自動車メーカーは「Cruise」「Pilot」がお好き!自動運転機能や運転支援機能で

似た名称で、GMとフォードは裁判沙汰に



アメリカを代表する自動車メーカー、フォード・モーターズとゼネラル・モーターズ。2社がそれぞれの運転支援技術や自動運転技術の商標に、似た名称を使用しているのをご存知だろうか。


GMは運転支援機能として「Super Cruise」を、一方でフォードは「Blue Cruise」という名称を使用している。実はこの名称を巡り、裁判が起きている。2021年7月にGMがフォードに対して商標名称の差し止めを求めて提訴し、フォードは翌月に逆提訴をすることを発表した。

現在は和解の方向性となっているようだが、なぜ両社は「Cruise(クルーズ)」と呼ばれる単語にこだわるのだろうか。

■GMとFordがともに「Cruise」という単語を使用

Cruiseという単語が使われている理由について、両メーカーから詳しい説明がないが、自動車の機能の1つに「Cruise Control」(クルーズ・コントロール)があり、Cruiseという言葉が運転支援機能において象徴的に使われるようになっていることは確かだ。

【参考】Cruise Controlは一般的に、アクセルを踏み続けることなく一定の速度を維持し、運転手の疲労軽減を目指した機能のことを指す。


確かにこのCruiseという単語は、日本の日産自動車も「インテリジェント・クルーズ・コントロール」、トヨタ自動車も「レーダー・クルーズ・コントロール」などというように、一機能の名称として使っている。

ちなみにGMに関しては、傘下にCruiseという自動運転開発企業を抱えており、この企業名がルーツなどでは?と感じる人もいるかもしれないが、Cruiseは元々「Voyage」という社名だったため、その説は誤りだ。

■別なワードのトレンドが生まれる可能性も?

各社が似た名称を使うことで裁判沙汰になる可能性は、今後もあり得る。例えば、日産は「ProPILOT」、テスラは「AutoPilot」という名称で自動運転機能を展開しており、この両社の名称も似通っている。

ちなみにGMは2021年10月、Super Cruiseの上位互換の機能として「Ultra Cruise」も発表している。走行シーンの95%でハンズフリー走行が可能となる機能だという。

高速道路だけではなく、市街地や舗装された田舎道など、実に通常の走行シーンの95%にあたる道路上でハンズフリー走行が可能になることを想定して開発される。

自動車業界において「Cruise」や「Pilot」といった単語は今後も積極的に使用されるのか、はたまた別なワードのトレンドが生まれるのか、注目していきたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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