「自動運転レベル4」の法規要件の策定へ、国交省が2億円予算

2022年度概算要求、関連予算軒並み増額



国土交通省の2022年度予算概算要求概要がこのほど公表された。ADAS(先進運転支援システム)や自動運転関連予算は軒並み増額要求しており、技術の実用化と高度化の進展を背景に取り組みをますます加速させていく方針だ。







この記事ではADASやコネクテッド技術を含め、国土交通省と同省道路局による2022年度の関連予算の概算要求の中身を紹介していく。

記事の目次

■国土交通省:豊かで活力ある地方創りと分散型の国づくり
次世代モビリティの普及促進:要求額4億円

ポストコロナにおけるヒト・モノの移動ニーズの変化に対応するため、AIやIoT などの新技術を活用した次世代モビリティの普及を促進する。具体的には、以下を進めていくという。

  • ポストコロナの移動需要を取り込むための公共交通等の高度化の推進
  • 道路空間における新たなモビリティサービスの利用環境の整備
  • ETC2.0のデータ活用(オープン化)による地域のモビリティサービス強化
  • 無人航空機(ドローン)の有人地帯での目視外飛行の実現に向けた環境整備の推進
  • CTスキャンを活用した非破壊検査による無人航空機事故調査等の実施
  • 新たなビジネスとしての「空飛ぶクルマ」等の社会実装に向けた環境整備の推進

自動運転関連では、レベル4など高度な自動運転機能に係る安全基準の策定に取り組んでいくほか、要素技術となる最先端の先進安全技術の開発・実用化促進、遠隔監視のみの無人自動運転移動サービスなどの実現・普及に向けた技術開発や実証実験、都市部における自動運転サービスの実証実験を通じた都市交通の在り方検討などを進めていく方針だ。

■自動車局:高齢運転者等の事故防止対策の推進

高齢運転者らによる不適切な運転操作に起因する事故や、運転中の意識喪失など健康異常に起因する事故が相次ぎ発生していることを踏まえ、高齢運転者の安全運転を支える対策をさらに推進する。

高齢運転者等による事故防止対策の推進:要求額5,000万円(前年度比1,500万円増)

これまでに、「安全運転サポート車」の導入促進や衝突被害軽減ブレーキの義務付け、ペダル踏み間違い急発進抑制装置の性能認定制度の創設などを進めてきたが、新たに通信機能を有するドライブレコーダーなどを活用した「見守り」機能に関する技術調査を行い、「サポカー2.0(仮)」の要件に関する検討を行う。

事故防止が期待される先進的な安全技術として、夜間対応対歩行者自動ブレーキやドライバー異常時対応システムなどを例に挙げている。

出典:国土交通省(クリックorタップすると拡大できます)
自動車アセスメントの推進:自動車事故対策機構運営費交付金79億3,300万円の内数(前年度比5億円増)

自動車ユーザーが安全性の高い自動車を選択しやすい環境を整備するとともに自動車等の安全性能評価(自動車アセスメント)を実施し、メーカーに対しより安全な製品の開発を促している。

2023年度以降の新たな評価項目設定に向け、2022年度は「通信を利用した衝突回避支援技術」の評価導入に向けた調査を実施する。

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先進安全自動車(ASV)プロジェクトの推進:要求額1億5,000万円(前年度比2,800万円増)

ドライバーが運転中に意識を失った場合など、システムが介入する方が明らかに安全であるケースについて、システムの作動条件や設計のあり方などの検討を行う。

また、コネクテッド技術を活用した安全技術の高度化・普及を図るため、別メーカーの車両間でも相互に通信する情報の内容や仕様について検討を進めていく。コネクテッドカーの普及とともに規格や仕様、通信内容を精査し、将来的な車車間通信の普及につなげて行く構えだ。

