ホリエモン参画のHakobot、新型の自動配送ロボ!2026年バイアウトへ前進

ねじ商社の定期配送計画も浮上



出典:Hakobotプレスリリース

自動配送ロボットの開発を進める国内スタートアップの株式会社Hakobot(本社:宮崎県宮崎市/代表取締役:大山純)が、新型モデルの開発を進めていることが判明した。創業から5年が経過し、機体開発とともに事業化に向けた取り組みも進展しているようだ。

新型機の概要とともに、Hakobotの動向を紹介していこう。


■新型機の概要
自動配送ロボット「Hakobase」を開発

Hakobotは、運送業界におけるラストマイル問題の解決に向け2018年に設立されたスタートアップで、自動配送ロボット「Hakobase」の開発を進めている。

設立間もなくして、ホリエモンこと堀江貴文氏がアドバイザー(現取締役)に就任したことでも話題となった。2018年開催の「ホリエモン祭 in 名古屋」で開発中のHakobaseがお披露目されたり、堀江氏のSNSにHakobaseがたびたび話題として登場したりするなど、決して名義だけの関係ではなく堀江氏がしっかりと気にかけていることがよく分かる。

スペック向上で屋外走行も可能に
出典:Hakobotプレスリリース

今回発表されたHakobaseの新型機は、旧型機の特徴をしっかりと引き継ぎつつ新たな設計で性能向上が図られているようだ。


旧型機は4つのモノラルカメラのみで自動運転を行うシステムで、主に屋内向けの使用を想定した作りとなっていたが、新型機は3D-LiDARやステレオカメラなどの各種センサーをシンプルなデザインでレイアウトするなど、自動配送ロボットとして新たな方向性のデザインを見出したという。認識能力もおそらく相当向上しているものと思われる。外観は黒一色で、各社の自動走行ロボットの中ではミニマルで洗練された仕上がりとなっている。

自動運転にはSLAM方式を採用している。また、制御基板類やUIパネルのレイアウトも見直し、高いメンテナンス性とユーザビリティも確保した。

また、旧型機の特徴である、4輪駆動4輪操舵(4WD4WS)はそのまま引き継がれた。オリジナル設計で開発された特許出願済みの技術で、パワフルな走りと小回りの利く走行を両立させ、高い走破性能による屋外走行も可能にしている。タイヤはノーパンクタイヤを使用している。

ボディサイズは全長1,026ミリ×全高946ミリ(荷室を除く)×全幅660ミリで、旧型機と比べ一回り大きくなった。荷室を除く車体重量は98キログラムで、耐荷重(最大積載量)は約100キログラムとしている。


最高時速6キロメートル、1時間の急速充電で約5時間駆動できる。最大登坂角度は10度。

用途に応じて荷室をカスタマイズ可能なセパレート設計も踏襲した。自動運転に必要なシステムはすべて走行ユニットに搭載されており、用途に応じてさまざまな荷室を積み込むことで、配送以外にも買い物支援や移動販売、動くデジタルサイネージなど、幅広い用途での使用を可能にしている。

■Hakobotの動向
三笠製作所と業務提携、開発強化

Hakobotは2018年、制御盤設計などを手掛ける三笠製作所と業務提携を行い、開発体制を強化すると発表した。

三笠製作所は自動運転分野にも進出しており、ドバイに自立走行可能な「無人交番」を納入した実績を誇る。2号機には、Hakobaseの搭載も予定している。

当初計画では、2020年末までに国内とヨーロッパで実証を開始し、2021年に販売開始する予定としていた。計画はずれ込んでいるものの、2019年に長崎県壱岐市で開催されたイベント「SDGs WEEKEND IKI COLORs」に参加し、ロボットを活用してメインステージの演目告知を行うなど、実証を本格化させている。

【参考】三笠製作所の取り組みについては「自動運転の無人交番、日本の三笠製作所が開発!ドバイ万博に納車」も参照。

株式投資型クラウドファンディングで資金調達

Hakobotは2021年、株式投資型クラウドファンディングサービス「FUNDINNO」で投資申込みの受け付けを開始したと発表した。

募集期間は6日間と短かったが、目標募集額3,633万3,000円、上限応募額7,999万2,000円のところ385人の投資家から計6,652万8,000円が寄せられた。

この際の計画では、2022年から主に屋内向けとして一部の顧客を対象にテスト販売を開始し、実証パートナーとの提携を進めながら商社を主とした代理店との連携も深め、2023年以降に一般販売を開始するとしていた。

2024年に量産体制を確立し、2026年内に400台以上のロボット販売を実現し、2026年にバイアウトするロードマップを掲げている。

北海道で雪道実証にも着手

2022年には、堀江氏が創設したロケットベンチャーのインターステラテクノロジズなどの協力のもと、北海道広尾郡大樹町で雪道実証を行ったようだ。

雪道での悪路走破性をはじめ、実際の業務工程に沿った形での実証を進め、タイヤに求められる要件や積載重量の影響などさまざまな観点から検証を重ねたようだ。

【参考】雪道実証については「堀江貴文氏が取締役のHakobot、自動配送ロボの雪道テストを実施」も参照。

名古屋大学と共同研究

Hakobotと大学との連携も進んでいる。Hakobotは2023年4月、名古屋大学の河口研究室と共同研究を実施したと発表した。

同研究室は2022年3月、研究開発用途で走行ユニット「Hakobase」を購入しており、同年11月には茨城県つくば市で開催された自律走行ロボットの技術チャレンジイベント「つくばチャレンジ2022」にHakobaseを改造したモデルで参加している。

共同研究では、Hakobotのハードウェア設計・開発ノウハウと、同研究室の自動運転開発・制御ノウハウを生かした知見共有を行い、より高性能な屋外向けロボットの研究開発を進めたようだ。

こうしたブラッシュアップの成果が、新型機の開発につながっているものと思われる。

【参考】名古屋大学との共同研究については「ホリエモン取締役のHakobot、新型自動配送ロボを近々リリースか」も参照。

サンコーインダストリーと資本提携、定期配送実現へ
サンコーインダストリー東京支社にて奥山社長とHakobot経営陣=出典:Hakobotプレスリリース

Hakobotは2023年8月、ねじ専門商社のサンコーインダストリーと資本業務提携を交わしたと発表した。この資金調達により、新型機の実証とブラッシュアップを進め、製品化に向けた開発を加速していくという。

また、2022年度からサンコーインダストリーの物流センターを中心とした近隣区間における定期ねじ配送についても協議を進めており、物流センターが位置する東大阪市内で新型機を活用した公道走行実現を目指す方針だ。

東大阪市を中心に関西圏における事業展開も視野に入れており、直近では2023年9月に大学構内での実証、同11月にはHANAZONO EXPOというイベントにおいて実証を行う予定としている。

■【まとめ】ビジネス化に向け着実に前進

Hakobotのロボットは着実に進化し、実証やビジネス化に向けた取り組みもしっかりと進展していることが分かった。

道路交通法の改正により、自動走行ロボット実用化に向けた環境はすでに整っている。同業他社が公道実証を本格化させる中、Hakobotもサービス実証を積み重ね、新進気鋭のスタートアップとして存在感をいっそう高めてもらいたい。サンコーインダストリーとの実証など、今後の取り組みに要注目だ。

【参考】関連記事としては「「自動配送ロボ」の未来を担う15社、どんな顔ぶれ?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事