株式会社シーエーシー(本社:東京都中央区/代表取締役社長:西森良太)は2018年8月5日までに、感情認識AI(人工知能)で自動車乗員の感情分析をリアルタイムで可能にする「Automotive AI」の提供を開始したことを発表した。
「Automotive AI」は、米マサチューセッツ州に本社を置くAffectiva社が開発した最先端の車内センシングAIで、ディープラーニングを利用した世界最大級の表情と感情のデータベースとAffectiva社独自のアルゴリズムにより高い感情分析精度を誇る。自動車内に搭載したカメラやマイクを利用して、運転者や同乗者の表情データと音声データを収集し、それらを基にリアルタイムで乗員の感情を分析することができる。
感情は主に「喜び」「怒り」「驚き」「肯定的表情・否定的表情」の4つ、表情は「笑顔」「眉を上げる」「眉間にしわを寄せる」「頬を上げる」「上唇を持ち上げる」「鼻にしわを寄せる」「目を閉じる」「口を開ける」の8つを識別できるほか、「あくびをする」「瞬きをする」「瞬きの頻度」といった3つの眠気に関する指標、顔の向きや角度、怒りや笑いといった音声感情も解析できるという。
【参考】詳しくはシーエーシー社のプレスリリース「CAC、感情認識AIで自動車乗員のリアルタイム感情分析を可能にする「Automotive AI」の提供を開始〜車内に設置したカメラとマイクから映像や音声を収集して分析」も参照。
■外部接続を必要とせずに使用可能
外部ネットワーク接続を必要としないローカル処理モードでの使用できるほか、RGB・近赤外線カメラの利用が可能なため、逆光や暗闇などでも運転者の表情を正しく検知できる。
従来の頭部位置や視線測定に依存するシステムと比較して、注意力の散漫や低下、眠気などを原因とする運転者の複雑な状態を特定することができる。事故を予防できる可能性が高まり、運転者や同乗者にとってより安全で快適な環境を構築することが可能となっている。
シーエーシー社は、自家用車のほか電車やバス、タクシーなどの公共交通機関における運転者の状況把握のソリューションとしても利用できるよう展開していく構え。
近年、自動車業界では感情認識AIへの注目が高まっており、研究が加速している自動運転においても新たな乗車体験を実現する技術として関心が寄せられている。また、実用化が進められている自動運転レベル3(条件付運転自動化)では、システムの要請に応じてドライバーが運転操作をする必要があり、こういった場面においてシステムがドライバーの状態を分析・把握することが肝要となるため、感情認識AIのようなシステムの重要性も増すものと考えられる。
【参考】ドライバーの運転パターンをAIに分析させる取り組みとしては、日産自動車も開発進めているようだ。詳しくは「日産自動車が運転手の癖見抜くAI 自動運転の技術開発急ぐ|自動運転ラボ 」も参照。
運転の癖、AIにバレる…日産自動車の自動運転開発、脳波解析も https://t.co/zp6Jy85Qzv @jidountenlabさんから
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) July 19, 2018