ロボタクシー監視員に「時給1710円」!パチンコ店超え

福岡で遠隔監視拠点立ち上げ



自動運転サービスを見守る遠隔監視スタッフが、ついに派遣サービス化されたようだ。その待遇は、時給1710円とパート・アルバイトとしてはなかなか高給だ。時給が高いとされるパチンコ店の平均時給は1300円ほどと言われており、それよりも高い水準だ。


一見すると高い専門性が求められそうな職種だが、業務を仕分けマニュアル化すればコールセンターのような感覚で働くことができるのかもしれない。

自動運転サービスの普及に伴い、拡大することが予想される遠隔監視業務。その最前線に迫る。

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■遠隔監視スタッフの求人概要

福岡市内にオペレーションセンター立ち上げ

インターネット上で公開されている複数の求人系情報サイトによると、人材派遣のアデコがロボタクシーの遠隔サポートスタッフを募集している。派遣のため雇用先は非公開となっているが、福岡県福岡市内にあるロボタクシーのオペレーションセンターが勤務先という。

オープニングスタッフとして、自動運転を支えるオペレーションセンターの立ち上げに取り組む。最先端の次世代モビリティ領域の新規プロジェクト立ち上げに関わる貴重な機会で、将来的にはマネージャーや品質管理、トレーナーなどへのキャリアの広がりも期待できるポジションという。


通常業務としては、ロボタクシーに搭載されたAIからの質問や確認に応答しながら、安全な走行をサポートすることが多いと想定している。車載カメラの映像などと連動した複数のディスプレイで、リアル映像や3D画像を見ながら回答を行うため、オンラインゲームが得意な人は馴染みやすいかもしれないとしている。

緊急時の対応ももちろん行う必要がある。自動運転車両でトラブルが発生した際、車両内の通信システムやチャットツールを用いて遠隔センターからトラブルの状況を確認して対応する。

万が一衝突事故などが起きた場合は、事故の詳細や乗客のケガの状況を確認し、必要に応じて警察や消防などの機関と連携する。遠隔操作により、自動運転車両を路肩などの安全な場所へ移動させることもあるという。

トラブルはそうそう起きるものではないが、万が一のために事前研修でさまざまな事態を想定した対応の仕方を学習するとしている。


未経験者歓迎で、普通自動車運転免許(AT限定可)が必要。ペーパードライバーでも良いそうだ。英語力もあったほうが良いようだ。

机上研修(12週間)中は時給1,650円で、OJT期間(4〜8週間)は時給1,710円となっている。勤務時間は日中も夜間もある。服装や髪形自由で、福利厚生サービスにも加入する。

Waymoか?Wayveか?受託事業者か?

福岡市では自動運転タクシーの実装計画はなく、継続実証も行われていないことを踏まえると、勤務先はWaymoやWayveなどの直営ではなく、遠隔監視オペレーションを受託した企業と思われる。直営であれば、わざわざ福岡市に拠点を構える必然性がないためだ。

普通に考えれば、東京都内で2027年のサービス実装を目指すWaymoかWayveのロボタクシーが対象になると思われるが、両者とも運行管理はタクシー事業者(日本交通、日の丸交通)が担うこととなっている。タクシー事業者による業務と遠隔監視業務は切り分けられているのだろうか。

将来的な広域展開を見据え、遠隔監視機能を別に設けた……ということも考えるが、このあたりの作業分担がどのようになっているのか、気になるところだ。

場合によっては、国内のみならず海外のロボタクシーを遠隔監視する――という可能性も否定できない。事実、Waymoの遠隔監視センターはフィリピンにも置かれ、米国内のサービスを見守っている。

Googleの自動運転タクシー、「フィリピンから遠隔監視」と判明

■遠隔監視センターの概要

業務の大半はユーザーサポート?

