ライドシェアをはじめとした配車サービスで世界最大手争いを繰り広げる中国のDidi Chuxing(滴滴出行/ディディチューシン)。2018年に進出を果たした日本では「タクシー配車サービス」として知名度を上げているが、自動運転をはじめとした次世代モビリティのプラットフォーマーとしてその地位を着々と築き上げている。
今回は同社の自動運転に関する取り組みをピックアップし、その戦略に迫ってみる。
記事の目次
■自動運転に関する取り組み
2017年:中国と米国に研究開発センター
AI技術やビッグデータ、マッピング、行動予測技術をはじめ、自動運転の開発にも力を入れている同社。中国と米国に研究開発センターを設置し、DiDiのプラットフォーム上で生成された膨大なデータを自動運転アルゴリズム訓練の基礎として役立て、V2R(Vehicle-to-Road/路車間通信)やV2V(Vehicle-to-Vehicle/車車間通信)をはじめとしたさまざまな研究を進めている。
2017年:ソフトバンクグループが60億ドルの出資提案、との報道
孫正義会長率いるソフトバンクグループ(SBG)が、DiDiの自動運転技術の開発を支援するために、60億ドル(約6400億円)の出資をDiDi側に提案したと報じられた。
2018年:トヨタの自動運転EV「e-Palette」で協業
DiDiは2018年1月、トヨタが開発するMaaS向けの自動運転EV(電気自動車)「e-Palette」において協業することを発表している。
2018年:カリフォルニア州で公道試験の許可取得
2018年、米カリフォルニア州で自動運転車の公道試験走行の許可を取得した。また、DiDiの配車アプリへの登録ドライバーの車両10万台に車載カメラを設置し、画像のリアルタイム解析を進めるなど、取り組みを加速している。同年11月には、カナダのトロントにもラボを立ち上げ、研究ネットワークを拡大している。
2019年:自動運転開発部門をスピンオフ
2019年8月、車内の自動運転開発部門を独立する形で自動運転開発に特化した新会社の設立を発表している。自動運転に関連する研究開発やアプリケーション、ビジネス開発などに注力する予定で、DiDiのZHANG Bo最高技術責任者(CTO)が新会社のトップに就任する。
自動運転開発部門ではすでに中国と米国で計200人以上のスタッフを抱えており、今後、DiDiのプラットフォームのリソースと技術的利点を統合し、革新的な技術開発への投資を継続するとともに、自動車メーカーらとの協力体制をより深め、効率的で安全なモビリティ環境の構築に向け自動運転技術の推進を積極的に模索していくこととしている。
【参考】DiDiの自動運転開発会社については「中国DiDi、自動運転部門を分社化 自動車メーカーとの共同開発体制など強化」も参照。
中国DiDi、自動運転部門を分社化 メーカーとの共同開発を強化 ウーバーのATG分社化に似た動き https://t.co/CPFAz5P7oA @jidountenlab #DiDi #自動運転 #スピンアウト
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) August 5, 2019
■【まとめ】移動サービスの世界的プラットフォーマーへ
DiDiの最大の狙いは、移動サービス全般にわたるプラットフォーマーになることだ。同社が自動運転開発を推し進めるのも、自動運転車両を開発・自社生産するためではなく、あくまでプラットフォームの分野で主導権を握るための布石と思われる。
【参考】関連記事としては「【最新版】中国のDiDi Chuxing(滴滴出行)完全解説 ライドシェア・配車事業、日本での展開は?」も参照。
上場秒読み…中国DiDiの知られざる事業史、最新解説&まとめ ライドシェアからタクシー配車事業まで 主宰の自動車アライアンスにはトヨタや日産も https://t.co/VUI7V2HTVq @jidountenlab #DiDi #完全解説 #ライドシェア #事業史
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) November 7, 2018