オーストリアの自動車部品メーカーであるBENTELER(ベントラー)の新ブランド「HOLON」は、自動車規格に準拠した世界初の自動運転車を発表した。同社は自動車規格に準拠した自動運転車としては「世界初」だとしている。
2023年1月5~8日に米ラスベガスで開催された技術見本市「CES 2023」で発表されたもので、自動運転レベル4の機能を備えているという。
■自動運転に特化して設計
自動運転車「HOLON」は完全な電動駆動で、最大限の機能性と高い認知度を両立させた、非対称のデザインが印象的だ。無線によるアップデートで常に最新の状態が保たれ、乗客輸送、貨物輸送の両方で活躍できる。開発時には、持続可能な材料を使用することに重点が置かれていたようだ。
最大15人の乗車が可能で、最高時速60キロ、航続距離は約290キロだとなっている。オンデマンドサービスはもちろん、通常の定期運行サービスにも使用できるようだ。誰でも等しくモビリティがもたらす自由を享受できるよう、ゼロから設計したという。設計は長期パートナーの伊ピニンファリーナが担当した。
座席はプライバシーに配慮されながら、安全性も確保されているという。光電子センサー付き電動ダブルウイングドアや自動昇降機能付きスロープを標準装備することで、バリアフリーにも対応している。車椅子は車内で自動的に固定される機能があるようだ。点字情報やオーディオビジュアル案内により、視覚障がい者の移動もサポートする。
HOLONのマネージングディレクターであるMarco Kollmeier氏は「私たちのムーバーは、自動運転に特化して設計されており、これは開発の全ての段階や細部にわたって反映されている。その結果、この分野においては世界最高品質の車両が誕生した」と自信を見せている。
■Mobileyeの自動運転システム採用
パートナー企業である米インテル傘下のイスラエル企業Mobileye(モービルアイ)の自動運転システム「Mobileye Drive」をベースにしている点にも注目だ。
HOLONの拡張性は、異なる冗長センサーを利用する高度なセンシングシステムと、革新的なマッピング技術、運転ポリシーのための正式モデル の3つの機能により、保証されている。
Mobileyeの自動運転システム部門のシニアバイスプレジデントであるJohann Jungwirth氏は「当社の自動運転システムは、HOLONムーバーのような画期的なモビリティーコンセプトを実現するために設計されている」とした上で「HOLONの開発が実現したことは、当社のアプローチのロバスト性とスケーラビリティーを証明するものである」とコメントしている。
■2025年末に米国で生産開始予定
最初のプロジェクトとしては、独ハンブルグで2番目に大きい公共交通機関であるHochbahnとの共同プロジェクトが発表されている。米国においては、モビリティサービスプロバイダーのBeepが最初の車両を導入する予定だ。
そのほか、大学構内や空港、国立公園といった施設での導入が見込まれる。2025年末にアメリカでの生産が始まり、その後ヨーロッパや中東、アジアにおいて生産を増強する予定のようだ。
▼HOLON公式サイト
https://www.driveholon.com/en/