日本の自動車業界が2021年2月11日までに、「つながるクルマ」いわゆるコネクテッドカーに関し、サイバー攻撃対策のための新団体を設立した。一般社団法人「Japan Automotive ISAC(J-Auto-ISAC)」だ。
日本自動車工業会に所属する自動車メーカー全14社と、日本部品工業会に所属する主要サプライヤー7社が発起人となり、設立された。ISACは「Information Sharing and Analysis Center」の略で、サイバーセキュリティ情報を共有・分析する組織を意味する。
日本ではこれまで、2017年に日本自動車工業会内に発足したワーキンググループ「J-Auto-ISAC WG」が中心となり、日本部品工業会や米国Auto ISACとともに課題に取り組んできた。
そんな中で、コネクテッドカー関連の事業を手掛ける企業が増え、業種や事業規模を超えた幅広い連携を実現するため、このたびJ-Auto-ISACを設立したという。
発起人となった企業は以下の通りだ。
- いすゞ自動車株式会社
- 川崎重工業株式会社
- スズキ株式会社
- 株式会社SUBARU
- ダイハツ工業株式会社
- トヨタ自動車株式会社
- 日産自動車株式会社
- 日野自動車株式会社
- 本田技研工業株式会社
- マツダ株式会社
- 三菱自動車工業株式会社
- 三菱ふそうトラック・バス株式会社
- ヤマハ発動機株式会社
- UDトラックス株式会社
- アイシン精機株式会社
- 住友電気工業株式会社
- 株式会社デンソー
- パナソニック株式会社
- 日立Astemo株式会社
- マレリ株式会社
- 三菱電機株式会社
■もしも自動車が乗っ取られてしまったら…
日本を含む世界で自動車のコネクテッド化が加速しているが、コネクテッドカー最大の課題としてハッキングの脅威が挙げられる。
コネクテッド化はクルマの自動運転化を実現し、渋滞情報や事故情報の共有やインフォテインメント機能の充実などにつながるが、こうした利便性の向上とサイバー攻撃を受けるリスクは表裏一体だ。
コネクテッドカーがサイバー攻撃を受けた場合、ハンドル制御やアクセル制御を乗っ取られるリスクがあり、ハッカーが悪意をもって自動車を暴走させれば、重大な事故が引き起こされる可能性もある。
ちなみに2015年にセキュリティ研究者により、「ジープ・チェロキー」のオーディオシステムに侵入してスピードなどを遠隔操作する安全実験が行われ、この際にはハッキングによって遠隔操作が可能であることが判明し、実験後に140万台がリコールされている。
■2035年には新車の80%以上がコネクテッドカーに
調査会社の富士経済が2020年6月に公表した推測によれば、2035年には世界で販売される新車の80%以上がコネクテッドカーになると予測されている。
こうした将来に向け、コネクテッドカーのサイバー対策は待ったなしの状況だ。今回新たに設立されたJ-Auto-ISACの取り組みに期待していきたい。
【参考】関連記事としては「コネクテッドカーとは?各自動車メーカーの開発状況まとめ トヨタ、日産・・・」も参照。