自動運転ビジネスでも注目されているMobileye(モービルアイ)。昨今の事業拡大には目を見張るものがあり、その輸入販売代理店でもある丸紅オートモーティブの動きにも関心が集まっている。
その丸紅オートモーティブは例年8月に決算を官報に掲載しており、第33期の最新決算が来月にも発表される見込みだ。過去の決算を振り返ってみると、第32期の当期純利益は前期比50.3%増の3億5,591万円であり、さらに純利益が増えるか注目したいところだ。
<純利益の推移>
第30期:9,013万8,000円
第31期:2億3,670万1,000円
第32期:3億5,591万6,000円
■決算概要(2022年3月31日現在)
賃借対照表の要旨(単位:千円)
▼資産の部
流動資産 1,085,972
固定資産 821,422
資産の部合計 1,907,395
▼負債及び純資産の部
流動負債 604,542
・(賞与引当金 18,164)
固定負債 31,636
・(退職給付引当金 24,628)
株主資本 1,197,048
・資本金 487,500
・資本剰余金 207,500
・・資本準備金 207,500
・利益剰余金 502,048
・・利益準備金 17,900
・・その他利益剰余金 484,148
・・(うち当期純利益 355,916)
評価・換算差額等 74,168
負債・純資産の部合計 1,907,395
■Mobileyeの日本代理店という役割
丸紅オートモーティブは、総合商社である丸紅の100%子会社として1991年に設立され、主に自動車部品やEV(電気自動車)化に対応する急速充電器等の関連機器の取り扱いを専門に手掛けている企業だ。輸入販売代理店事業のほか、完成車・部品トレード、アフターパーツ事業という3つで構成されている。
輸入販売代理店事業については、ADAS(先進運転支援システム)や小型商用EV、EV用急速充電システムなどのクルマの先進技術分野に関連した海外商材の日本における輸入販売代理店を行っている。
取り扱い製品の1つが、自動運転技術を開発する米インテル傘下のイスラエル企業Mobileye(モービルアイ)のADAS「Mobileye 8 Connect」だ。これは後付けの衝突回避支援システムで、歩行者・自転車衝突警報や前方車間距離警報、前方車両衝突距離警報、車線逸脱警報などを発することができる。
■Mobileye・Moovitとの業務提携について
丸紅オートモーティブの親会社である丸紅とMobileye、そしてMoovitは、日本国内において、各社が保有するサービスを活用し、モビリティ関連ビジネスの市場開拓を目的とした業務提携に関する基本合意書を締結したことを2021年12月に発表している。MobileyeとMoovitの有するMaaS関連サービスの日本国内での実装を目指すとしている。
なお公共交通機関のシステム事業の開発などを手掛けているMoovitも、Mobileyeと同じイスラエルの企業で、2020年5月にインテルに買収されている。
具体的な業務提携内容としては、MobileyeとはMobileye 8 Connectにより収集される各種データの分析・活用事業や、物流事業者向け自動運転関連サービスの取り組みを行う。またMoovitとは、マルチモーダルサービスおよびオンデマンド交通システム事業の日本国内への開発・展開を計画しているようだ。
■商用EVの分野での事業拡大にも注目
丸紅は2023年1月に、商用EVの企画・設計・開発・販売事業を行うフォロフライと資本業務提携したことを発表した。丸紅オートモーティブを販売代理店として、フォロフライの商用EV販売や充電インフラ提供、アフターサービスを行っていくという。
また同年7月に丸紅は、商用EVを保有・運用する事業者向けに充電マネジメントサービス「GOVAN(ゴバン)」の提供を開始した。丸紅オートモーティブを通じ、グリーンコープ生活協同組合ふくおかへフォロフライ製の商用EVを販売していく。
自動運転やADAS領域、そして商用EVの分野での事業拡大に努めている丸紅オートモーティブ。まず第33期の決算がどのような内容になるか、関心が集まりそうだ。
※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。
【参考】関連記事としては「総合商社が「自動運転」に注力!三菱商事、合弁会社を設立」も参照。