「兆」域の演算回数チップEyeQ4、初採用は中国 インテル系モービルアイ、自動運転にも

1秒間に2兆5000億回可能に



米インテル傘下のイスラエル企業モービルアイが開発した最新の画像処理チップ「EyeQ4」が、中国の電気自動車(EV)ベンチャー企業である蔚来汽車(NIO)の多目的スポーツ(SUV)タイプEV「ES8」に、世界で初めて採用されたことが分かった。


ES8に搭載された「EyeQ4」の演算能力は「2.5TOPS」に達している。2.5TOPSとは1秒間に2兆5000億回の演算が可能であることを意味し、独アウディの自動運転レベル3(条件付運転自動化)対応車「A8」で採用されているEyeQ3と比較しても、8倍の処理能力があるといわれている。

■「EyeQ4」の優れた処理能力

高い処理能力を誇る「EyeQ4」はES8に搭載した3眼カメラに使われており、中距離用レンズと長距離用レンズと短距離用レンズからそれぞれ取得した情報の処理を担う。これまでの「EyeQ3」では単眼レンズまでしか対応できず、高い演算能力が3眼カメラへの対応を実現した。

また「EyeQ4」には自動運転に必要な地図データを作る「REM(Road Experience Management)」と呼ばれる機能も搭載されている。この機能の作動により、走行中にシステムが認識した道路標識などの情報が自動でデータセンターに送信し、地図データが最新の情報に更新されるという仕組みだ。

■初供給先、欧州から中国に

モービルアイは「EyeQ」シリーズを、世界27カ国・地域で計313車種に供給している。EyeQ3までは欧州のメーカーにいち早く供給していたが、第4世代のEyeQ4は世界で初めて中国の企業に供給した。


中国企業が世界の先端技術を欲する理由としては、中国国内における購買層の目が厳しくなってきたこともあると言われる。最新技術を投入していかなければ、中国国内での自動車販売台数を伸ばすのが難しくなってきているということだ。

ES8の価格は44万8000元(約760万円)だ。中国においては、米EVメーカーのテスラが販売する多目的スポーツ(SUV)タイプEV「モデルX」の半額程度となっており、価格面からも高く評価する声が多い。


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