ファーウェイ「2025年に自動運転技術を確立」 車両はファブレス生産の可能性大

事業拡大中、パートナーOEMも続々?



出典:Kārlis Dambrāns / Flickr (CC BY 2.0)

中国の通信大手の華為技術(ファーウェイ)が、2025年までに自動運転技術の確立を目指すようだ。ロイター通信が報じた。

スマートフォン事業から徐々に自動運転・スマートカー分野へのシフトを進める同社。Xiaomi(シャオミ)などの同業他社がスマートカー分野への本格参入を表明する中、ファーウェイはモビリティ分野でどのような事業戦略を採るのか。







この記事では、ファーウェイのこれまでの取り組みをまとめ、同社の戦略を紐解いていく。

■持ち前の通信技術でまずコネクテッド技術を開発

自動運転分野におけるファーウェイの取り組みは、持ち前の通信技術を主体に始まった。

2016年、5GやV2X技術の開発や標準策定などを進める業界横断組織「5Gオートモーティブ・アソシエーション(5GAA)」の設立メンバーに名を連ねたのを皮切りに、取り組みを加速し始めた印象だ。

2017年には上海汽車と中国移動通信(チャイナモバイル)とともに「Mobile World Congress上海2017」で5Gを活用した遠隔運転技術のデモンストレーションを実施した。

同年、通信事業者の英ボーダフォンとも英国で遠隔運転の実証実験を行ったほか、日本でもソフトバンクとともにトラックの隊列走行と遠隔運転に向けた実証実験を実施している。

このほか、2018年にはクラウド・コンピューティングや自動運転向けの専用データベースセンター設立計画が報じられている。通信技術からクラウド・AI(人工知能)領域などへ事業を拡大していく方針の表れだろう。

【参考】データベースセンターについては「中国・華為技術(ファーウェイ)、自動運転向けにクラウド事業やデータセンター」も参照。

■2018年以降、自動車メーカーとの協業が大きく進展

2018年以降は、自動車メーカーとの協業も大きく進展している。2018年4月、グループPSA(現ステランティス)との協業のもと、「DS 7」に同社のIoTプラットフォーム「OceanConnect」を基盤としたコネクテッドカーソリューションが初搭載されたことを発表した。

データ収集やAI、ビッグデータ解析、セキュリティ、エコシステムといったニーズに重点を置いて設計されており、インフォテイメントサービスや遠隔ソフトウェアアップデート(OTA)、ナビゲーション地図、パーソナルアシスタント、遠隔車両診断・メンテナンス機能などを可能にしている。

同年7月には、独アウディとインテリジェントなコネクテッドカー分野でのプロジェクトに向け提携したことを発表した。自動運転技術の進化と自動車分野におけるサービスのデジタル化を目指す方向で、同年10月に開催した年次イベント「HUAWEI CONNECT 2018」では、同社のモバイルデータセンター(MDC)を搭載した「Audi Q7」のプロトタイプ車が披露された。

このほか、中国の江淮汽車(JAC Motors)も「HUAWEI CLOUDコネクテッドカーソリューション」を使用し、統合された柔軟なコネクテッドカープラットフォームを構築している。

■自動車は作らないと明言、パートナー戦略で価値向上

ファーウェイ副会長の徐直軍(エリック・シュー)氏は、2019年4月に開催された国際自動車技術フォーラム2019で、同社の戦略として「ファーウェイは自動車を作らずICTに注力し、OEM企業による優れた車両開発のイネーブラー(支え手)となることを目指す」「ICTを生かし、デジタル自動車を実現する新たなコンポーネントを提供していく」と述べている。この方針は今も変わっていないようだ。

2019年に英紙フィナンシャル・タイムズがあるファーウェイ幹部に対して行った取材によると、アウディや広州汽車集団との共同開発のもと、早ければ2021年にも自動運転車を発表する目標を話したという。

つまり、ファーウェイはARCFOXのような形で自動車メーカー各社との協業を拡大し、新ブランドを立ち上げていく戦略を採っているのだ。OSやクラウドサービス、コントロールユニット、センサーといったさまざまなソリューションを武器にパートナー企業として価値を高めていく構えのようだ。

冒頭の「2025年までに自動運転技術の実現を目指す」という目標は、こうした戦略を踏まえると他社との協業が前提となりそうだ。

【参考】フィナンシャル・タイムズの取材については「中国ファーウェイ、2021年にも自動運転車を発表 欧州市場への投入も視野」も参照。

■【まとめ】競合他社の影響で近い将来方針転換も?

自動車そのものは作らない方針のファーウェイに対し、競合するシャオミや米アップルがスマートカー分野への本格進出を明らかにしており、主導権を握る形で車両をファブレス生産していく可能性が高い。

こうした各社の動向に触発され、方針を転換する可能性も考えられる。自動車メーカー各社の良きパートナーを目指すのか、自社ブランドで主導権争いに加わるのか。近い将来、大きな選択を迫られそうだ。

【参考】関連記事としては「自動運転EVはファブレス時代に!中国ではシャオミが有力?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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