もし自動運転のAI脳が「まって」を「まがって」と誤認識したら?

音声認識システム(VPA)最前線


2018年1月に米ラスベガスで開催された世界最大級の通信・電機関連見本市「CES2018」でBOSEはCLEARVOICEを発表した=出典:BOSE社プレスリリース

AI(人工知能)を用いた米アマゾンの音声アシスタント「Alexa」や米グーグルの「Google Home」などの登場で日本でもお馴染みとなりつつある音声認識システム(VPA)は、自動運転技術の分野においても熱視線が注がれている。

人間は車を運転中、目から入った道路上のさまざまな視覚情報を処理する。手はハンドル操作、足はアクセルとブレーキ操作に使う。そんな中で走行中にカーナビの操作などをしようとすると、事故につながる恐れがある。







しかし音声認識システムを使えば、目や手や足を使わなくても、さまざまな操作を行うことができる。このことから、自動音声認識システムは車の運転と相性が良いといわれる。自動運転車両に搭載されたAIシステムに自動音声認識システムが搭載されれば、より車に乗っている人の利便性が高まるだろう。

しかし自動運転車の車内で音声認識システムを活用することは、決して簡単ではない。運転中に生じる雑音などで、音声認識機能が正常に働かなくなってしまうことがあり得るからだ。

■人命に直結する音声の誤認識

カーナビの住所入力ぐらいなら、システム側が人の声を聞き間違えたとしても大きなトラブルにつながりにくいと言えるが、これがハンドル操作やブレーキ・アクセル操作だったらどうだろう。例えば人間が自動運転車に「まって(待って)」と声でシステムに指示を送ったとする。だがシステム側がそれを「まがって(曲がって)」と勘違いしてしまったら?

こうした大きなトラブルにつながる種類の動作においては、音声認識システムはそぐわないのではないか、という懸念の声もある。自動運転車の車内空間においてどの範囲まで音声認識機能を作動させるかは、これから議論が深まっていきそうだ。場合によっては人命に関わるトラブルに発展することもあるからだ。

■BOSEの「CLEARVOICE」に業界注目

そんな中、米音響機器メーカーのBOSE(本社:米マサチューセッツ州)が開発している車載向けの新たなボイステクノロジー「CLEARVOICE(クリアボイス)」が、自動運転業界で注目を集めている。誤作動を防ぐためにラジオの音や車外の音などの背景音を極限まで低減させ、人の声だけを聞かせる最新技術が搭載されているからだ。

【参考】BOSEはクリアボイスについて「ボーズ独自の信号処理技術を用いることで、他のパッセンジャーの話し声やナビゲーションの音声信号、そして流れてくるラジオのトークや番組コンテンツなどを含む、不要なバックグラウンド・ノイズ(背景雑音)や反響音をキャンセルしながら、本来の会話音声だけを際立たせます」と説明している。詳しくは「ボーズ、車載用の新たなボイステクノロジーを発表 ~ CES2018 開催中の米国ラスベガスより~」も参照。

もちろんBOSEだけではない。音声技術開発などを手掛ける米ニュアンス・コミュニケーションズ(本社:米マサチューセッツ州)も自動車への搭載を軸にした音声認識システムの開発を進めている。

自動運転業界でも注目される音声認識システム(VPA)。人命に関わる技術である反面、自動車における利便性を高めるためには魅力的な技術と言える。技術開発の最前線から目が離せない。







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