こうした自動運転関連業務の求人が派遣やアルバイトとして出てくると、自動運転社会の到来を感じずにはいられない。遠隔監視センターの業務は一見高い専門性が必要に感じられるが、自動運転技術が成熟しノウハウが蓄積されていれば、コールセンター業務と遠隔操作に関する業務としてマニュアル対応が可能になる。

頻繁にシステムトラブルが起こる状況であれば難しい対応を迫られそうだが、その場合はサービス段階に達していないと言える。サービスイン後は、大半が乗客からの問い合わせに応答するものになるのではないだろうか。

「ドアが開かない」「トランクに荷物を忘れた」「行き先を変更するにはどうしたらよいのか」――など、利用者からの問い合わせに対しユーザーサポートを行うイメージと思われる。

当初は1人のオペレーターが数台~10台程度を担当する体制となりそうだが、そのうち3人で100台など、1:Nの数値はどんどん上がっていくものと思われる。

【参考】関連記事としては「自動運転の「1:N遠隔監視」とは?」も参照。

自動運転の「1:N遠隔監視」とは?

レベル4であれば、本来的に常時監視は必要なく、トラブルの発生に迅速に対応できる体制を構築できればよい――ということだ。

自動運転システムからの問い合わせにも対応

また、「ロボタクシーに搭載されたAIからの質問や確認に応答」とあることから、自動運転システムに対する遠隔アドバイスを行うこともありそうだ。レベル4水準の自動運転システムでも、イレギュラーな場面に出くわした際、判断に窮することがある。

例えば、自動運転車とは関係のない事故対応などで、複数の警察官が主導で交通整理を行っているケースなどだ。信号機は赤にもかかわらず、警察官が手招きしている場合、これに従ってよいのか悩んだ自動運転システムが、遠隔オペレーターにアドバイスを求めることがある。

オペレーターは、システムからの問い合わせと車載映像などをもとに現場の状況を把握し、アドバイスを送る。手動介入するのではなく、あくまでアドバイスに留める点がポイントだ。アドバイスがどのようなものであれ、最終判断はあくまでシステムが行う。

手動介入となる遠隔操作を行うことは、少ないものと思われる。原則、通常の自動運転時に介入することはなく、システムトラブルや事故発生時の介入となるためだ。

有事の際は、車載映像をもとにリモートコントロールを行うことになる。本物の運転席のような装備を整えているものもあれば、ゲームコントローラーのような装置で操作するものもある。第三者的には「面白そう」――となるかもしれないが、実際に操作する時はドキドキだろう。

遠隔監視事業が急拡大中

ロボタクシー時代を見据えたかのように、近年日本では遠隔監視センター事業への新規参入が相次いでいる。草分け的存在のソフトバンクグループ・BOLDLYは実証黎明期に設立され、国内自動運転開発に大きく貢献し、サービス化を後押ししてきたことで知られる。

ティアフォーなどと手を組み多くの実証に参加してきた損害保険ジャパンも、遠隔型自動運転運行サポート施設「コネクテッドサポートセンター」を2018年に開設するなど、早い動きを見せていた。

そしてサービス実装期が到来し、アイサンテクノロジーやマクニカ、ソリトンシステムズ、電脳交通、NTTモビリティ、KDDIなども遠隔監視事業を本格化させた。

自動運転バス、ロボタクシー、自動運転トラックなど、さまざまな自動運転モビリティが世に送り出される時代がまもなく到来する。特に、フリートが大きくカスタマーサポートも必要なロボタクシーは、遠隔監視にかかる業務ウェイトも相対的に高くなる。

かつてのコールセンター事業のように、今後自動運転の遠隔監視センター業務が急拡大していくのかもしれない。

自動運転、日本で「遠隔監視センター」事業の参入ラッシュ

■【まとめ】タクシー会社との関係性に注目

ロボタクシーに関しては、タクシー会社との業務の線引きが気になるところだ。将来、各地のタクシー会社が続々とロボタクシー事業に参入する時代の到来を見据えれば、こうした遠隔監視センターが一手に運行管理業務を担い、メンテナンスなどの現場対応をタクシー会社が担う……という分業形態のほうが効率が良いのかもしれない。

一般乗用旅客自動車運送事業の規定が有名無実化していく未来もうかがえるが、どのように整合性を図っていくのか。各社の動向や国の政策に要注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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