中国Didi、自動運転車の開発でNVIDIAのAI技術など活用 レベル4の推論などで

自動車メーカーがDidiを恐れる理由は?



出典:DiDiプレスリリース

ライドシェア大手の中国Didi Chuxing(滴滴出行)が、自動運転車の開発で米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)との距離感を近付けている。

Didi Chuxingは2019年12月、NVIDIA社のGPU(画像処理半導体)とAI(人工知能)に関する技術を活用し、自動運転とクラウドコンピューティングのソリューション開発に取り組むことを発表している。


具体的には、Didi ChuxingはNVIDIAが開発する「NVIDIA DRIVE」を使って自動運転レベル4(高度運転自動化)の推論に取り組むようだ。このNVIDIA DRIVEは「自動運転のためのスケーラブルなAIプラットフォーム」(NVIDIA社公式サイト)と説明されている。

NVIDIAの自動運転車担当バイスプレジデントであるRishi Dhall氏は報道発表で「安全な自動運転車両の設計には、クラウドと車両内のエンドツーエンドのAIが欠かせません」とした上で、「NVIDIAのAIにより、DiDiはより安全で効率的な交通システムを開発し、多様なクラウドサービスを提供できるようになるでしょう」としている。

■自動車メーカーが恐れるDidi Chuxing

Didi Chuxingの自動運転開発を脅威に感じている自動車メーカーなどは多い。

DiDiは既に年間100億人に対して移動サービスを提供していると言われている。つまり既に膨大な顧客を有している強みがあるということだ。そのため、例えば自動運転車を使って「自動運転タクシー」の事業に乗り出す際には、自社アプリに自動運転タクシーサービスの予約ボタンを加えるだけで、一定数の利用者を獲得することができる。


これに関して言えば、ライドシェア最大手の米Uber Technologiesや東南アジアで配車事業を手掛けるGrabなども同じことが言える。既に移動の予約プラットフォームを有している企業は、移動サービスを展開していない企業に比べて、顧客を獲得しやすい。

自動運転時代は「車両は車両」「ソフトウェアはソフトウェア」「センサーはセンサー」「プラットフォーマーはプラットフォーマー」というような「水平分業型」の業界構造に変わると言われているが、急成長中のDidi Chuxingは貪欲に「車両」でも「プラットフォーマー」でもNo.1を目指していくかもしれない。

そういう意味でも今回のNVIDIAの報道発表は、地味に重要なニュースだ。

【参考】関連記事としては「中国DiDiの自動運転戦略まとめ トヨタ・ソフトバンクと蜜月関係?」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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