自動運転では遅れをとっている印象の韓国だが、国をあげての逆転を狙っているようだ。韓国政府は2020年5月3日までに、自動運転開発に1000億円規模の資金を投下することを発表したという。民間企業による自動運転実証や関連ビジネスの展開を強力に支援する方針とみられる。新華社通信が報じた。
■韓国政府が進める高速道でのインフラ整備や自動運転レベル3の解禁
韓国政府は自動運転領域では目立たない存在だった。ただ2019年下旬から、徐々にその様相が変わってきた。
韓国政府は2019年10月、完全自動運転を実現するためのインフラ整備を国内5500kmの高速道路で早急に進めると発表した。具体的には、道路周辺の精密な3次元地図データを開発し、車線幅や信号機情報を車に伝える通信機器を整備するという。
世界に先駆けて官民連携で5Gの整備を進めている韓国だが、2024年には主要都市の一般道にもこうした整備を広げていく見通しだ。
さらに韓国では、2020年7月からは自動運転レベル3(条件付き運転自動化)搭載の自動車の販売が解禁される見込みであることも特筆すべき点だと言えるだろう。韓国政府が定めた安全基準に沿って製造された車両に対し、販売許可が与えられるというものだ。
報道などによれば、緊急時にはドライバーがすぐに運転できるよう、アラートが鳴るシステムの実装が義務付けられているという。ちなみに日本では今年4月から既にレベル3の販売が解禁されている。
■韓国の大手自動車メーカーとスタートアップの取り組み
こうした最近の韓国政府の前のめりな姿勢は、民間企業においても同様な傾向がみられる。
韓国の自動車最大手である現代(ヒュンダイ)自動車も、米カリフォルニア州アーバインで無料の自動運転ライドシェアサービスを展開することを発表している。「BotRide」というブランド名で、中国のスタートアップ「小馬智行(Pony.ai)」と共同開発した自動運転EVを活用するというスキームだ。
スタートアップの動きにも注目だ。韓国のスタートアップSOS LABは2020年1月、米ラスベガスで開催された世界最大の技術見本市「CES 2020」において、米オン・セミコンダクターとの技術提携に合意した。SOS LABは自動運転車向けのLiDARを開発している。両者の技術を組み合わせ、2〜3年以内に車のヘッドランプやバンパーに組み込めるLiDARの商品化を目指すという。
■【まとめ】資金投下と官民連携で韓国の自動運転分野は躍進するのか
自動運転の実現には、官側はインフラ整備や法整備、民側は研究開発や製品化が求められ、官民の連携がポイントだ。日本や米国も含め、こうした点は一致しており、韓国も多分に漏れず同じ方向性だ。
ただ一方、韓国は大手会計会社KPMGが発表している「自動運転車対応指数2019」では13位で、まだまだこれからといった感もある。特に突出して目立つスタートアップ企業が少ない印象だ。
今回の資金投下により韓国の自動運転分野での躍進が見られるのか、注目していきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転への対応度、日本がトップ10入り KPMGがランキング発表」も参照。