トヨタWoven City、準備整い次第「訪問者」を募集へ

ついに2025年から実証実験がスタート



出典:Woven City公式Facebookページ(https://www.facebook.com/WovenCity.JP/)

トヨタが開発するWoven City(ウーブン・シティ)が、街を訪れる人の募集について、準備が整い次第ウェブサイトなどで案内することが明らかになった。

静岡県裾野市で建設が進むWoven Cityは、この夏にも第1期エリアの工事が終わり、2025年から実証実験を開始する予定だ。豊田章男前社長が2020年1月にこのプロジェクトについて発表して以来、大きな話題となっているWoven City。訪れてみたい人も多いはずだ。どんな人がこのエリアに入ることができるのだろうか。


■Woven Cityに関連する3タイプの人々

公式サイトの「People of Woven City」では、Woven Cityに関連する人について下記のように説明している。

Woven Cityに集うのは、全ての人が「自分以外の誰かのため」という想いで、活動する発明家マインドを持つ方々です。

自らの発明に取り組む発明家(インベンター)だけでなく、生活をする中で感じた困りごとやアイデアを共有し、フィードバックを通じて、Woven Cityに携わる全ての人で一緒に未来の幸せを生み出します。(出典:https://www.woven-city.global/jpn/)

その上で、どんな人々が集うのかについて「発明をする人=インベンター」「住む人」「訪れる人」の3つを挙げている。


発明をする人とは、「未来の当たり前となるような技術やサービスを生み出すために、Woven Cityで自ら考えたテーマの実証を行う人」を指す。具体的には、トヨタグループの開発者や企業の開発者、スタートアップ・企業家、個人の発明家などになるようだ。実証実験を検討中のパートナーとして、すでにENEOSや日清食品、リンナイが発表されている。

住む人は、「自身の生活のなかで『インベンター』が実証する様々な技術やサービスを積極的に活用し、フィードバックを通じて一緒に『未来の当たり前』を作っていく人」のことだという。現在募集はしていないが、第1期工事完了後に段階的に入居者を迎え、約5万平方メートルに360人ほどが住む予定になっている。トヨタによると、フェーズ1以降の建築スケジュールは現時点では決まっていないようだが、最終的には約70万8,000平方メートルのエリアに約2,000人が住む計画になっている。

出典:Woven City公式YouTube動画

■訪問できるのはどんな人?

そして訪れる人については、「街を訪れた際に、『インベンター』が実証する様々な技術やサービスを積極的に活用し、フィードバックを通じて共に『未来の当たり前』を作っていく人」と説明している。現在は募集していないが、準備が整い次第、ウェブサイトなどで案内する予定としている。

国内初の本格的実証都市として話題を呼んでいるWoven Cityには、モビリティや自動運転などの研究者や関連企業のほか、一般の人も興味を持っているはずだ。しかし居住者がいる街で先進技術の開発や実証を進める以上、一般人が簡単に立ち入ることはまず無理だろう。


第1期工事または全てのフェーズが完了し次第、報道関係者や開発関連企業などに限定して訪問者を募集するのか、見学ツアーなどは行われるのかなど、気になるところだ。

■紹介された2つの注目技術

Woven Cityは2024年5月にパリで開催されたスタートアップ向けのテックイベント「VIVA TECHNOLOGY」に参加し、発明家の開発を加速させるしくみである「Woven Inventor Garage」の2つの技術について紹介した。

1つ目の「Digital Twin」は収集したデータをもとに現実世界をデジタル上で再現する技術であり、Woven Cityでは街の中でのさまざまなサービスやハードウェアを動かす前にシミュレーションをすることができる。もう1つの「Vision AI」は、プライバシーに配慮しながら映像データとAI(人工知能)を活用し、人やモノの動線・行動理解を行うことができる技術で、さまざまな分析の自動化や省人化をすることが可能になるという。

なお、Woven Inventor Garageのほか「Woven Test Course」も備えており、人がリアルに生活する中で実証実験を行う予定だ。道・広場・店舗・オフィス・住居など、あらゆる場所が実証の舞台になるという。最初に実証を開始するエリアであるフェーズ1は2024年に建物工事が完了し、2025年から一部実証を開始する予定となっている。

■始動間近!どんな街ができる?

2021年2月23日に着工したWoven Cityは、この夏には最初の工事が完成、2025年には実証実験が始まる。ずっと先の未来のプロジェクトのような気がしていたWoven Cityだが、着々と工事が進み、もうすぐ始動する。

公式サイトのイメージ図や公式Facebookの進行状況の写真からは、近未来的な白いビルが建ち並ぶ様子を見ることができる。住居になるのだろうか、または研究施設として使われるのだろうかなど、色々と想像してみるのも楽しい。引き続き注目だ。

【参考】関連記事としては「Woven City、ついに入居開始へ!トヨタ関係者から段階的に」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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