
国内でも自動運転車が関係する事故のニュースを目にする機会が増えたように感じる。2026年に入ってからも、ざっと調べただけで5件の事案が見つかった。
日々進化を続ける自動運転車だが、技術が進歩すればするほど事故も増加する……という、過渡期特有のフェーズに入ったようだ。
なぜ進化するほど事故が増えるのか。その謎に迫る。
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■自動運転車×事故
2026年に入ってから5件の事案が発生

2026年5月、岐阜市内を走行中の自動運転バスが軽貨物自動車と接触する事故が発生した。道路脇からバックで出てきた軽貨物にオペレーターが気付き、手動運転に切り替えたものの間に合わなかったようだ。乗客にけがはなかった。
言わばもらい事故の類で自動運転システムに過失はなく、翌日から運行を継続している。車両はNavya Mobilityの「ARMA」のようだ。
4月には、新潟県弥彦村で運行中のAuve Tech製「MiCa」が歩行者2人をはねる人身事故が発生した。確定情報ではないが、オペレーターが手動運転に切り替えた後に発生した可能性が高く、人為的ミスの疑いがもたれている。
2月には、東京都江東区で走行中のティアフォー製「Minibus 2.0」が、中央分離帯縁石に接触する事案が発生している。自動運転と手動運転の切り替え時における誤作動が原因と考えられているようだ。
1月には、沖縄県多良間村と埼玉県深谷市でそれぞれ事案が発生している。多良間村では、技術検証中野自動運転バスが歩道に乗り上げ街路樹に衝突して停止する事故が発生した。開発事業者名は見当たらないが、実証事業はEVモーターズ・ジャパンが受託している。
深谷市では、サービス実証中の自動運転バスが前方に駐車中の救急車を回避する際、車両前方右下部が縁石に接触したという。車両はティアフォー製「Minibus v2.0」だ。
【参考】関連記事「自動運転バスの事故事例まとめ【調査報告書付き】」も参照。
技術の向上で導入される自動運転車が右肩上がりに
大半は軽微な事故で、手動運転切り替え時やもらい事故が多いが、2025年には東京都八王子市内で走行中のレベル2自動運転バスが街路樹に衝突し、乗客がけがを負う事故も発生している。
国内の実証・サービスは大半がまだ実質レベル2状態で、事故の9割9分はこのレベル2状態で発生している。安全性が向上すれば晴れてレベル4に昇格となり、基本的に軽微な事故や手動運転が絡む事故は発生しなくなる。当たり前の話だが、自動運転技術が高度化すれば、事故を起こしづらくなるのだ。
しかし、現実世界においては、技術の高度化に比例するかのように事故総数も増加していく。安全性が高まり事故を起こしづらくなるのにもかかわらず、事故総数は増えていくのだ。
なぜならば、技術の高度化とともに実証・実用化台数が右肩上がりに伸びていき、分母となる母数が増加していくためだ。
また、技術の向上により走行エリアを拡大したり速度上限を引き上げたりするなど、ODDを拡大することで新たな事案にぶつかることも考えられる。
過渡期においては、おそらく事故減少効果を上回る形で実証・実用化台数が増加していく。自動運転システムの事故率が1/10まで低減したとしても、公道を走行する台数が100倍になれば社会全体の事故件数は増加する……ということだ。日本は、ちょうどこの過渡期に差し掛かったフェーズだ。
今後、自動運転車が絡んだ事故を目耳にする機会が増え、まるで自動運転車の安全性が低下したかのように感じられるかもしれないが、実際は総数が増えただけで、各車両・各自動運転システムの安全性は高まっている。
ODDが広いテスラは事故が多い?
同様の現象は、米国におけるレベル2事故でも起きている。NHTSA(米道路交通安全局)が公表している交通事故件数において、レベル2 ADASの事故はテスラが突出して多いのだ。2026年3月時点で、テスラ3,123件、2位のGMが121件……といった具合だ。
この数字を単純に見ると、テスラはそんなに危ないのか……と感じる人がいるかもしれないが、これには理由がある。レベル2の販売台数の差は明確ではないが、GMなど他社は高速道路限定であるのに対し、テスラは一般道も対象にレベル2を展開していることが主な原因と思われる。
精度の問題もありそうだが、技術が進化し、一般道もODDに組み込んだことで事故総数が増加した……と言える。
【参考】関連記事「テスラのロボタクシー、事故率は「人間の4倍」」も参照。
事故件数ではなく事故率が重要
重要なのは事故率とその中身だ。何万キロ走行して何件の事故が発生したのか。また、重大事故につながる要素を含んでいないか……といった中身を精査し、その安全性を判断することが重要となる。例えば、もらい事故の類も事故数にカウントされるが、その原因は自動運転システムに起因していないことは明らかだ。
走行距離当たりの事故件数は、第一段階としては人間との比較が目安となる。警察庁による統計によると、2021年の事業用自動車の走行距離は計719億キロで、交通事故件数は2万2,027件となっている。326万キロに1件事故が発生している計算となる。縁石に乗り上げた程度の軽微なものは含まれておらず、あくまで交通事故として届け出られた件数だ。
こうした数字と比較し、人間の平均を自動運転が上回ることが当面の目標となる。最終的には、熟練ドライバー水準をボーダーラインに据え、より高みを目指していくことになるだろう。
世界トップクラスのWaymoは、平均的ドライバーに比べ重傷以上の結果を伴う衝突90%減、エアバッグの作動を伴う衝突82%減、負傷を伴う衝突81%減――といった成果を出している。
事故は、まず「率」でできるだけ対等に比較することが肝要だ。その上で、重大事案につながるようなシステム不備に起因するものがどれだけ発生しているかを精査することで、自動運転システムの正しい安全性を推し量ることができる。
■【まとめ】過剰反応は厳禁
世界トップ水準のWaymoですら未だに事故・事案は絶えない。すでに一般ドライバーの域に到達していても、何が起こるかわからない道路交通においては、100%事故を防ぐことは困難なのだ。
「自動運転車でも事故を100%防ぐことは困難」という大前提のもと、事故を起こしたから「ダメ」と決めつけず、一般ドライバーの水準と比較するなどして冷静にその安全性を受け止めてほしい。過剰反応は厳禁だ。
【参考】関連記事としては「自動運転車の事故、日本・海外の事例・事案まとめ」も参照。













