SB孫さんの「Arm上場」で、個人投資家の老後が安泰に!?

ナスダック上場銘柄を購入するには?



出典;ソフトバンクグループ公式動画

ソフトバンクグループの半導体設計企業・英Arm(アーム)の上場がいよいよ現実味を帯びてきた。報道によると、2023年中の米ナスダック上場を目指す方針で、すでに水面下で動きがあるようだ。

上場時の企業価値は6兆円規模に達するとの見方も強く、投資家からの視線も熱くなるものと思われるが、日本国内からArmに投資したい場合、どのような方法で株を購入すればよいのか。


この記事では、Arm上場に向け外国株式を購入する方法について解説していく。

■外国株式の購入方法
Armは米ナスダック市場に上場予定

Armが上場を予定しているのは、米ナスダック市場だ。つまり、日本国内から見れば外国株式となる。国内株式を購入する場合とやや勝手は異なるが、それほど複雑なものではない。

まず、当たり前だが証券会社に口座を開設する。この際、外国株式を取り扱っている会社を選ばなければならない。

有名どころの証券会社はほぼ外国株式を扱っているが、会社によって米国や中国、シンガポールなど取り扱っている国や銘柄数が異なるため注意が必要だ。大半は米国株を取り扱い、ナスダックとニューヨーク証券取引所を抑えているので心配ないが、「口座を開設したものの取り扱いがない!?」――とならないよう、下調べを行った上で証券会社を選択しよう。


証券会社の口座開設には、銀行などと同様本人確認(書類)が必要となるが、これらの説明については割愛する。

開設後は、証券会社によっては「外国株式口座」などの開設が必要になる場合がある。例えば、楽天証券は外国株式も特定口座で取引可能だが、SBI証券は外国株式取引口座が必要となる。

詳細は各証券会社の説明を参照してもらいたいが、外国株式取引口座の開設は特に手間を要せず、簡単な手続きで開設することができるので、それほど心配しなくても大丈夫だ。

その後は、企業名やティッカーシンボルで銘柄を検索し、企業情報を踏まえながら買い注文を行う――といった流れだ。指値や成行といった注文方法については、各証券会社の説明を参照してもらいたい。


ティッカーシンボルは、銘柄を識別するため各企業に付与されるコードで、アルファベット1~4文字で表示されるものだ。例えば、以前上場していたArmホールディングスのティッカーシンボルは「ARMH」であった。

証券会社選択時の注意点

先に触れたが、証券会社によって取り扱う銘柄に違いがあるほか、提供される情報や取引手数料・為替手数料などが異なる。特に、手数料については各社に差があるため、証券会社を選ぶ際の1つのポイントとなる。

また、証券会社によって、日本円で決済する「円建て」とドルで決済する「ドル建て」の片方にしか対応していないケースもあるようだ。円で決済する場合、証券会社が代わりにドルに両替してくれるため手間はかからないが、株の購入・売却のたびに為替手数料が発生する。

ドル建ての場合、自分でドルを準備する必要があるものの、両替時にしか為替手数料が発生しないため、取引数が多い場合はこちらの方が有利かもしれない。

■外国株の特徴
外国株は1株から購入できる

日本株は単元株制度のもと、各社が一定株数を1単元と定め、議決権の行使を認めている。単元は1,000株以内と定められており、これに満たない場合は議決権を得ることができず、基本的に株主優待なども受けられない。ミニ株など例外はあるが、国内ではこの単元株をベースに各銘柄を購入することになる。

例えばトヨタの場合、株価は1,833円(2023年4月19日付)で、単元株数が100株となっているため、1,833円×100株で18万3,300円が必要になる。

しかし、米国には単元株制度はないため、基本的に1株単位で売買することができる。例えば、2022年にナスダック市場に上場したモービルアイの株価は45.94ドル(2023年4月19日付)となっており、為替相場が1ドル134円であれば45.94×134=6,156円から購入することができるのだ。

