自動運転の「1:N遠隔監視」とは?

オペレーター1人で何台担当できる?



出典:経済産業省・国土交通省プレスリリース(福井県永平寺町における無人自動運転移動サービスの試験運行での遠隔監視・操作室の様子)

日本でも無人の自動運転バスが走行する時代が到来した。まだまだ台数は少なく、恐る恐る運行しているような状況だが、ドライバー不足を補う新サービスとして大きな期待が寄せられる。

ただし、自動運転サービスはドライバーレスを達成すれば終わりではない。遠隔監視における「1:N」を実現しなければ意味がない。実用化後は、「1:N遠隔監視」が重要なキーワードとなるのだ。


「1:N遠隔監視」とは何なのか。遠隔監視の重要性について解説していく。

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■自動運転における遠隔監視

安全性向上やドライバー不足の解消、コスト減少に貢献

自動運転は、カメラなどの車載センサーやAIによって自律走行を実現する。人間のドライバーの代わりを、センサーやAIが代替するのだ。

自動運転システムは道路交通法を遵守し、極力安全な運転を行うよう設計されている。その能力をいかんなく発揮すれば、道路交通における事故抑制・減少に貢献するテクノロジーだ。

また、人間のドライバーにかかる人件費を削減することが可能になるため、慢性化している職業ドライバー不足を補いつつ、運行にかかるコストを大きく下げることができる。現状、自動運転車の車両本体価格は非常に高額で、目の前のイニシャルコストに尻込みしてしまいがちだが、移動サービスなどにかかる総コストに占める人件費率は非常に高く、無人運行を継続することでイニシャル分を回収することができる。


量産化や技術の深化が進めば車両本体価格も安くなり、ペイしやすい環境に向け好循環が生まれる。

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コスト減少に必須の遠隔監視技術

本題はここからだ。自動運転サービスには、裏方とも言うべき重要な仕事が新たに発生する。遠隔監視だ。万が一の事態に備え、遠隔監視センターなどから運行状況を適時見守る役目だ。

自動運転レベル3以上の車両であれば、平時は定時確認など行うだけでよく、常時監視する必要はない。運行管理のオペレーター役として、全車両の運行状況やシステムの稼働状況などを適時把握しておく必要はありそうだが、レベル4以上であれば基本的にコンピュータ任せでよく、有事の際に備えることが一番の役割となる。

しかし、天候の急変やルート上における事故発生、想定外のシステム故障などでODDを外れることもあれば、もらい事故に巻き込まれる可能性もある。道路交通に絶対はないのだ。

有事の際、遠隔オペレーターは速やかに状況把握に努め、乗員と連絡をとったり車両の安全確保に向け遠隔操作したりするなど、必要な対応を行う。自動運転車が判断に迷った際、「遠隔支援(助言)」として相談に乗ることもあるようだ。

誰の手を借りることなく自律走行を可能にするのが自動運転技術の本質だが、現実問題としてしばらくの間は遠隔監視が必要不可欠となる。

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1人1台担当では意味がない

自動運転サービスに必須の遠隔監視だが、もし仮に、一人のオペレーターが一台の車両を付きっきりで管理していたらどうなるか。これでは、車内のドライバーを遠隔地のオペレーターに置き換えただけで、人件費削減効果は生まれない。むしろ、イニシャルや設備投資の負担が増しただけとも言える。

遠隔監視において重要なのが、一人のオペレーターが何台の自動運転車両を管理できるかだ。これが「1:N」で、一人がN台の自動運転車両を担当することを意味する。

仮にN=10の場合、一人のオペレーターが10台の自動運転車両を担当する。通常、10人のドライバーが必要だったところ、一人のオペレーターで運用できるとなれば、人件費を大きく削減することができる。

いかにNの数字を上げるかが重要であり、Nが上がれば上がるほどコスト削減効果が高く、かつ自動運転システムの精度も高いと言える。

担当する自動運転車が一日に何度も監視・介入が必要な水準であった場合、そのオペレーターはその一台に付きっきりとなり、他の車両を担当する余裕が生まれない。万が一担当する車両が同時にトラブルを起こした場合、対応しきれないためだ。

つまり、自動運転システムの精度が低ければ、一人のオペレーターが複数台を受け持つことはできないのだ。レベル4実用化当初は、念のため一人1台担当することもあるだろうが、安全を確認次第、「1:2」「1:3」……と増やしていく流れとなる。

この数が幾つになれば合格ラインかは一概に言えないが、従来の手動運転時と比較して総コストが下回る水準になれば、持続的な自動運転サービスとして広く認められる存在となりそうだ。

逆に言えば、一人が1台を担当している段階では、採算の取れるサービスには至っておらず、自動運転サービスとしては不完全だ。実用化後、この数字をいかに伸ばしていくかが重要となる。

日本で開発の主流となっている自動運転バスの場合、同一エリアでは1~3台ほどしか導入されないことが多いが、エリアごとに遠隔監視センターを設けるのではなく、高い専門性を有する運行管理事業者が遠く離れた拠点から複数エリアのさまざまな自動運転車・サービスを手掛けることで効率性を高めていく。

遠隔運行管理業務への注目度は年々高まっており、早期に同領域に参入したBOLDLYをはじめ、マクニカやソリトンシステムズ、セネック、アイサンテクノロジー、電脳交通ら遠隔監視拠点を設けるなど、ビジネス化を進めている。

多岐に及ぶ開発事業者・自動運転車をいかに網羅し、「N」の数を高めていくことができるか。こうした点にも注目していきたいところだ。

■【まとめ】国も「1:N」の遠隔監視に本腰

国は2030年度までに自動運転サービスの運行に供する車両1万台の導入を目指し、「1:N」の遠隔監視や運賃収受サービスモデル構築に向けた施策にも力を入れていく方針だ。

1万台の導入目標は眉唾だが、自動運転時代が訪れれば遅かれ早かれ達成される台数だ。その際、「1:N」のNがどこまで大きな数字となっているか。自動運転技術とともに、遠隔監視技術・サービスの進化にも注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
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