ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏が取締役を務める株式会社Hakobot(本社:宮崎県宮崎市/代表取締役:大山純)が、自動配送ロボットの新型機を近々リリースする予定だという。
Hakobotが2023年4月20日に名古屋大学の河口研究室との共同研究結果報告において発表しており、その中で上記の予定について触れられている。
新型機は、自社開発の自動走行ユニット「Hakobase(ハコベース)」をさらに改良し、完全自社開発で屋外走行可能な自動配送ロボットになるようだ。
■自動運転ロボットベンチャーのHakobot
2018年5月に宮崎県宮崎市で設立されたHakobotは、「なんでも載せられる、しっかり運ぶ」をコンセプトに、Hakobaseに荷室ユニットを合わせた配送ロボットを開発している。2026年に売上高を27億円規模まで伸ばし、その後バイアウトすることを目指している。
Hakobaseは4輪駆動(4WD)・4輪操舵(4WS)の独自設計で開発されており、走行ユニットのみで自動運転が可能だ。荷室は用途に応じてカスタマイズしたものを取り付けられるセパレート設計となっており、イベント時にはデジタルサイネージ、災害時には救命道具を乗せるなど、さまざまな活用方法が想定されている。
【参考】関連記事としては「ホリエモンが取締役の配送ロボ企業、2026年のバイアウトを予定」も参照。
■河口研究室との共同研究の内容は?
今回の共同研究は、名古屋大学の河口研究室が2022年3月に研究開発用途に購入したHakobaseを活用した、屋外走行可能な自動配送ロボットの実装を目指したものとなる。Hakobotはハードウェア設計・開発ノウハウ、河口研究室は自動運転開発・制御ノウハウといった知見を共有し、より高性能の屋外向け自動配送ロボットの研究開発を行った。
河口研究室は、2022年5〜12月に開催された移動ロボットが自律走行する技術チャレンジ「つくばチャレンジ2022」に、Hakobaseを基に開発したロボット「UCL-Hakobot」でエントリーした。
同年6月から共同での取り組みを開始し、オープンソースの自動運転システム「Autoware Universe 」 への対応など、機体やプログラムの改良を重ね、11月の本走行に参加することができたという。これは、屋外での自律走行の実績がない機体を、短期間で屋外自律走行可能なロボットにしていくというチャレンジングな取り組みであったようだ。
Hakobotは今後、共同研究やつくばチャレンジでの走行実証を踏まえ、Hakobaseをさらに改良し、完全自社開発で屋外走行可能な自動配送ロボットの新型機を近日中にリリースする予定だという。
■悪路走破性テストなどをすでに実施
Hakobotは北海道大樹町の商業宇宙港「北海道スペースポート」のロケット射場において、Hakobaseの悪路走破性テストを2022年3月に行った。積雪量3センチほどの場合、ノーマルタイヤでも十分走行可能なことが実証されたという。それ以上の積雪量の場合は、試作機の車高が低かったため、前方フレーム部に雪があたり走行の邪魔になったが、4輪駆動により雪を押し出すように走行することができたようだ。
また、前方の車体を雪かき用のパーツに置き換えることで、人一人が通れるようなスペースを確保するための雪かきを行うという活用方法も見込めることが分かった。
また同年12月には、近畿大学と共同で学生向け昼食配送サービスの実証実験を行った。キャンパス内で弁当を積んだHakobotを遠隔操作し、走行ユニットが屋外で正常に走行できるかを検証するものだ。学生はキャンパス内の所定の場所で弁当を受け取る。今後、大学外でも引き取りの実証を行う予定だという。
Hakobotと近畿大学は、ロボットによる自動化をこれからも進めていくとしている。
■積極的に自動運転ロボットを開発
Hakobotは共同研究や実証実験のほか、クラウドファンディングによる投資申込み受付も過去に行っている。資金調達により資本力の充実を図り、事業の成長につなげることが目的であった。このプロジェクトでは、目標募集額3,633万3,000円に対し、倍近くの6,652万8,000円を調達できたようだ。
積極的に自動運転ロボット開発に取り組むHakobot。屋外走行可能な自動配送ロボットのリリースを楽しみに待ちたい。
【参考】関連記事としては「堀江貴文氏が取締役のHakobot、自動配送ロボの雪道テストを実施」も参照。