ソフトバンク子会社で自動運転事業を展開するBOLDLY株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長兼CEO:佐治友基)は、羽田空港に隣接した大規模複合施設「HANEDA INNOVATION CITY(HICity)」で、エストニアの開発企業による自動運転バス「MiCa(ミカ)」1台の通年運行を2023年12月25日から開始した。
HICityではすでに仏Navyaの自動運転バス「ARMA(アルマ)」を導入済みのため、2種類の海外製自動運転バスがHICityを運行することになる。ちなみにMiCaの乗車定員はオペレーターを含み8人となっている。
■HICityでは2020年9月から運行
BOLDLYは羽田みらい開発などと共同で、2020年9月にBOLDLYの運行管理システム「Dispatcher」を活用し、ARMAを用いて国内で初めて自動運転バスの通年運行をHICity内で実現した。12月28日時点での累計走行便数は1万2,449便、累計乗車人数は6万3,751人となっている。これは、自動運転バスの乗車人数として国内最多になるという。
なおDispatcherは、さまざまな自動運転システム・自動運転車に統合可能な運行プラットフォームで、自動運転車両を遠隔地から管理・監視できる。
今回HICity内でMiCaの通年運行をスタートすることにより、乗客へ新たな移動サービスを提供するとともに、羽田空港を含むルートでの自動運転レベル4(高度運転自動化)の運行を目指すとしている。
■エストニア製「MiCa」とは?
MiCaを製造するエストニアのAuve Techは、世界初の水素走行自動運転シャトルを含む、レベル4の自動運転シャトルの設計や製造を行っている。MiCaは、2022年10月に発表されたばかりの新型車両だ。
BOLDLYはAuve Techと提携し、MiCaの日本仕様モデルを開発し、自治体や交通事業者による導入を推進している。なおBOLDLYは、MiCaの日本における唯一の販売代理店だ。
MiCaは障害物回避機能を搭載し、機器やシステムの構成を二重化するなど、自動運転レベル4に対応するための特徴を備えている車両になっている。
すでに兵庫県神戸市の須磨海岸でMiCaの一般市民向け体験乗車会を2023年9月に実施、自動運転レベル4相当での運行に成功している。同年12月には、茨城県境町が国内の自治体として初めてMiCaを導入したり、三重県多気町の商業リゾート施設「VISON(ヴィソン)」でも2024年2月まで運行したりするなど、BOLDLYは同車種の実用化を速いペースで進めている。
■存在感が増す海外製の自動運転車
MiCaはHICity内で、1周約1.2キロのルートを1日12便運行し、エリア内で働く人や来訪者の移動手段として活用される。自動運転レベル4での走行を見据え、障害物回避機能が搭載されており、ルート上に駐車車両などの障害物があった場合には、一定の範囲内で障害物を自動で避けて走行することができるという。
なお、ARMAは2023年12月上旬からメンテナンスなどにより、HICity内の運行を休止しているが、2024年1月10日〜3月31日にHICityと羽田空港第3ターミナル間の公道で長期実証実験を行う予定だ。その後、2024年4月以降にHICity内での運行を再開する。
BOLDLYによる自治体などでの自動運転バスの実装は各地で進んでおり、今後ますます海外製の自動運転車を見かける機会が増えていきそうだ。
【参考】関連記事としては「海外製の「ハンドルなし」自動運転EV、日本のナンバープレート初取得」も参照。