中国のJidu Auto(集度汽車)は、自動運転EV(電気自動車)「Robo-01 Lunar Edition」を2023年に限定版として販売開始することを発表した。Jiduは、ネット検索大手Baidu(百度)と中国自動車大手Geely(浙江吉利控股集団)が2021年に設立した合弁会社だ。
Robo-01 Lunar Editionの自動運転レベルについて、今回の発表では「ハイレベルな自動運転」とするにとどまっている。しかし、かつてJiduは、Robo-01がレベル4相当の自動運転能力を備えていると発表していた。
もしレベル4機能搭載の自動運転車が市販されるなら、それは世界初のことになる。しかし、レベル4のハードルは高い。レベル4は特定エリアにおいて、完全に人間の関与を必要としない技術水準(※管制センターからの遠隔監視などを除く)を指すからだ。
なお、同車両の販売価格は5万5,000ドル(約750万円)となっている。
■Jidu CEO「世界のスタンダードに」
Robo-01 Lunar Editionは2022年11月に中国・天津で開催されたモーターショーで展示され、注目を集めた。
報道によれば、自動運転開発に必須となるソフトウェアやクラウドサービス、ハードウェアプラットフォームなどは、「Project Apollo(アポロ計画)」において開発が行われたようだ。同計画は百度が過去に立ち上げた企業横断型組織だ。
車両には2つのLiDARと12の超音波センサー、12の高解像度カメラ、5つのミリ波レーダーが搭載され、AIによって制御された音声認識システムが700ミリ秒以内の音声応答速度で高度な自動運転システムをサポートする。
JiduのCEO(最高経営責任者)であるJoe Xia氏は「Robo-01 Lunar Editionは自動車でもあるが、ロボットでもある」と説明。その上で「(我が社の)自動運転車が世界のスタンダードになるだろう」と豪語している。
ちなみに、中国ではロボットタクシーに対する無人走行ライセンスの付与は始まっているが、市販車向けの自動運転車に対する法規制がまだ制定されていない。そういった事情もあり、今回Jiduは自動運転レベルについての詳細な言及は避けたという見方がある。
■百度、自動車市場の大変革に照準
米コンサルティング大手のマッキンゼー&カンパニーによると、2040年には中国国内の新車販売台数の40%が自動運転車になるという。こうした自動車市場の大変革に百度は照準を合わせ、ここ数年は自動運転技術の開発に力を尽くし、多額の資金も投じている。
中国ではいま、コロナ禍の影響で延期となった「広州国際汽車展覧会」(広州モーターショー)において、百度、そしてJidu Autoがまた新たな驚きの発表をするのでは・・・という噂も出てきている。
【参考】関連記事としては「爆速展開!百度の自動運転タクシー、すでに140万ライド」も参照。