出典:国土交通省(クリックorタップすると拡大できます)
■自動車局:自動車運送事業における安全対策の推進

安全・安心な貸切バスの運行を実現するための取り組みを着実に前進させるとともに、「事業用自動車総合安全プラン2025」に基づき、バスやタクシー、トラックといった事業用自動車における事故削減目標の達成に向けた総合的な安全対策を推進する。

先進安全自動車(ASV)やドライブレコーダー等の導入支援:要求額10億1,500万円(前年度比1億6,200万円増)

事故の削減を図るため、自動車運送事業者に対しASVやドラレコなど対象機器の補助を行う。対象装置は、衝突被害軽減ブレーキ(歩行者対応)、車線逸脱警報装置、ドライバー異常時対応システム、先進ライト、側方衝突警報装置、統合制御型可変式速度超過抑制装置、アルコール・インターロック、デジタル式運行記録計、ドラレコ、運転者の疲労状態を測定する機器などを予定している。

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■自動車局:自動運転技術の開発・実用化促進

自家用車におけるレベル4の実現や無人自動運転移動サービスの全国展開、自動配送ロボットを用いた新事業の創出などに向け、制度整備に取り組んでいく。

自動運転(レベル4)の法規要件の策定:要求額2億円(新)

レベル4の実現に向け、自動運転車と他の交通とのコミュニケーションやシステム責任の範囲、システムが行う「判断」の在り方などについて調査を行う。

他の交通とのコミュニケーションにおいては、周囲の自動車や歩行者に対し、無人運転中であることや道を譲ることなどを伝えるコミュニケーション手法の確立を目指す方針だ。システム判断の在り方では、事故を避けられないケースなどでシステムが行う「判断」について、社会の理解や共通認識の醸成を図っていく。

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自動車の技術・基準の国際標準化等の推進:要求額3億9,500万円(前年度比5,300万円増)

グローバル化が進展する国際自動車市場において、技術力を有する日本の自動車メーカーなどが活躍できる環境整備に向け、日本の技術・基準の国際標準化などを推進する。

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自動運転技術に対応した関連諸制度(整備・検査・型式認証)の高度化:要求額6,400万円(前年度比800万円増)

高度化する自動車技術に対応した点検整備・検査・整備士資格制度を整備するための調査を行う。また、自動運転技術に対応した審査手法の確立に向けた調査も行う。

具体的には、2024年10月から開始される電子的検査(OBD検査)を円滑に実施するための運用方法や、 車両や点検整備機器の高度化を踏まえた点検項目、自動運転技術に対応した整備士資格・試験制度の在り方などについて調査を行う。

また、高速道路での車線維持や車線変更といった各自動運転技術が、道路や天候、速度といったさまざまな走行環境条件の下で適切に動作することを審査する手法の調査・策定を進めており、2022年度は認知機能を担うセンサー特性の評価手法などに関する調査を行う予定としている。

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無人自動運転サービスの全国展開:要求額2,100万円(前年度比200万円増)

無人自動運転サービスの全国展開に向け、さまざまな自動運転車両や走行環境条件に応じた技術要件の検討のための調査を行い、安全な車両開発・利用を促進していく。

遠隔監視・操作による運転席無人の自動運転サービスは2021年3月に福井県永平寺町で事業化されており、2022年度には限定地域で遠隔監視のみのサービス実現を目指す方針だ。

今後、国内ですでに実施されている自動運転実証のデータ分析をはじめ、サービス提供者や地方自治体などへのヒアリングを通じて前例のない新たなサービスなど、事業化が想定される自動運転サービスの類型化を進めていく。

また、国際動向の調査や、速度、走行環境、セーフティードライバーや保安要員の対応といった監視・操作環境、自動車の保安基準に適合しない箇所の代替安全措置など技術要件の検討にも取り組んでいく。

出典:国土交通省(クリックorタップすると拡大できます)
自動運転車等事故分析事業の推進:要求額4,000万円(前年度比200万円増)

