AI自動運転時代は車のサンバイザーも進化!サイヤ人の「スカウター」的になる!?

ボッシュの「バーチャルバイザー」から感じること





出典:ボッシュプレスリリース

ドイツ自動車部品大手ボッシュが液晶ディスプレイとカメラで構成された革新的なサンバイザー「バーチャルバイザー」をCES 2020で発表した。自動車の誕生以来、長らく大きな進化のなかったサンバイザーにも次世代技術が搭載される時代がやってきたようだ。

同社のバーチャルバイザーの概要とともに、次世代モビリティにおけるディスプレイの可能性に触れてみよう。







■バーチャルバイザーとは?

透明な液晶ディスプレイパネルを本体とするボッシュのバーチャルバイザーは、ドライバーや乗員をモニターするカメラを搭載している。このカメラが、太陽がドライバーの顔に落とす影を追跡することで太陽光のまぶしさを判断し、ドライバーの前方の視界を遮ることなくまぶしさを遮断するシステムを提供する。

AI(人工知能)がカメラの画像に基づきドライバーの位置を特定し、目や鼻、口を含む顔の特徴的な要素を判定することで、顔の上の影を識別する。この影の情報をもとにアルゴリズムがドライバーの視界を分析し、ディスプレイ上でドライバーの目に光が届く部分のみ暗くすることで、ディスプレイの残りの部分に透明性を確保し、視界を大きく遮ることなくまぶしさを遮断できる仕組みのようだ。

従来の標準搭載されているサンバイザーや半透明のアクリル板製品などは、太陽光とともに信号機など上方を中心に視認性を悪くし、事故の一因となっている。ボッシュによると、強い日光の下では、自動車事故の危険性が通常の条件よりも16%高くなっているという。バーチャルバイザーは、こうした事故を防止・抑制する新技術となりそうだ。

■自動運転とともに高まるディスプレイ需要

安全性の確保とともに現在注目されているのが「面のディスプレイ化」だ。技術の進展とともにデジタル化が進み、さまざまな情報を映し出すディスプレイが求められている。

すでに製品化されているヘッドアップディスプレイをはじめ、自動運転時代が到来する将来に向けてフロントガラスやサイドガラスなどを全面ディスプレイ化する技術開発なども進められている。完全自動運転においては、車外に向けたドライバーの視認性を必ずしも確保する必要がなくなるからだ。

韓国の大手自動車部品メーカー・現代モービス(ヒュンダイ・モービス)はCES 2019で、車両の窓ガラスがディスプレイとなる車載インフォテイメントシステムを発表した。ジェスチャーで操作できる「バーチャル・タッチ・テクノロジー」を搭載し、手動運転と自動運転の両方に対応すべく窓ガラスのディスプレイを透明にすることができるようだ。

【参考】現代モービスの取り組みについては「自動運転車の窓ガラスをディスプレイに ヒュンダイ・モービスが新コンセプト発表へ」も参照。

独自動車部品大手のコンチネンタルも2019年6月、3D画像を活用した次世代デジタルコクピットを発表した。3Dメガネを装着することなく、さまざまなポジションからコクピット表示を立体的に見ることができるシステムのようだ。

日本国内勢では、ジャパンディスプレイが2019年3月までに、仏自動車部品メーカーのフォルシア社と提携し、車載向け32.1インチ横長ディスプレイのプロモーションを進めているほか、ヤマハ発動機とソニーが2019年8月に発表した電磁誘導方式で自動運転が可能な低速の移動体験車において、車内向けと車外向けにそれぞれ高精細ディスプレイを設置し、融合現実映像をはじめとしたさまざまな映像を映し出すこととしている。

【参考】ヤマハとソニーの取り組みについては「窓の代わりに高精細ディスプレイ!ヤマハとソニー、自動運転車を共同開発」も参照。

また、ガラス大手のAGCは2019年9月までに、複雑な形状や大型化などに対応する車載ディスプレイ用カバーガラスの生産拠点を中国・江蘇省に建設すると発表した。

合繊最大手の東レも2019年7月までに、車載向け曲面ディスプレイにも適用可能な「メタルメッシュ型感光性導電材料」の量産販売を開始したと発表している。こうした曲面などを柔軟にディスプレイ化する技術は今後注目の的になりそうだ。

【参考】東レの取り組みについては「自動運転時代に流行る曲面ディスプレイに適用可!東レ、導電材料で発表」も参照。

■そしてサンバイザーがあの「スカウター」に?

こうした技術開発とともに応用も進み、より利便性の高い製品が世の中に送り出されていくことになる。特にボッシュのバーチャルバイザーのようなサンバイザーのディスプレイ化は妙案で、遮光技術にとどまらずさまざまな情報を表示するディスプレイとして今後研究開発が進む可能性が高い。

必要な時にさっと目の前に下ろして使用する次世代バイザーは、いわば世代を超えて愛されるドラゴンボールに登場する「スカウター」のような存在だ。作中に登場するサイヤ人が戦闘力の測定などを行う際に装着しているあの機器だ。

現行の手動運転車においては、安全上あくまで補助ディスプレイやドライバーモニタリングシステムとしての役割に留まらざるを得ないところだが、自動運転レベル3以降であれば、エンターテインメント機能をはじめさまざまな活用方法が生み出されるはずだ。

■【まとめ】コネクテッド化・自動運転化でディスプレイ市場も急拡大

自動運転時代には、ガラスやボディなど車内外のあらゆる部分が可能な限りディスプレイ化され、デジタルサイネージ市場やコネクテッド市場とともに大きな伸びを見せることが予想される。ディスプレイに秘められた可能性は非常に高いのだ。

現在進行しているカーナビ用ディスプレイの大型化やヘッドアップディスプレイの活用などは、車内ディスプレイ革命の黎明期の象徴といえるだろう。今後、自動車のコネクテッド化、そして自動運転化によりこの流れは大きく加速していくことになる。ディスプレイ市場の動向にも要注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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