運賃は家族に課金!上海MaaSアプリのユニーク機能

行政ローンチの「随申行(Suishenxing)」アプリ



出典:App Store

中国・上海で、さまざまな交通手段を一元的に検索・予約・決済できる「MaaSアプリ」がこのほど展開された。政府が主導する「随申行(Suishenxing)」という名称のアプリで、現地メディアの報道によると、大都市向けMaaSプラットフォームはこれが世界初になるという。

このSuishenxingというアプリが「世界初」かは微妙なところだ。元祖MaaSアプリと言えばフィンランド企業のMaaS Globalが展開している「Whim」があり、Whimでもさまざまな交通手段を横断的に検索・予約・決済できるからだ。


しかし、上海という大都市でさまざまな移動手段を1つのアプリで乗りこなすことができるのが非常に便利なことは言うまでもない。Suishenxingとはどんなアプリなのか。現地メディアの報道をベースに説明しよう。

■「グリーンクレジット」が貯まる仕組みも

Suishenxingはオールインワンの都市型交通プラットフォームという位置付けで、行政側が主導してローンチされた。

上海のバス1,560路線や地下鉄11路線、フェリー17路線などをカバーしており、検索・予約・決済を1つのプラットフォームで可能にしている。その他、タクシー配車サービスや駐車場の検索・予約アプリとも連携する予定となっている。

高齢者が簡単に使えるような仕様になっており、スマホ画面のボタンを押すか顔認証をするだけで、タクシーを呼び出すことができる仕様を備えているようだ。タクシー料金が事前登録した家族などに課金される仕組みもあるようで、さまざまな工夫が施されている印象を受ける。


Suishenxingは環境に配慮されていることにも注目だ。地下鉄やバスといった環境に優しい移動手段を選択すると、ユーザーは「グリーンクレジット」というポイントを受け取ることができる。そのポイントで、商品と交換したりオンラインゲームを楽しんだりすることができる。

■アプリはApp Storeで登録済み

App Storeでは、Suishenxingアプリがすでに登録されており、中国語ではあるが、アプリの説明が書かれている。興味のある人は以下のリンクから開いてみてほしい。

▼随申行 on the App Store
https://apps.apple.com/ph/app/%E9%9A%8F%E7%94%B3%E8%A1%8C/id1616481960

同アプリのバージョンアップ履歴をみると、現在のバージョンは1.6.6で、初期バージョンである「1.0.0」は2022年5月10日にApp Storeに登録され、その後、現在までに8回のバージョンアップが行われている。


Suishenxingは、2022年末までに地下鉄全線に対応する予定になっている。人口2,500万人を超える巨大都市でスタートしたMaaSアプリは、多くの上海市民に利用されるようになっていくのか、注目したい。

【参考】関連記事としては「MaaS解説(2022年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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