「空飛ぶクルマ」参入のトヨタ、実は2014年に特許出願していた

車の最後部にプロペラ、アメリカで



自動車業界における「世界のトヨタ」は2020年1月15日、空飛ぶクルマ開発の米Joby Aviationとの協業を発表し、本格的に同領域へ参入することを事実上宣言した。そんなトヨタだが実は2014年にアメリカで空飛ぶクルマの特許を出願していた。


その内容は米特許商標庁(USPTO)によって公開されており、「https://pdfaiw.uspto.gov/.aiw?PageNum=0&docid=20160176256&IDKey=&HomeUrl=%2F」から誰でも閲覧できる状態となっている。出願者は北米のTEMA(トヨタ・モーター・エンジニアリング&マニュファクチャリング・ノース・アメリカ)社。

空飛ぶクルマに関する特許出願でトヨタ側が添えた設計図の一部。ちなみに発明者はUmesh N. Gandhi氏とTaewoo Nam氏の2人とされている:出典:米国特許商標庁

特許出願で添えられた設計図における車両はドローン型ではなくクルマ型で、最後部にプロペラが装着されている。つまり、トヨタは今回の協業の発表前からかなり時間をかけて空飛ぶクルマ事業への参入を模索していたということが分かる。

2017年にはトヨタ自動車を始めとしたグループ15社が、日本の技術者有志によって立ち上げられた空飛ぶクルマプロジェクト「CARTIVATOR」に総額4250万円を支援することも明らかになっている。

■章男社長「トヨタ創業以来の夢」と強調

トヨタはJoby Aviationとの協業によって、空のモビリティ事業の早期実現への取り組みをスタートさせるとしている。今回の協業でトヨタが具体的に関わるのは、電動垂直離着陸機(eVTOL)の設計や素材、電動化の技術開発などとされ、トヨタ生産方式(TPS)のノウハウもJoby Aviationと共有するとしている。


Joby AviationのeVTOL=出典:トヨタプレスリリース

トヨタの豊田章男社長は「自動車事業に加え、今回、Jobyという力強いパートナーとともに、新たに“空”のモビリティ事業にチャレンジします」とした上で、「空のモビリティの実用化はトヨタ創業以来の夢」と強調している。

さらに「陸だけでなく空にも、移動の自由と楽しさをお届けするモビリティの実現に貢献できることを嬉しく思います」と述べており、空飛ぶクルマ事業にかける思いは熱いようだ。

ちなみに今回の協業にあたり、トヨタはJoby Aviationに対して3億9400万ドル(約430億円)を出資し、友山茂樹副社長がJoby Aviationの取締役に就任することについても発表している。

【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは? 仕組みや技術、必要なインフラなど|自動運転ラボ」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事