「31,910キロ」何の数字?ヒントは「自動運転」 日本縦断10回分以上の距離

DMPがデータ化した高速道などの総距離



「31,910キロ」。一体何の数字か想像がつくだろうか?


正解は、ダイナミックマップ基盤株式会社(本社:東京都中央区/代表取締役社長:稲畑廣行)=DMP=がデータ収集した「高速道路」と「自動車専用道路」の総距離(2021年9月末時点)だ。

これらのデータは自動運転車のために集めたもので、日本縦断が約3,000キロと言われているので、すでに日本縦断10回分以上の距離に及ぶ道路のデータを集めたことになる。

■高精度3次元地図データを提供するDMP

DMPは「高精度3次元地図データ」を提供する企業だ。高精度3次元地図データには、自動図化技術とデータ統合技術によって生成された「地物」が収録されている。その精度はセンチメートル級で、自動運転システムで求められる精度をクリアしている。

地物は「実在地物」と「仮想地物」に分類でき、実在地物は区画線や道路標識など現実世界に存在する地物のデータのことで、自己位置推定の精度向上などに寄与する。一方の仮想地物は、車両が通行すべき走路を示した線など、現実世界には存在しないもののことだ。


そして冒頭触れた通り、高精度3次元地図データに収録された路線は、全国の高速道路と自動車専用道路を合わせて31,910キロとなっている。ちなみに地物データは定期的に確認・更新され、データの「鮮度」が常に保たれるようになっている。

出典:ダイナミックマップ基盤・公式サイト

▼高精度3次元地図データ(HDマップ)|ダイナミックマップ基盤
https://www.dynamic-maps.co.jp/service/hdmap/index.html

■地図データを使った自動運転に必要不可欠なデータ

DMPは2016年にして設立され、出資企業にはトヨタホンダなどの大手自動車メーカーのほか、三菱電機やアイサンテクノロジーなどが名を連ねる。2019年には日産の「ProPILOT 2.0」、2021年3月にはホンダの「Honda SENSING Elite」で地図データが採用されている。

DMPは2019年2月に米Ushr(アッシャー)を買収している。Ushrは米国において高精度3次元道路地図を提供する企業で、この買収によりDMPは北米の地図データを使用することが可能となった。


またこれまでに、次世代の高精度3次元地図データを2023年度から展開する計画を明らかにしている。従来の地図データの異なり、一般道もデータ化の対象に含まれるという。地図データ作成のプロセスも効率化させ、提供価格も抑えるようだ。

地図データを使った自動運転の場合、DMPのような取り組みが必要不可欠だ。同社の今後の取り組みに、引き続き注目していきたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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