中国の自動運転ベンチャーWeRideがIPO(新規株式公開)を検討していると報道された。米国または香港で上場し、約5億ドル(約688億万円)を調達する可能性があるという。
2022年3月に実施された前回の資金調達ラウンドでの同社の評価額は、44億ドル(約6,053億円)だったという。
■米国でのIPOで超えるべきハードル
WeRideは早ければ2022年9月には最初の株式売却を申請し、今年中の上場を目指す可能性もあるようだ。しかし、2021年6月に中国のライドシェア最大手のDiDiがIPO上場を実施して以来、ほとんどの中国企業は米国での上場を避けている。両国の規制当局が取締りを始め、12月に北京が海外株式販売に関する抜本的規則を導入したためだ。
サイバーセキュリティの審査を受け、国家安全保障を脅かすと判断された場合、海外上場は禁止されるという。米国で取引のある中国企業であっても、規制当局が監査規則について合意しないと、上場廃止の危機に面するようだ。
DiDi以降で最大のIPOは、香港のメタバース企業であるAMTD Digitalで、2022年5月の上場で1億4,400万ドル(約192億円)を調達し、ブルームバーグによれば株価は一時3万2,000%以上高騰したという。
■WeRideのこれまでの取り組み
2017年設立のWeRideは自動運転レベル4の自動運転タクシーサービスの開発に注力している。中国広州に本社を置き、中国各地と米サンノゼに拠点を持つ。2020年7月には広州において、完全無人の自動運転タクシーの実証をスタートしている。
2021年4月には米カリフォルニアにおいて、セーフティドライバーなしの自動運転車の公道試験許可を取得している。中国と米国の両方で自動運転テストの許可を取得した世界で初めてのスタートアップとなった。2022年5月からは広州市において、中国発の量産型自動運転道路清掃車「Robo Street Sweeper」を50台以上投入して公道試験を実施している。
同年6月3日までには、独自動車部品大手のボッシュから戦略的投資を受けたことを発表している。投資金額は非公開だが、両社は戦略的協力協定を締結した。自動運転ソフトウェアの共同開発を開始し、中国のOEMメーカーに提供していくという。
■引き続きWeRideの動向に注目
直近は落ち着いているが、ここ数年は自動運転関連のスタートアップ企業の上場が続いている。自動運転市場は実用化によって本格化しつつある。引き続きWeRideの動向に注目していきたい。
▼WeRide公式サイト
https://www.weride.ai/
【参考】関連記事としては「ボッシュ、中国の自動運転企業WeRideに出資!狙いは?」も参照。