新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一般社団法人「日本自動車工業会」(会長:豊田章男)は、2020年7月6~12日に予定していた「自動運転実証の公開」を延期することを決定したと発表した。
この自動運転実証は、自動車工業会が2018年9月に計画を発表していたもの。内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「自動運転(システムとサービスの拡張)」実証と連携して実施される予定だった。延期の詳細については決まり次第、公式サイトで発表するとしている。
▼【自工会 自動運転実証公開の延期のお知らせ】
http://www.jama.or.jp/tokyo2020/innovation/autonomous/docs/20200422.pdf
■実施予定だった実証実験の内容は?
実証実験にはトヨタや日産、スズキ、日野自動車などの自工会の加盟企業が参画し、自動運転レベル2〜4に相当する自動運転車両約80台が使われる予定だった。主な実証内容は下記と発表されていた。
・羽田空港地域
〜公共交通機関であるバスをモデルケースとした実証・デモ
・羽田空港から臨海副都心・都心部
〜高速道でのインフラ連携の実証・デモ
・臨海副都心地域
〜交通量の多い混合交通の公道における自動運転や緊急停止、多様なタイプの自動運転車両による実証・デモ(乗用車、小型モビリティ等)
新型コロナウイルスの影響はこのほかの自動車関連の実証実験やイベントにも影響が出ており、自動車技術会も「人とくるまのテクノロジー展2020」の横浜開催(5月20〜22日)と名古屋開催(7月8〜10日)の両方の展示会の中止を決定している。
▼自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展2020名古屋開催中止、並びに2020年度の人とくるまのテクノロジー展の延期開催中止のお知らせ
https://www.jsae.or.jp/files/news_main/2020/hitoteku_expo_2020.pdf
■自動運転など新技術への先行投資、積極性維持を
新型コロナウイルスの終息が見えない中、自動車業界でも大きな影響が出ている。ただ、自動運転などの開発競争が激しい新技術については先行投資がカギを握っているため、いま投資に消極的になると中長期的にみると大きなマイナスになりかねない。
新型コロナウイルスのダメージコントロールはもちろん重要だが、引き続き自動運転分野への投資は積極性を保つべきだと言える。2021年に延期されたオリンピックでは再び日本の自動運転技術を世界にアピールするチャンスも訪れる。
※自動運転ラボは新型コロナウイルス関連の記事を「タグ:新型コロナウイルス|自動運転ラボ」でまとめて発信しています。
【参考】関連記事としては「五輪延期、披露予定だった自動運転に「さらに進歩の余地」【自動運転ラボ・下山哲平】」も参照。