自動運転業界のスターエンジニアとして知られるクリス・アームソン氏らが創業した自動運転開発企業である米Aurora Innovationが、AppleやMicrosoftへの身売りを検討していたことが、このほど明らかになった。
厳しい市場環境やパートナー企業のスケジュールの遅延を受けた計画だったようだ。
■生き残るための1つの選択肢
報道によれば、アームソン氏が2022年8月3日付に残したメモには、コスト削減の方針や株式非公開化、スピンオフ、資産売却、小規模資金調達などの計画が記されていたという。
このメモを受け、同社の広報担当者は「こうした考えを巡らせることはポジティブなサインであり、良い管理体制を構築している証しだと考えている 」とメールで述べたようだ。
このニュースにより、同社の株価は32%上昇した。しかし、2022年に入って株価は81%も下落しており、現在の時価総額は約29億ドル(約4,100億円)となっている。
■Auroraはどのような企業?
Auroraは、Googleで自動運転開発プロジェクトに携わっていたクリス・アームソン氏と、米テスラの自動運転機能 「オート・パイロット」の開発責任者も務めたスターリング・アンダーソン氏、ライドシェア大手の米Uberで自動運転開発リーダーを務めたドリュー・バグネル氏が2016年に設立した。
2018〜2019年に独VWグループやFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)と提携し、存在感を高めた。2020年12月にUberの自動運転開発部門「Advanced Technologies Group(ATG)」を買収している。UberはAuroraに4億ドル(当時約440億円)を投資し、AuroraはUberに自動運転技術を提供している。
2021年2月には、トヨタとデンソーと戦略的パートナーシップを締結した。同年3月にはボルボグループと、高速道路における自動運転を可能にする次世代トラックを開発したことを発表している。2023年後半に自動運転トラック「Aurora Horizon」の商用展開をスタートさせ、2024年には自動運転タクシー事業「Aurora Connect」を展開させる予定だという。
Auroraは米Amazonからも多額の資金を調達しており、Amazonは将来的にAuroraの自動運転技術を商品配送などに生かすことを検討しているようだ。そして2021年11月には、ナスダック市場でSPAC上場を果たした。ティッカーシンボルは「AUR」だ。
■市場の有望性を考えると、今は耐えるべき時?
さまざまな大手企業との提携やSPAC上場で存在感を示してきたAurora。市場環境の厳しさやパートナー企業のスケジュール遅延などにより、苦戦があったことがうかがえるが、自動運転市場の今後の有望性を考えると、いまは耐えるべき時とも言えそうだ。
▼Aurora Innovation公式サイト
https://aurora.tech/
【参考】関連記事としては「トヨタが提携のAurora、自動運転で「テキサスUターン」もクリア」も参照。