タクシー業界、進むキャッシュレス化 PayPay、第一交通が導入開始 決済サービス競争過熱

広がるQRコード決済、勝者は?


出典:PayPay社プレスリリース

タクシー業界でキャッシュレス化が進んでいる。クレジットカードをはじめ、「Suica(スイカ)」などの電子マネー、「Apple Pay」や「Google Pay」といったスマホ決済などが浸透しており、2018年11月にはQRコード決済機能を持った「LINE Pay」や「PayPay」を新たに導入する動きも相次いでいる。

決済手段の多様化が著しいが、将来的にはタクシー業界を飛び越えたさらなる決済サービスが求められる時代がやってくる。タクシー業界を切り口に、決済サービスの将来像を模索してみよう。







■「タクシー×QRコード決済」の浸透
ソフトバンク系決済サービス「PayPay」 江の島タクシーや第一交通産業などが導入 

福岡県に本社を構える第一交通産業は、PayPay株式会社が提供するスマホ決済サービス「PayPay(ペイペイ)」を2018年11月29日から福岡市内と北九州市内において導入開始した。当初はグループのタクシー約1000台からスタートし、順次全国のグループタクシー約8200台に拡大していく方針だ。

PayPayは、ソフトバンク株式会社とヤフー株式会社が共同出資し2018年6月に設立した、電子決済サービスの開発・提供を手掛ける会社。2018年秋に決済サービスを開始し、飲食グループやホテルなどで導入が進んでいる。利用方法は、電子マネーかクレジットカードを事前に選択した後、利用可能店に掲示されているQRコードを読み取って会計金額を入力し、店員が確認する方法と、スマホにバーコードを提示し、店員が読み取る方法の二通りある。

12月4日からは、PayPayによる支払いのうち一定確率で全額が戻ってくる「総額100億円あげちゃう」キャンペーンを実施する予定で、一気に普及拡大を図る構えだ。

タクシー業界では、第一交通産業のほか神奈川県を拠点とする江の島タクシーがすでに導入している。

「LINE Pay」は国内最大のJapanTaxiが採用

約7万台のタクシーが呼べるアプリ「JapanTaxi」を展開するJapanTaxiは2018年12月10日から、同社の「広告タブレット」「決済機付きタブレット」を搭載した全国のタクシーにおいて「LINE Pay(ラインペイ)」のスマートフォン支払いを導入する。

利用方法は、スマホでLINEアプリを立ち上げ、「ウォレット」「コード支払い」をタップ後、パスワードを入力するとQRコード画面が表示される。これを車載タブレットのカメラで読み取らせれば支払い完了となる。

JapanTaxiが開発した広告タブレット・決済機付きタブレットは、タクシーにおけるキャッシュレス化を実現する端末としてさまざまな電子決済手段に対応しており、東京都内では日本交通、帝都自動車交通の合計5500台に導入されているほか、北海道、埼玉県、神奈川県、京都府、大阪府、福岡県のタクシーにも設置されている。

LINE Payのほか、クレジットカードやApple Pay (iOS端末)、Google Pay(Android端末)、YAHOO!ウォレットに対応している。

なお、LINE Payと連動したサービスを行っていた配車アプリ「LINE TAXI」は2018年8月にサービスを終了しており、新たにAI(人工知能)アシスタント「Clova」でタクシーの注文が行える「全国タクシーClova Skill」を秋にリリースしている。JapanTaxiも対応しており、Clovaに「ねぇClova、ジャパンタクシーを開いて」と話しかけるだけで配車を依頼できる。

「Origami Pay」、日本交通やJapanTaxiが採用

金融サービスプラットフォーマーのOrigami株式会社が手掛けるOrigami Pay(オリガミペイ)も、日本交通とJapanTaxiが2017年1月に採用を決めている。東京23区、武蔵野市、三鷹市で運行する日本交通のタクシーに設置されているIoT(Internet of Things)型デジタルサイネージ「TokyoPrime」端末を活用し、オリガミペイによるタクシー運賃の支払いを可能にしている。

東京23区・武蔵野市・三鷹市で運行する日本交通約3500台より提供を開始し、全国のタクシー5万台の車両への展開を進めていくこととしている。

「楽天ペイ」、個人タクシー導入事例も

EC大手の楽天系決済サービス「楽天ペイ」も、タクシー業界では深く浸透しているようだ。近鉄タクシーグループなどをはじめ、全国の法人個人を問わず広範囲で導入事例が見られる。

タクシー利用で楽天ポイントを貯めることもでき、楽天ユーザーにとっては使い勝手が良さそうだ。

■多様化する決済手段 勝負の決め手は利便性

楽天ペイなどを含め、QRコード決済に対応するタクシー会社は近年顕著に増加している。若年層や現役世代を中心に現金での支払いを煩わしく感じている乗客の増加や、クレジットカード払いに不安を感じる乗客などを背景に、スマホで手軽に決済できる手段は今後も増加するものと思われる。

また、配車アプリも同様に多様化と拡大を続けており、タクシー会社自前のものやタクシー協会が運営するものをはじめ、DeNAやソニー系などの新規参入組、DiDiやUberといった海外組などが出揃い、覇権をめぐる戦国時代に突入している。

勢力争いはしばらく続きそうだが、勝負の決め手はユーザーの利便性だ。利用可能な加盟会社数はもとより、アプリと決済の連動性など使い勝手の良い機能が求められることになり、競争激化に伴うサービスの進化などにも今後が期待できそうだ。

■自動車業界を取り巻くサービス競争の行方

決済サービスでは、トヨタグループのトヨタファイナンスがOrigamiと業務資本提携を結び、新たな決済サービスを模索している。決済機会が大幅に増加するだろうコネクテッドカーの普及を見越したIT系プラットフォーマーの動きなども今後加速することが予想される。

また、MaaS(Mobility as a Service)の観点から見ると、将来的にはタクシーやバスをはじめ、カーシェアや電車、飛行機といったさまざまな移動サービスの連携が課題となる。飛行機のチケットの予約から電車、タクシーの支払いに至るまで、ドアツードアのシームレスな移動の実現が理想となるが、このような多くの事業主体にまたがる移動において活躍できるアプリや決済サービスの提供者が最終的な勝者になる可能性が高い。







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