トヨタ社長の長男、「未来都市」作りに挑む

静岡で2年後にオープン?自動運転も試す街



出典:ウーブン・アルファ公式サイト

トヨタ自動車の現社長は豊田章男氏だ。その章男氏の長男・大輔氏は、トヨタが建設中の実証都市「Woven City(ウーブン・シティ)」のプロジェクトにおけるリーダーの1人だ。

大輔氏の役職は、Woven City事業などを手掛けるトヨタの子会社「Woven Planet Holdings」のSenior Vice Presidentで、かつウーブン・アルファの代表取締役も務めており、Head of Woven City Managementという肩書きもついている。


■大輔氏はどんな人?

大輔氏はウーブン・アルファの公式サイトにおいては、以下のように紹介されている。

ウーブン・プラネットのSenior Vice Presidentであり、ウーブン・アルファの代表取締役を務める。ウーブン・プラネットの前身であるTRI-AD創業メンバーの一人として、従業員がそれぞれの業務に集中でき、かつ情報共有ツールを活用した生産性と効率性を最大化できるイノベーティブな環境整備に取り組んできた。現在は、Woven City(ウーブン・シティ)のプロジェクトを通じて、幸せがあふれる街づくりに向けた挑戦を続けている。

TRI-ADに勤務する以前は、トヨタ自動車の電子制御技術部にてソフトウェア主導型開発を推進。また、レーシングドライバーとして、耐久レースやモータースポーツイベントに参加している。クルマの走行で得たスキルや知見を活用し、「Fun to drive」の理解を深めながら「いいクルマ」の定義を考え、人の心を動かす自動運転技術やモビリティの開発をめざしている。

慶應義塾大学にて学士号、米国バブソン大学にて経営学修士を取得。普段から新しい食べ物や味への探求心が強いことからCLO(Chief Lunch Officer)の異名をとる。すべての物事において「先味・中味・後味」を楽しむことをモットーとしている。(出典:https://www.woven-planet.global/jp/leader/Daisuke-Toyoda/2PA8ali9Dip1jTsFJa8z85


Woven Planet HoldingsのCEO(最高経営責任者)であるジェームス・カフナー氏とともに、大輔氏がどのようにWoven Cityの取り組みにアプローチしていくのか、注目したい。

■章男社長が発表したWoven City
Woven City計画=出典:トヨタプレスリリース

そんなWoven Cityについて、説明をしておこう。

Woven City構想は、2020年1月に豊田章男社長自らが発表した。2020年末に閉鎖したトヨタ自動車東日本の東富士工場の跡地(静岡県裾野市)を再開発し、トヨタの実証都市をつくるという一大プロジェクトだ。自動運転を始め、さまざまな先進技術が将来試される未来都市という位置付けだ。

2021年2月には地鎮祭が行われ、2024〜2025年に第1期オープンを目指すということが明らかになった。まず360人ほどが住み、新たな技術やサービスの実証・導入を本格化していくという。


2022年10月10日には安全祈願祭が行われ、フェーズ1の建築本体工事が2022年11月から開始されることが明らかになった。カフナーCEOは「『未来の当たり前』になるようなサービスを実証実験する街で、その実験を通し生まれた新しい価値はトヨタが目指す『幸せの量産』へとつながることを信じる」とコメントしている。

■トヨタの未来を占う一大プロジェクト

このトヨタの一大プロジェクトは、トヨタが自動車をつくる会社から「モビリティカンパニー」への変革を目指す過程において、非常に重要な取り組みだ。日本においてゼロから未来都市をつくる大規模な取り組みは他には耳にしない。

いうなれば、トヨタの未来を占うとも言えるWoven City。大輔氏のリーダーシップのもと、どのような挑戦が行われ、どういったイノベーションが起きるのか、注目だ。

【参考】関連記事としては「Woven City、第1期は2024年開業か 初期住民は360人」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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