いよいよこの夏に第1期の建物が完成予定であるトヨタの実証都市「Woven City(ウーブン・シティ)」。2025年から一部実証がスタートする計画で、まずは約360人が居住する予定となっている。
ますます注目を集めているWoven Cityでは、インベンターを募集中だ。どんなことを行うのか、詳しく見ていこう。
【参考】関連記事としては「トヨタWoven City、準備整い次第「訪問者」を募集へ」も参照。
■「インベンター」の役割とは?
Woven Cityの公式サイトには、以下の記載がある。
Woven Cityで私たちと共に、未来の当たり前となるような技術やサービスを生み出すために、自ら考えたテーマの実証を行うインベンターの皆さまを募集しております。(引用元:https://www.woven-city.global/jpn/services/)
インベンターについては、上記と重複するが「未来の当たり前となるような技術やサービスを生み出すために、Woven Cityで自ら考えたテーマの実証を行う人」との説明がある。例として、トヨタグループの開発者や企業の開発者、スタートアップ・企業家、個人の発明家が挙げられている。企業や団体に関わらず、個人も広く対象としているようだ。
実証のテーマは、「様々なInventorが自動運転サービスを作り出せるプラットフォームの形成」「Smart Logistics」「次世代遠隔コミュニケーションプロダクト」となっている。
自動運転については、自動運転機能を様々なインベンターに使って、試してもらうことでユースケースを拡げていくとしている。例として、トヨタの自動運転システムを搭載した「e-Palette(イーパレット)」を使った、自動運転バスサービス(バス事業者)、自動移動販売サービス(小売り業者)などが挙げられている。
つまりこの場合のインベンターとは、バス事業者や小売り業者といった企業のことを指しているようだ。
■決定済みの実証パートナー3社
Woven Cityでは、すでに実証実験を検討中のパートナーを公表している。まずは2022年3月に、ENEOSとWoven Cityを起点としたCO2フリー水素の製造と利用を共同で推進することを発表した。Woven City開所前に水素ステーションの運営開始を予定しているようだ。
次に同年4月に、日清食品とWoven Cityにおける食を通じたWell-Beingの実現に向けた具体的な検討を開始することを発表した。日清食品が研究を進める最新の分子栄養学に基づく「完全栄養食メニュー」をWoven City内で提供し、住民の食の選択肢拡充と健康増進の共同実証などを行っていく。
また同年10月には、リンナイと水素調理に関する共同開発を行うことを発表。水素調理によるカーボンニュートラルへの貢献と水素による新たな食の体験の提供を目指すとしている。
なお、その後のパートナーについての動きについては、2023年以降は明らかにされていない。おそらく水面下で自動運転などに関する提携が行われていると予測されるが、Woven Cityのオープンと同じタイミングで一気に発表されるのか、気になるところだ。
■Woven Cityは「未完成の街」
Woven Cityは、豊田章男前社長が2020年1月に開催された世界最大の技術見本市「CES 2020」において開設を発表した。2021年2月に着工、2020年12月に閉鎖したトヨタ自動車東日本の東富士工場跡地に建てられている。
この地にはテストコースがあり、人がリアルに生活する中で自動運転などの実証を行っていく。トヨタは、モビリティと組み合わせてさまざまな実証を行う領域として以下の12分野を設定した。
- Mobility(モビリティ)
- Energy(エネルギー)
- Logistics(物流)
- Agriculture Food(農業・食品)
- IoT(通信)
- Healthcare(ヘルスケア)
- Education(教育)
- Entertainment(エンターテインメント)
- Payment Finance(金融・決済)
- Safety Security(安全・セキュリティ)
- Smart Home(スマートホーム)
- Housing Office(住宅・オフィス)
これらの各分野においてパートナー企業を募り、コラボレーションなどを図りながらモビリティの可能性を追求し、広く社会課題の解決につなげていく計画だ。
「幸せの量産」を目指しトヨタが作る「未完成の街」であるWoven City。まだまだ謎に包まれているが、始動はもうすぐ。トヨタがどんなサプライズを仕掛けてくるか、注目だ。
【参考】関連記事としては「Woven City、ついに入居開始へ!トヨタ関係者から段階的に」も参照。