUberユーザーは自動運転タクシーを配車できるようになるという。また同じく8月に、AI(人工知能)スタートアップの英Wayveとも戦略的提携を行っている。
米国でのサービス提供エリア拡大、UAEでの新規参入ときて、Uberが自動運転タクシーサービスを次に展開するのはどの国・都市になるのだろうか。引き続き注目だ。
【参考】関連記事としては「ウーバー、自動運転タクシーの配車ビジネスで「日本参入」も 米国で着々と事業拡大」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)