調査会社のReport Oceanは2021年10月26日までに、自動運転車用HDマップの世界市場のレポートを発表した。
レポートによれば、自律走行車用HDマップの世界市場における2021年から2027年のCAGR(年平均成長率)は31.7%となる見込み。市場規模は2020年時点で11億ドル(約1,260億円)だが、2027年には75億6,000万ドル(約8,600億円)まで膨らむ見通しのようだ。
記事の目次
■自動運転に必要不可欠な要素
自動運転化は電動化と並んで、いま自動車業界で注目されているテーマだ。日本のトヨタやホンダのほか、テスラやGM、フォード、VWグループなど世界中の大手OEMメーカーが自動運転技術の開発に取り組んでいる。
自動運転に必要不可欠な要素の1つに高精細な地図があり、各メーカーは高精細地図のサプライヤーと協力している。
■高精度マップを開発する主要プレイヤー
高精度マップのほか、高精度マップに動的情報を追加した「ダイナミックマップ」を事業として手掛ける世界の主要プレイヤーを紹介しよう。
【参考】関連記事としては「ダイナミックマップとは? 自動運転とどう関係? 意味や機能は?」も参照。
TomTom(オランダ)
欧州のダイナミックマップ業界をリードするオランダの位置情報テクノロジー企業で、世界30カ国に拠点を持つ。
これまで自動運転向け高精度マップ「TomTom HD Map」や自動運転機能が安全に使用できる場所を判断しODD(運行設計領域)の定義に活用できる「TomTom RoadCheck」、地図ベースのADAS(先進運転支援システム)ソフトウェアなどを発表している。
▼TomTom公式サイト
https://www.tomtom.com/
HERE Technologies(オランダ)
1986年からマッピングデジタル事業を開始し、自動運転車向けのダイナミックマップを手がける。2020年1月にドライバーの安全性向上に向けた3D道路モデル「HERE Lanes」を発表した。
独自動車メーカー2社をはじめ、ボッシュ、コンチネンタル、インテル、NTT、三菱商事、パイオニアなどが出資しており、日本との接点も多い。
▼HERE Technologies公式サイト
https://www.here.com/
地図・位置情報サービスを手がけ、HDマップや多角的自動運転ソリューションを開発・提供している。テンセントから出資を受けており、アリババ系AutoNaviや百度がライバルと言われている。
▼NavInfo公式サイト
https://navinfo.com/en/
ダイナミックマップ基盤(日本)
国内の自動車メーカー10社や地図情報を扱う民間企業が結集し、高精度3次元地図データの整備を目的に2016年に設立した。
2021年3月時点で国内高速道路や自動車専用道路の上下線計3万1,777キロのマップ化を完了している。2024年度には一般道を含めた約13万キロまでの整備拡大を目指している。
▼ダイナミックマップ基盤公式サイト
https://www.dynamic-maps.co.jp/
■驚異的な成長予測が見込まれる市場
自動運転レベル2やレベル3の技術を搭載した車両の普及がどんどん進む中で、驚異的な成長予測が見込まれる高精度マップ市場。仕様の標準化やデータ更新コストの軽減など課題も多いが、引き続き高精度マップ市場の動向に注目していきたいところだ。
【参考】関連記事としては「自動運転向け地図・マップ、必要な要素や開発企業を徹底まとめ」も参照。