手動介入147回、路上駐車がネックに 栃木県茂木町の自動運転実証

2021年6月に実施、「ヒヤリハット」事案はゼロ



出典:栃木県無人自動運転移動サービス推進協議会・公表資料

栃木県無人自動運転移動サービス推進協議会は2021年8月4日までに、栃木県茂木町で6月に行われた自動運転バスの実証実験の結果を公表した。

同県の「自動運転バスチャレンジプロジェクト」の一環として、運転手や誘導員を配置した「自動運転レベル2」で「大きなトラブルもなく全便予定どおり運行」という結果だったという。







ちなみに実証実験は、アイサンテクノロジーが高精度3次元地図の作製などを担当し、損害保険ジャパンが事故の予防などのリスクアセスメント、ティアフォーが安全リスク審査、埼玉工業大学が車両提供、埼玉工業大学発スタートアップのフィールドオートが技術支援を行った。

■道の駅を拠点に実施、LiDARや高精度3次元地図など駆使

茂木町で行われた実証実験では、「道の駅もてぎ~茂木駅~ふみの森もてぎ」の3地点を自動運転バスが巡回した。約半月の期間中に延べ897人が乗車し、平均乗車率は77.9%であったという。

車両には「自動運転の目」と呼ばれるLiDARやカメラ、障害物検知センサーなどを搭載し、高精度3次元地図も駆使して自動運転が行われた。運転手が運転席に同乗したものの、原則として自動運転で運行された。

出典:栃木県無人自動運転移動サービス推進協議会・公表資料

今回の実証実験では「ヒヤリハット」事例は発生しなかったが、手動介入はルートを67往復した中で147回発生したという。そのうち約85%にあたる125回は路上駐車している車両を回避するためのものだった。

また、乗客に行われたアンケート結果では、自動運転バスの急ブレーキなどが一般の路線バスよりも「少ないと感じた」という意見が全体の40%、「どちらも変わらない」という意見が53%となり、「多いと感じた」という意見は6%にとどまった。

出典:栃木県無人自動運転移動サービス推進協議会・公表資料
■「不安・少し不安」、乗車前は31%、乗車後は4%

乗客の「自動運転バスに対する安心感」については、乗車前は「不安・少し不安」が31%だったが、乗車後には4%まで減少した。

また、地域住民に自動運転バスを利用したい頻度を調査したところ、「利用したいと思わない」が56%で、その理由としては「安全性に不安がある」が17%、「公共交通をあまり使わない」が68%という結果だった。

■今回洗い出された課題は?路上駐車がネックに

報告書では、今回洗い出された課題もまとめられている。

例えば、路上駐車の車両回避のための手動介入が多かったことが挙げられ、駐停車の規制や路肩の整備を行うなどして路上駐車対策をすることを、今後の対応策の例として挙げている。

また、信号認識と車両制御のミスマッチが起き、青信号でブレーキがかかるケースもあったという。こうしたミスマッチの対応策としては、車載カメラにおける深層学習機能の向上が挙げられるという。

ほかにも、道路わきの樹木が生い茂っていたためにGNSS(測位衛星システム)の受信不良が起きたことも課題として挙げられた。

出典:栃木県無人自動運転移動サービス推進協議会・公表資料
■【まとめ】今後は収益化の可能性も探る

栃木県茂木町で行われた実証実験は事故もなく、乗客の自動運転バスへの不安感も軽減するなど、全体的に見れば良い結果を収めた。今後は収益化の可能性も探っていくといい、引き続き、茂木町の取り組みに注目していきたい。

▼栃木県無人自動運転移動サービス推進協議会「R2年度実証実験~茂木町~」
https://www.pref.tochigi.lg.jp/h03/houdou/documents/20210727_siryou1.pdf

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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