自動運転トラックを開発する中国系企業の米TuSimple(図森未来)が、2022年4月に事故を起こしていたことが明らかになった。
事故は4月6日にアリゾナ州ツーソンで起き、事故を起こした同社のトラックは自動運転技術のテスト中だった。トラックは中央分離帯にこする形で接触し、人的ミスによるものだという。
当時は自動運転トラックに2人のオペレーターが乗っていたが、けがはなかった。結果として、事故による被害はトラックについた小さな擦り傷だけだったという。
■2021年7月以降、事故の報告はこの1件だけ
事故を受け、TuSimpleは再び同じようなヒューマンエラーが起こらないよう防止策を講じ、米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)にすでに事故の報告と防止策について伝達済みだという。現在、NHTSAの担当者が事故の検証などを行っているようだ。
NHTSAは2021年7月から、自動運転車(※レベル3〜5が対象)の事故が発生した場合に自動運転システム開発者に事故の報告を求めている。TuSimpleに関しては、2021年7月以降に事故の報告があったのはこの1件だけだという。
ちなみに2021年7月から2022年5月までにNHTSAがさまざまな企業から報告を受けた事故件数は計130件で、そのうち12件はアリゾナ州で発生している。最も事故が多かった企業は自動運転タクシーを展開しているGoogle系Waymoで同期間中に62件だ
■安全性、「分母」にも注目すべき
TuSimpleは事故を起こしたものの、一方で安全性についても強調している。NHTSAが毎年50万件以上の大型トラックの事故の報告を受けているのに対し、TuSimpleが起こした事故は7年間720万マイルの走行テストのうちこの1件だけだから、という理屈だ。
「事故は720万マイルの走行テストのうちこの1件だけ」というのが「安全」と言えるかどうかは議論が必要だが、確かに最も重要なのは事故を起こしたどうかではなく「事故の頻度」だ。
自動運転車の安全性について論じるときは走行距離という「分母」にも注目すべきであることを、改めて感じさせる。
【参考】関連記事としては「自動運転車の事故(2022年最新版)」も参照。