「空飛ぶクルマ」で産業活性化に挑む三重県、実証を実施 国内で開発活発に

2040年には1.5兆ドル規模とも言われる有望市場



出典:テラ・ラボ社プレスリリース

「みえ『空の移動革命』社会実装共同事業体」(JTB三重支店)と株式会社テラ・ラボ(本社:愛知県春日井市/代表:松浦孝英)は、三重県が発注した「三重県『空の移動革命』実現に向けた調査業務(産業編)」を受託し、2019年11月6日に「空飛ぶクルマ」の将来的な実現に向けた実証実験を三重県熊野市で実施した。

テラ・ラボ社がこの実施についてこのほど報道発表をおこなった。


この実証ではドローンで目視外飛行を安全に実施するための検証飛行として、熊野市の井内浦農村公園において、2地点間を複数の経路で計20回以上の自動運転フライトを繰り返し実施し、現在の自動運転飛行の飛行と着陸精度の検証を行った。同時に、上空から観光資源の鑑賞と、観光産業での活用可能性や課題抽出を行うための基礎情報の収集も行ったという。

今年度中には南伊勢町や鳥羽市での実証で、着陸制度の誤差の原因追求を行い、着陸に最適な広さを定義して、長距離や目視街、複雑な飛行経路での実証実験に臨むという。

■国内でも加速する空飛ぶクルマの開発

空飛ぶクルマは大きな市場となることが予想され、日本でもこの有望市場にアプローチすべく、開発に取り組むベンチャーも多い。

「空飛ぶクルマ」を開発する株式会社SkyDrive(本社:東京都新宿区/代表取締役:福沢知浩)は2019年6月に日本最大級の飛行試験場をオープンさせた。2019年内には空飛ぶクルマの有人飛行試験、2020年夏にデモフライト、2023年には製品としての販売開始を目指している。


日本電気株式会社(本社:東京都港区/執行役員社長兼CEO:新野隆)=NEC=は、空飛ぶクルマの実現に向けたNEC独自開発の試作機の浮上実験に成功したと2019年8月に発表している。

NECは経済産業省と国土交通省が主導する「空の移動革命に向けた官民協議会」に参画し、空飛ぶクルマの実現に取り組むCARTIVATOR Resource Managementともスポンサー契約を結んでいることでも知られる。

米金融大手モルガン・スタンレーの調査によれば、空飛ぶクルマの市場規模は2040年には1兆5000億ドル(約160兆円)に達するという。2040年の最大市場は中国で、国別規模では単独でも4300億ドル(約46兆円)にも上る見通しだ。

【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマの開発企業まとめ 日本と世界、開発進捗は?」も参照。


■【まとめ】空飛ぶクルマ、地域の産業活性化につながるか

大規模市場と予測される空飛ぶクルマだが、三重県は国内外の空飛ぶクルマに取り組む事業者や空飛ぶクルマを活用したサービスを計画する事業者を呼び込む環境づくりも行う。将来的に三重県の産業活性化につなげたい意向だ。今後の実証実験にも注目していきたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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