車載器やスマホで個人の1日を把握→最適なレコメンド デンソーとNTTデータが実証

新たなモビリティサービス創出へ前進



出典:デンソープレスリリース

デンソーとNTTデータは2021年6月11日までに、「車流データ」と「人流データ」を活用した移動体験変革の実証実験を完了したと発表した。移動における運転状況や好みをもとにお勧めの店舗情報などを提供する取り組みだ。

自動運転車はもちろん、さまざまな移動サービスやコネクテッドサービスが普及する将来において、移動体験を向上させるこうしたサービスはスタンダードなものへと変わっていくことが想定される。







両社の取り組みはどのようなものなのか。その内容に触れていこう。

■シームレスな移動体験で新たな価値を創出

自動車などで出かける場合、目的地のみならずそこに至る楽しい移動や体験が求められることも珍しくない。こうした際、観光や飲食など興味のあるコンテンツをWEBやアプリを使って調べるが、個別に調べることが多く、それぞれの体験は断絶しがちだ。

そんな中、今後、コネクテッド技術や次世代コックピット、自動運転といったテクノロジーの進化に伴い、車内で触れる情報が増加することが予想されるが、車内外でのシームレスな体験を構築することで、移動体験により高い価値を創出することが可能になる。

こうした観点から、車載器から収集した運転特性や運転状況などの車流データと、スマホのGPSやビーコン反応ログなどから収集した人流データによって個人の特性を分析し、「運転状況の推定」と「個人の好みを把握」した店舗情報のレコメンドを行う実証に着手した。

出典:デンソープレスリリース

デンソーは次世代コクピットプラットフォームやコネクテッド車載プラットフォームの企画・開発を進めており、一方のNTTデータは、リアル行動データプラットフォームを運営するunerryとの提携のもと、目的地到着前から外出を楽しむことができる新しい移動体験を提供する「モビリティ・コマースサービス」の共同企画・開発を手がけている。今回の実証は、両社それぞれの強みを発揮する内容だ。

具体的には、運転状況を収集する車載機と日常行動を把握する専用アプリをインストールしたスマートフォンを利用し、日常行動データから各ユーザーのその時々の状況や好みといった運転タイプや行動特性を分析・推定した。

この分析結果をもとに、停車時など受容性が高いタイミングでレコメンド情報を送信・音声通知を行った。ユーザーは、表示されたレコメンドをその場で評価するほか事後アンケートに回答する方式で、これらの結果からレコメンドの内容やタイミング、運転状況とユーザー評価の関係などを分析した。

■ユーザーの行動理解に基づいたレコメンドが高評価

参加したモニター数は明かされていないが、3カ月間にわたる車両走行検証期間中、2,217施設のレコメンドが行われた。

分析の結果、嗜好パターンや運転状況などユーザーの行動理解に基づいたレコメンドであるほど評価が高いという結果が得られ、車流データと人流データを組み合わせることによる移動体験への付加価値創出が可能であることが技術的に確認できたという。

出典:デンソープレスリリース

モビリティ事業者においては「ドライバー体験の向上による顧客の取り込み」や「自動車をメディアとした新たな収入源の創出」が期待でき、一方、サービス事業者においては「自動車内でのサービス利用という新たなマーケットへの参入」や「利用者の行動変容による顧客の取り込み」が期待できるとしている。

両社は今後、次世代コクピットやスマートフォン向けサービスといった幅広い顧客接点を確保するとともに、車流データと人流データによるユーザーの行動理解を軸にしたUXやコンテンツ提供の可能性について、モビリティ事業者やサービス事業者とともに検討を進めていくとしている。

■モビリティサービスとの相性が抜群なレコメンド機能

ユーザーの単純な好みに限らず、その時々の状況やタイミングを勘案した上でレコメンドを行うのは、移動を伴うモビリティサービスとの相性が非常に良さそうだ。

自動運転技術の確立やMaaSの進化は、従来の移動手段としてのモビリティに変革をもたらす。移動に付加価値が求められるのだ。この付加価値は、レンタカーやシェアカーをはじめ、コネクテッド化が進む自家用車においても有効で、近い将来導入が進んでいくことが考えられる。

MaaS開発においてもさまざまな店や施設、サービスなどを移動と結び付ける取り組みが始まっているが、こうした技術を取り入れていくことでより付加価値の高い移動を実現することもできそうだ。

【参考】関連記事としては「9割が提案された観光地へ!観光MaaS「札Navi」で手応え十分」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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