同様に、テスラ(ナスダック/TSLA)は184.31ドル=2万4,698円、Luminar Technologies(ナスダック/LAZR)は6.29ドル=843円、Aurora Innovation(ナスダック/AUR)に至っては1.57ドル=210円から購入可能なのだ。

もちろん、1株単位で購入するだけでは相対的に手数料負担が大きくなるため、利益を出すためには結局100株~などの単位で購入を検討しなければならない。金銭的なハードルが低い1株単位の購入は、お試し的に購入する点でメリットがあると言える。

ナスダック市場はハイテク株の宝庫

ハイテク株が多いナスダック市場は、スタートアップ卒業組の宝庫だ。かつてスタートアップだったグーグルやメタ、アマゾンをはじめとするGAMFAもナスダック組で、その成長ぶりは説明するまでもないだろう。

投資意欲が盛んな米国は、企業の動向などに株価が敏感に反応しやすく、日本以上に株価が乱高下しがちだ。特にスタートアップを卒業したばかりの企業は大きな爆発力を秘めている。ハイリスク・ハイリターンの世界であるがゆえ、一攫千金も夢ではないのだ。

配当金が高い?

米国株は、日本株に比べ配当利回りが高い銘柄が多い。投資大国ゆえ、投資家への還元に積極的な企業が多いのだ。年4回配当を支払う企業も多いようだ。その一方、株主優待制度は基本的に存在しない。

海外IPO公募への参加は?

海外市場におけるIPO(新規公開株式)に日本国内から参加するのは、非常に難しい。なぜなら、IPO株が日本の証券会社に割り当てられないことに加え、米国内においても購入は機関投資家などに限られ、一般投資家が購入するのは困難なためだ。そのため、基本的には初値が付いた後の寄り付き後、セカンダリー市場に参加する形となる。

代替策としては、IPO銘柄を組み入れたETF(上場投資信託)に投資する手法がある。また、証券売買アプリを提供するフィンテック企業・米ロビンフッド・マーケッツのように、一般投資家にIPO株の購入の道を開く取り組みも進んでいるようだ。

ただ、基本的には上場後に初値がついた後に購入するものと思っておけば問題ない。

■Arm上場への道

Armは、1990年に英国で設立された半導体設計企業だ。半導体IP=知的財産権を武器としており、半導体の設計技術をライセンス供与して収益を上げるビジネスモデルが特徴だ。

1998年にロンドン証券取引所とナスダックに上場を果たし、以後も業績を上げ続けてきた。2016年にSBGが総額約240億ポンド(約310億ドル/約3.3兆円)で買収し、その際Armは上場廃止した。

上場廃止時の同社の時価総額は約319億ドル、当時の為替相場で換算すると約3兆2,800億円となる。

SBG傘下に入った後も事業は好調に推移しており、SBGによると、Armベースのチップ出荷数は2021年度までに年間290億個に達している。

マーケットシェア(数量ベース)は、スマートフォンやタブレットなどのモバイル向けで95%、産業向け・IoT製品向けの組込型チップやIoTチップで63%、プロセッサ搭載自動車向けチップで24%、クラウド事業者のサーバーで5%という。

一時NVIDIAへの売却が進められたが断念し、再上場を目指すこととなった。公式発表はまだされていないものの、各報道によるとArmのレネ・ハースCEOが米国単独上場に言及しており、4月中にもナスダック上場に向けIPO申請に入るとも報じられている。

2023年中の上場を目指す見通しで、恐らく5月に開かれる2023年3月期決算説明会で正式発表されるものと思われる。

【参考】Arm上場については「孫氏、6兆円上場で起死回生!カギは「自動運転半導体」」も参照。

■【まとめ】世界的注目のArm上場 今から準備を!!

上場時期や上場後の株価変動は世界経済に左右される面も大きく、必ずしもArm株購入で収益を得られる保証はない。

しかし、ナスダック市場においても有数の大型上場になると見込まれており、世界的な注目を集めることは間違いない。

Arm株に興味のある人は今からしっかりと準備し、情報収集に務めよう。

【参考】関連記事としては「自動運転、米国株・日本株の銘柄一覧(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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