自動運転が関係する事故の原因究明は困難になることが想定されるため、公正中立に事故原因を究明する体制を構築し、客観性・真正性を確保した速やかな原因究明と客観性の高い再発防止策を講じていく。

自動車工学や交通工学、法律学などの学識有識者7人程度の自動運転車事故調査委員会を設置し、自動運転車に係る交通事故の原因究明のための調査分析や、同種事故の再発防止、被害軽減に資する施策・措置などの提言を行っていく。

出典:国土交通省(クリックorタップすると拡大できます)
中型車道走行型・自動配送ロボットに係る制度の整備:要求額2,000万円(同額)

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、巣ごもり需要や非接触型配送のニーズが高まる中、自動配送ロボットによる新たな配送サービスの実現が期待されているとし、実証実験や制度整備の検討が進められている低速・小型に加え、より大容量を輸送可能な中型についても技術要件を検討するための調査を実施する。

2020年12月に閣議決定された 成長戦略実行計画で、遠隔により多数台の低速・小型の自動配送ロボットを用いたサービスが可能となるよう2021年春を目途に制度の基本方針を決定するとともに、 2021年度の早い時期に関連法案の提出を行う政府目標が示されている。

中型の自動走行ロボットは軽自動車サイズで車道を時速15キロ程度で走行すると想定し、今後事業者ニーズの把握や国際動向の調査、技術要件の検討などを進めていく方針だ。

出典:国土交通省(クリックorタップすると拡大できます)
■自動車局:災害日常化への対応

近年、多発化・激甚化する自然災害に対し、自動車分野における新技術を活用して被災の防止を行う。

避難中の車内被災の防止等を目的とした車載通信装置の国際標準化:要求額3,000万円(前年度比600万円増)

避難中の車内被災が拡大する中、自動車での避難時における危険区域への接近防止が課題となっているが、自動運転技術の進展に伴い開発・実用化が進むコネクテッドカーの「つながる機能」の活用に期待が寄せられている。

このため、コネクテッドカーに関する国際基準の策定も見据え、日本の自動車産業の競争力強化と安心安全な車社会の実現に向け、車載通信装置の国際標準化に取り組むこととしている。

出典:国土交通省(クリックorタップすると拡大できます)
■道路局:自動運転の普及・促進に向けた道路側からの支援

自動運転サービスを全国に普及促進させるため、自動運転を活用したまちづくり・地域づくりを目指す自治体の計画的な取り組みを重点的に支援していく。

本格導入に移行した道の駅等を拠点とした自動運転サービスの知見を踏まえ、自動運転を活用したまちづくりの計画的な取り組みを支援するほか、歩行者や自転車などが混在する走行空間の在り方に関する検証を進めまちなかへの展開を図る。

また、自動運転や車線維持支援といったサービスの適用拡大に向け、自己位置特定に必要な区画線などの在り方や、合流支援などのインフラ側からの情報提供の精度や信頼性の向上について、官民共同で研究開発を推進していく。

■【まとめ】レベル4関連事業に注目

レベル4法規要件の策定や無人自動運転サービスの全国展開など、レベル4関連の事業が熱を帯びている印象だ。早ければ、新年度中にレベル4に対応した法改正の動きが具体化する可能性もありそうだ。

コロナ対策などの影響で2022年度一般会計予算の概算要求総額は過去最大を更新しているが、無人化・非接触化に資する自動運転技術は、ウィズコロナにとどまらずアフターコロナの時代においても非常に有用な技術だ。新年度の取り組みに改めて期待したい。

▼国土交通省「令和4年度 予算概算要求概要」
https://www.mlit.go.jp/page/content/001420386.pdf
▼国土交通省自動車局「令和4年度 自動車局関係 予算概算要求概要」
https://www.mlit.go.jp/page/content/001420229.pdf

※自動運転ラボの資料解説記事は「タグ:資料解説|自動運転ラボ」でまとめて発信しています。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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