2022年3月に「基幹的なバスにおける自動運転導入に関する検討 中間とりまとめ」という資料が、国土交通省都市局により公開された。
この資料の中で、基幹的なバス交通への自動運転技術の導入に関し、「バス停」についてのポイントやこれまで検討された視点が触れられている。
▼基幹的なバスにおける自動運転導入に関する検討 中間とりまとめ
https://www.mlit.go.jp/toshi/content/001475302.pdf
■バス停についての3つの視点
資料では、バス停について主に3つの視点などが提示されている。「バス停の形状」「バス停付近の障害物の排除」「バス停施設」についてだ。
「バス停の形状」について
これまでの実証実験の結果から、短期的には複数の車線があり、車線幅が広い道路においては「ストレート型」のバス停が適しているという。自動運転の正着制度を生かした活用が望めるためだ。ただしストレート型の場合、ほかの交通への影響が大きく、追い越しが発生するとバス停から出発する際に課題が生じるようだ。
そのため中長期的には、車線数の少ない場合や車線幅が狭いところでは、バスベイの設置が望まれるという。バスベイの形状は前後の空間に余裕のある、舵角などが緩やかなものが好ましく、適切なバス停位置やバス停に求める規格を、走行空間の検討とともに行う必要があるようだ。
「バス停付近の障害物の排除」について
現状、バス停から10メートル範囲の駐停車禁止区間においても、駐停車車両が存在しており、安全性やバリアフリーの観点から、適切な停車で課題が生じるという。自動運転車両は駐停車車両等を回避する走行が難しく、バス停付近ではより精度の高い走行が求められるためだ。
短期・中長期的には、駐停車を抑制するべく、バス停周辺の駐停車禁止の範囲を変えたり、駐停車を発生させないための案内をしたりする必要があるという。
東京・池袋で実施された実証では、全体の停車回数のうちの54%が、バス停周辺の駐停車車両の影響でバス停停車のための車線変更ができず、バス停手前の駐停車によりバス停へのすり寄せができなかったという。
「バス停施設」について
タイヤの位置に対し、車両の前方・後方まで距離がある中型バスなどは、バス停の形状によっては正着する際に歩道側にバスの一部が張り出す可能性があるという。将来的に無人走行をする場合、バス停での乗車待ち客の確認や乗車終了の確認を人の目で行えないため、車両の一部が接触してしまう可能性も否定できない。
短期的には、バス停の案内や上屋支柱は、極端に道路に近い場所を選ばない配慮が必要だ。中長期的には、周辺の自動車交通状況を確認できる車両やインフラ、乗車待ちの客などを判断するシステムが望まれる。
乗車時の安全性を担保すべく、駅の改札のような仕組みを設定し、車いすユーザーの乗車時の補助方法やバスの乗り方も考え直すことや、自社の挙動を車外に対して伝える方法も必要だ。正着しやすいバリアレス縁石の導入も望ましいとされる。
■持続可能な「最適解」を探す重要性
自動運転バスが実際に稼働するには、バス停に関しても検討すべき点がたくさんある。今後どう最適解を出していくのか注目したい。
【参考】関連記事としては「全国初!自動運転バスとスマートバス停が連携 福岡県みやま市で実証開始へ」も参照。