世界に先駆けて自動運転タクシーサービスの実証実験や実用化が進む米カリフォルニア州サンフランシスコで、サービスの拡大に「待った!」がかかった。
サンフランシスコ交通当局はWaymoとCruiseに対し、安全上の懸念から自動運転タクシーサービスの拡大を遅らせるよう求めているという。
両社はカリフォルニア州車両管理局(DMV)から、完全無人の自動運転を公道で認める「Driverless Testing」の許可を得ている。ただ、市内を無人走行している最中に急停止したり、交通渋滞を引き起こしたりというトラブルを頻発させている。
【参考】関連記事としては「Google系の自動運転タクシーが立ち往生!Twitterで目撃投稿」も参照。
■現時点での課題が浮き彫りに
報道などによると、米Google傘下のWaymoは2018年、米GM傘下のCruiseは2020年10月に、DMVからドライバーレスの自動運転車の公道実証の許可を得ている。しかし、走行実績を伸ばすとともに、現時点での自動運転技術が抱えている課題も浮き彫りになった形だ。
Waymoの無人運転車は2023年1月に交差点の真ん中に停車し、交通渋滞を引き起こした。2022年4月と6月には、Cruiseの複数台の自動運転タクシーが公道をふさぐ形で数時間立ち往生した。また同時期にトヨタのプリウスと衝突事故を起こした。
これらの騒動や事故を受け、米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は調査を行い、Cruiseはサンフランシスコで展開中の自動運転タクシー80台のソフトウェアを全てリコールした。
■「2社のサービス拡大は不合理」
報道によると、サンフランシスコ交通当局の関係者は「2社のサービス拡大は不合理である」とし、完全無人の自動運転タクシーの有用性は支持する一方、高い安全性を求めているという。
そして、交通問題を引き起こす時間帯や頻度のデータをしっかりと収集するよう2社に求め、さらには、道路運営や交通サービスに大きな支障を与えることがなくなるまで、中心部での運転を制限することも要望している。
Cruiseの広報担当者は「Cruiseの安全記録は公表されており、複雑な都市環境で数百万マイルを走行し、命にかかわる怪我や死亡はゼロだった」と強調している。
■両社に求められるさらなる技術革新
新たな技術の普及には既存社会との摩擦やジレンマが発生しがちで、技術の受け入れに消極的な行政を批判する声はよく聞かれるが、少なくとも安全度を高めるための取り組みが重要であるのは間違いない。
現在起きているトラブルの中には、一歩間違えれば死亡事故に結びつきそうなものもある(※急停止の事例など)。両社にはさらなる技術革新が求められる。
【参考】関連記事としては「WaymoとGM Cruise、自動運転タクシーでガチンコ勝負」も参照。